スターティア Research Memo(7):COCOARは価格競争力や操作性の高さが武器に
[14/06/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長を支える注目サービス
スターティア<3393>の数あるサービス・製品のなかで特に注目されるのは、AR(拡張現実:主にモバイル機器などコンピュータを利用して現実映像に新たな情報を付加する技術)を利用するための「COCOAR」だ。今後、ARが広告・宣伝手法として一般化すれば、同社の「COCOAR」は高い価格競争力を武器に、一気にブレイクする可能性がある。
●広告手法としての注目度が高まりつつあるAR
ARは、「現実世界の『もっと知りたい(あるいは、知らせたい)』をWebと連携して補う」ということを実現するための技術だ。広告などにおいて非常に注目されているものの、費用の点で、なかなか普及が進んでいないという実情がある。従来からの一般的なARサービスの費用がかさむ理由は、1つの企画ごとにARコンテンツを含んだアプリケーションソフトを開発しているためである。その結果、費用が数百万円から数千万円という莫大な費用がかかることとなっている。
●他社のARサービスに比べて劇的なコストダウンに成功
「COCOAR」は、ARコンテンツをアプリ内で作りこむのではなく、サーバーにアップロードして都度呼び出すという構造で大幅にコストを引き下げた。一連の処理を行うソフトウェアをパッケージ化し、売り切りもしくは月極方式で販売している。売り切りの場合の価格は約300万円だが、サーバーの容量(10GB)限度内であればコンテンツが作り放題であるため、1企画当たりで考えると、大幅にコストを引き下げることが可能になる。同社は、この低価格と使い勝手の良さを武器に、ARの市場を切り拓いている。今現在、中小企業が気軽に利用できるARサービスは実質的に「COCOAR」だけというのが実情だけに、この市場は同社にとってのブルーオーシャン市場と言える。
●「ARコンテンツ+COCOARサーバー」のシンプルな構造が差別化のポイント
上図にあるように、情報の送り手(企業)はマーカー画像(自由に設定できる)とARオブジェクト(送りたい情報。動画、音楽、Webサイト等)を用意して、サーバーにアップロードする。そのうえでマーカー画像を名刺やチラシなどに印刷する(厳密には印刷せずにモニター画面上の静止画でもかまわない。写真撮影ができれば良い)。情報の受け手(個人)が無料アプリをダウンロードし、印刷されたマーカーを撮影すると、スマートフォンの画面上にARオブジェクトの内容が映し出される。従来型は、個人が撮影するために利用するアプリとARオブジェクトが一体化していたため、拡張性や汎用性がなく、開発コストが都度発生し、高額だった。「COCOAR」の差別化ポイントは、マーカーとARオブジェクトをサーバー上で管理する仕組みとし、汎用性を高めたことだ。いわば注文服と既製服の差だ。
●QRサービスは似て非なるもの、内容の濃さと使い勝手で格段の差
ARと同種のサービスにQRコードを利用したものが比較的普及している。しかし、QRコードとARとの間では、コンテンツの情報量を始めとして様々な点で差が大きい。「COCOAR」は、マーカーのデザイン性、コンテンツの拡張性など使い勝手とコンテンツのリッチさで圧倒的に優位性がある。
●既存顧客の開拓だけでも成長余地は大きい
「COCOAR」の導入実績は280社以上とされている(2014年5月現在)。業種の内訳では、約50%が印刷業・印刷関連業、約25%が情報通信業となっており、残り25%が出版関連、製造卸小売業、その他となっている。現在、同社では電子ブック作成ソフト「ActiBook」の既存ユーザーに対してARを重ね売りする戦略で攻めており、それがこうした業種分散になっていると考えられる。「ActiBook」のユーザーは累計で2,200社を超えており、重ね売り戦略においてもまだ開拓余地は大きい。さらには、通販業者や小売業者、最終消費財メーカー、建築・不動産業者など、様々な業界で活用されるポテンシャルがあると言える。
●高利益率商品と推定、業績貢献度は高い
「COCOAR」の業績貢献への期待値は高い。売上高の実数は非公表だが、前述のように1本当たり300万円のソフトが280本販売済みであれば、累計売上高は840百万円という計算となる。これが現在の「COCOAR」の事業規模をイメージするうえでの1つの手がかりとなろう。また、利益面での期待値も大きい。同社は、このサービスの研究開発を電子ブック作成ソフトの開発と併せて行ったとしていることから、採算性はかなり高いと推測される。
●リスクはQRコードとの競合が考えられるが、杞憂に終わる可能性
「COCOAR」にとってのリスク要因として考えられるのは、QRコードの進化があるかもしれない。QRコードから飛んだ先のホームページのコンテンツが動画や音楽などのリッチなコンテンツにあふれているような進化を遂げた場合には、「COCOAR」とQRコードの差は狭まる。「COCOAR」もQRコードも、基本的には企業が宣伝のために活用する道具であり、利用者は個人という図式だ。情報の送り手である企業は、当然のようにホームページを有しているので、そこをリッチ・コンテンツ化すれば、「COCOAR」かQRコードかというのは、最終的にはコストの問題に集約されてくる。そうなった場合はQRコードが優位性を発揮する可能性がある。ただし、マーカーのデザインの自由度など、個人にアピールするうえで最も重要なポイントにおいて「COCOAR」のほうが優れており、現実的にその優位性は動かないと弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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スターティア<3393>の数あるサービス・製品のなかで特に注目されるのは、AR(拡張現実:主にモバイル機器などコンピュータを利用して現実映像に新たな情報を付加する技術)を利用するための「COCOAR」だ。今後、ARが広告・宣伝手法として一般化すれば、同社の「COCOAR」は高い価格競争力を武器に、一気にブレイクする可能性がある。
●広告手法としての注目度が高まりつつあるAR
ARは、「現実世界の『もっと知りたい(あるいは、知らせたい)』をWebと連携して補う」ということを実現するための技術だ。広告などにおいて非常に注目されているものの、費用の点で、なかなか普及が進んでいないという実情がある。従来からの一般的なARサービスの費用がかさむ理由は、1つの企画ごとにARコンテンツを含んだアプリケーションソフトを開発しているためである。その結果、費用が数百万円から数千万円という莫大な費用がかかることとなっている。
●他社のARサービスに比べて劇的なコストダウンに成功
「COCOAR」は、ARコンテンツをアプリ内で作りこむのではなく、サーバーにアップロードして都度呼び出すという構造で大幅にコストを引き下げた。一連の処理を行うソフトウェアをパッケージ化し、売り切りもしくは月極方式で販売している。売り切りの場合の価格は約300万円だが、サーバーの容量(10GB)限度内であればコンテンツが作り放題であるため、1企画当たりで考えると、大幅にコストを引き下げることが可能になる。同社は、この低価格と使い勝手の良さを武器に、ARの市場を切り拓いている。今現在、中小企業が気軽に利用できるARサービスは実質的に「COCOAR」だけというのが実情だけに、この市場は同社にとってのブルーオーシャン市場と言える。
●「ARコンテンツ+COCOARサーバー」のシンプルな構造が差別化のポイント
上図にあるように、情報の送り手(企業)はマーカー画像(自由に設定できる)とARオブジェクト(送りたい情報。動画、音楽、Webサイト等)を用意して、サーバーにアップロードする。そのうえでマーカー画像を名刺やチラシなどに印刷する(厳密には印刷せずにモニター画面上の静止画でもかまわない。写真撮影ができれば良い)。情報の受け手(個人)が無料アプリをダウンロードし、印刷されたマーカーを撮影すると、スマートフォンの画面上にARオブジェクトの内容が映し出される。従来型は、個人が撮影するために利用するアプリとARオブジェクトが一体化していたため、拡張性や汎用性がなく、開発コストが都度発生し、高額だった。「COCOAR」の差別化ポイントは、マーカーとARオブジェクトをサーバー上で管理する仕組みとし、汎用性を高めたことだ。いわば注文服と既製服の差だ。
●QRサービスは似て非なるもの、内容の濃さと使い勝手で格段の差
ARと同種のサービスにQRコードを利用したものが比較的普及している。しかし、QRコードとARとの間では、コンテンツの情報量を始めとして様々な点で差が大きい。「COCOAR」は、マーカーのデザイン性、コンテンツの拡張性など使い勝手とコンテンツのリッチさで圧倒的に優位性がある。
●既存顧客の開拓だけでも成長余地は大きい
「COCOAR」の導入実績は280社以上とされている(2014年5月現在)。業種の内訳では、約50%が印刷業・印刷関連業、約25%が情報通信業となっており、残り25%が出版関連、製造卸小売業、その他となっている。現在、同社では電子ブック作成ソフト「ActiBook」の既存ユーザーに対してARを重ね売りする戦略で攻めており、それがこうした業種分散になっていると考えられる。「ActiBook」のユーザーは累計で2,200社を超えており、重ね売り戦略においてもまだ開拓余地は大きい。さらには、通販業者や小売業者、最終消費財メーカー、建築・不動産業者など、様々な業界で活用されるポテンシャルがあると言える。
●高利益率商品と推定、業績貢献度は高い
「COCOAR」の業績貢献への期待値は高い。売上高の実数は非公表だが、前述のように1本当たり300万円のソフトが280本販売済みであれば、累計売上高は840百万円という計算となる。これが現在の「COCOAR」の事業規模をイメージするうえでの1つの手がかりとなろう。また、利益面での期待値も大きい。同社は、このサービスの研究開発を電子ブック作成ソフトの開発と併せて行ったとしていることから、採算性はかなり高いと推測される。
●リスクはQRコードとの競合が考えられるが、杞憂に終わる可能性
「COCOAR」にとってのリスク要因として考えられるのは、QRコードの進化があるかもしれない。QRコードから飛んだ先のホームページのコンテンツが動画や音楽などのリッチなコンテンツにあふれているような進化を遂げた場合には、「COCOAR」とQRコードの差は狭まる。「COCOAR」もQRコードも、基本的には企業が宣伝のために活用する道具であり、利用者は個人という図式だ。情報の送り手である企業は、当然のようにホームページを有しているので、そこをリッチ・コンテンツ化すれば、「COCOAR」かQRコードかというのは、最終的にはコストの問題に集約されてくる。そうなった場合はQRコードが優位性を発揮する可能性がある。ただし、マーカーのデザインの自由度など、個人にアピールするうえで最も重要なポイントにおいて「COCOAR」のほうが優れており、現実的にその優位性は動かないと弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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