あらた<2733>サプライチェーン全体を網羅する情報量が最大の武器
[14/06/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』6月16日放送において、あらた<2733>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■事業概要
あらたグループは日用雑貨化粧品カテゴリーで日本最大級の卸商社であり、その社会インフラとしての一翼を担っている
2002 年にダイカ(札幌)、伊藤伊(名古屋)、サンビック(福岡と日用品の地域卸3社が経営統合したのち、徳倉(徳島)が加わって誕生した。その後もM&Aを通じて規模の拡大、取扱商品の拡大や機能の拡充を図っており、現在の顧客数は全国で約5,300社、4.5万店舗にのぼり、約1,300社の取引先から14.4万品目にわたる商品を仕入れて、これら顧客へ供給している。
■業界内でのポジション
化粧品・日用雑貨卸の国内市場規模は3.6〜3.7兆円の規模となっており、ここ数年は伸び悩みの状況が続いていた。こうしたなかで、業界内における同社のポジショニングは、Paltac<8283>(メディパルホールディングス<7459>の子会社)と並ぶ2大広域卸売業としての位置付けとなっている。ここ数年、業界全体の市場規模が頭打ちのなかで、表にみられるように大手企業は年率3%前後の伸びで成長しており、大手企業の寡占化が着実に進んでいるものと推測される。
現在の同社の業界シェアは15〜20%程度(上位10位の中での占有率は約29%)と推定され、今後もシェアの拡大余地は大きいとみられる。なお、Paltacに関しては一般医薬品も取り扱っており、同分野の売上高が2014 年3 月期で1,300億円強の水準となっている。一般医薬品の売上高を除けば、売上高の水準は同社とほぼ拮抗する格好となる。
■強みは
同社の強みは、(1) 中間流通業が持つサプライチェーン全体を網羅する情報蓄積、(2) 蓄積情報を活用した店頭提案、(3) 小売業を支える在庫の効率化、(4) ローコストで高精度な高い物流機能、が挙げられる。
(1)中間流通業が持つサプライチェーン全体を網羅する情報蓄積
同社は約4.5 万店舗から日々集まる商品別の売上げ情報や在庫量、約1,300 社からなる取引先メーカーからの新製品情報などを社内の情報システムで一元管理し、中間的な立ち位置として、双方にとって有用な情報を迅速に発信することを実現している。広域に張り巡らされたネットワークによって、日々集まる膨大な情報量は、顧客店頭において消費者ニーズを満足させる売り場づくりをつくりあげていくための、最大の武器となる。
(2)蓄積情報を活用した店頭提案(3)小売業を支える在庫の効率化
顧客となる小売店舗にとっての目標は、「売上の拡大」であり、そのためには「売れる売り場づくり」が必要となる。同社では全国に配置されている約1,000 名の営業担当者がPDCA 活動を行うことで、その実現を支援している。
PLAN (企画・提案)では52週提案や、3か月先行提案、棚割りの提案などを、POSデータ等活用しながら行っている。Do(店頭の演出・販促)では、次世代型の店頭演出や消費者にとって楽しく見やすい売り場づくりを行う。次世代型の店頭演出とは、地域のマスメディアによるメーカーの販促施策と、店頭での販促活動を連動させた売り場づくりのことで、販促にかかる費用対効果の最大化を目指している。マスメディア広告との連携においては関連会社の電通リテールマーケティングと連携して行っており、同業他社にはない同社の特徴と言える。Check(店頭チェック)では、決まった担当者が、決まった日に、決まった店舗に訪問する「定期・定人・定店」が同社のコンセプトとなっており、顧客との信頼関係構築のより強固なものとしている。最後のAction (報告・共有) ではあらたの全国の営業が閲覧できるイントラネット、営業担当者が顧客店舗を訪問した際の情報を逐次、社内情報システムに入力し、全体で情報の共有を図ることのできる「店頭ナビ」というシステムを有する。
(4)ローコストで高精度な高い物流機能
同社の物流センターでは「AiMAS(アイマス)」などの最新の物流エンジニアリングを導入しており、多品種少量の商品を極めて高い精度で顧客へ配送することを可能としている。また、仕分け時間の短縮やスペースの効率化を実現することで、ローコスト運営も進めている。なお、現在の物流拠点は主要な物流センター9拠点を核にして、全国に20拠点以上を整備している。
■足元の業績は
2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.8%増の6,519億円、営業利益が同20.0%増の44億円、経常利益が同21.7%増の43 億円、当期純利益が同37.8%増の24億円と増収増益決算となった。売上高は過去最高を連続更新中で、経常利益は3期ぶりの増益である。
個人消費に回復感がでるなかで、日用品やヘルスケア商品の需要が全体的に堅調に推移したほか、消費増税前の駆け込み需要も売上高を押し上げた。増収率が5%を上回ったのは6期ぶりとなる。売上原価率は前期比で0.2ポイント悪化したが、これは売上割戻が増加したこと、受託物流事業で新規案件の立ち上げ費用増があったことなどが要因だ。一方で、販管費率は前期比で0.3ポイント改善した。経理業務や受注、仕入業務など従来、各拠点で行っていた業務を集約化することで間接費の圧縮を進めたほか、採用の抑制により人件費が減少したことなどが改善要因となっている。この結果、営業利益は前期比で20.0%の増益となり、営業利益率も0.1ポイント上昇の0.7%となった。当期純利益の増益率が37.8%と大きくなっているが、これは特別利益で退職給付制度の改定益529百万円を計上したことによるものである。
■中期経営計画は
同社は2015 年3 月期から始まる中期3 ヶ年計画を発表した。急激に変化する流通業界において次世代型卸商社として更なる成長を目指していく方針で、具体的な経営目標値としては2017年3月期に売上高6,700億円、経常利益67億円を掲げている。それが達成された際にはROEも2014年3月期の4.8%から6.0%程度まで上昇しよう。
同社を取り巻く市場環境としては、少子高齢化、女性の社会進出、地方経済の低迷などが続く見通しで、こうしたなかにおいて同社は人口構成変化に対応した取扱商品の拡充を進めるほか、高い物流機能の提供や、地方活性化を可能にする店舗づくりの提案などに取り組んでいく。収益を拡大するための施策としては、売上高の拡大を進めていくと同時に、収益性の向上を図っていく。
■株主還元策は
株主還元策について同社は、安定した配当を継続的に実施することを基本として、各事業年度の業績、財務状況、今後の事業展開等を総合的に勘案しながら配当額を決定する、としている。2014年3月期に関しては期初計画では前期比1円増配の9.0円としていたが、業績が計画を上回ったことで10.0円に上方修正。前期比2.0円増配の10.0円とした。現状では配当性向で35%を目途としており、今後も業績の拡大による増配が期待される。
■足元の株価動向は
足元では、300円レベルをボトムに反転基調が強まっている。中期的なトレンドはまだ弱いものの、上値抵抗ラインである26週線をクリアしてくるとトレンドの転換も期待できよう。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■事業概要
あらたグループは日用雑貨化粧品カテゴリーで日本最大級の卸商社であり、その社会インフラとしての一翼を担っている
2002 年にダイカ(札幌)、伊藤伊(名古屋)、サンビック(福岡と日用品の地域卸3社が経営統合したのち、徳倉(徳島)が加わって誕生した。その後もM&Aを通じて規模の拡大、取扱商品の拡大や機能の拡充を図っており、現在の顧客数は全国で約5,300社、4.5万店舗にのぼり、約1,300社の取引先から14.4万品目にわたる商品を仕入れて、これら顧客へ供給している。
■業界内でのポジション
化粧品・日用雑貨卸の国内市場規模は3.6〜3.7兆円の規模となっており、ここ数年は伸び悩みの状況が続いていた。こうしたなかで、業界内における同社のポジショニングは、Paltac<8283>(メディパルホールディングス<7459>の子会社)と並ぶ2大広域卸売業としての位置付けとなっている。ここ数年、業界全体の市場規模が頭打ちのなかで、表にみられるように大手企業は年率3%前後の伸びで成長しており、大手企業の寡占化が着実に進んでいるものと推測される。
現在の同社の業界シェアは15〜20%程度(上位10位の中での占有率は約29%)と推定され、今後もシェアの拡大余地は大きいとみられる。なお、Paltacに関しては一般医薬品も取り扱っており、同分野の売上高が2014 年3 月期で1,300億円強の水準となっている。一般医薬品の売上高を除けば、売上高の水準は同社とほぼ拮抗する格好となる。
■強みは
同社の強みは、(1) 中間流通業が持つサプライチェーン全体を網羅する情報蓄積、(2) 蓄積情報を活用した店頭提案、(3) 小売業を支える在庫の効率化、(4) ローコストで高精度な高い物流機能、が挙げられる。
(1)中間流通業が持つサプライチェーン全体を網羅する情報蓄積
同社は約4.5 万店舗から日々集まる商品別の売上げ情報や在庫量、約1,300 社からなる取引先メーカーからの新製品情報などを社内の情報システムで一元管理し、中間的な立ち位置として、双方にとって有用な情報を迅速に発信することを実現している。広域に張り巡らされたネットワークによって、日々集まる膨大な情報量は、顧客店頭において消費者ニーズを満足させる売り場づくりをつくりあげていくための、最大の武器となる。
(2)蓄積情報を活用した店頭提案(3)小売業を支える在庫の効率化
顧客となる小売店舗にとっての目標は、「売上の拡大」であり、そのためには「売れる売り場づくり」が必要となる。同社では全国に配置されている約1,000 名の営業担当者がPDCA 活動を行うことで、その実現を支援している。
PLAN (企画・提案)では52週提案や、3か月先行提案、棚割りの提案などを、POSデータ等活用しながら行っている。Do(店頭の演出・販促)では、次世代型の店頭演出や消費者にとって楽しく見やすい売り場づくりを行う。次世代型の店頭演出とは、地域のマスメディアによるメーカーの販促施策と、店頭での販促活動を連動させた売り場づくりのことで、販促にかかる費用対効果の最大化を目指している。マスメディア広告との連携においては関連会社の電通リテールマーケティングと連携して行っており、同業他社にはない同社の特徴と言える。Check(店頭チェック)では、決まった担当者が、決まった日に、決まった店舗に訪問する「定期・定人・定店」が同社のコンセプトとなっており、顧客との信頼関係構築のより強固なものとしている。最後のAction (報告・共有) ではあらたの全国の営業が閲覧できるイントラネット、営業担当者が顧客店舗を訪問した際の情報を逐次、社内情報システムに入力し、全体で情報の共有を図ることのできる「店頭ナビ」というシステムを有する。
(4)ローコストで高精度な高い物流機能
同社の物流センターでは「AiMAS(アイマス)」などの最新の物流エンジニアリングを導入しており、多品種少量の商品を極めて高い精度で顧客へ配送することを可能としている。また、仕分け時間の短縮やスペースの効率化を実現することで、ローコスト運営も進めている。なお、現在の物流拠点は主要な物流センター9拠点を核にして、全国に20拠点以上を整備している。
■足元の業績は
2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.8%増の6,519億円、営業利益が同20.0%増の44億円、経常利益が同21.7%増の43 億円、当期純利益が同37.8%増の24億円と増収増益決算となった。売上高は過去最高を連続更新中で、経常利益は3期ぶりの増益である。
個人消費に回復感がでるなかで、日用品やヘルスケア商品の需要が全体的に堅調に推移したほか、消費増税前の駆け込み需要も売上高を押し上げた。増収率が5%を上回ったのは6期ぶりとなる。売上原価率は前期比で0.2ポイント悪化したが、これは売上割戻が増加したこと、受託物流事業で新規案件の立ち上げ費用増があったことなどが要因だ。一方で、販管費率は前期比で0.3ポイント改善した。経理業務や受注、仕入業務など従来、各拠点で行っていた業務を集約化することで間接費の圧縮を進めたほか、採用の抑制により人件費が減少したことなどが改善要因となっている。この結果、営業利益は前期比で20.0%の増益となり、営業利益率も0.1ポイント上昇の0.7%となった。当期純利益の増益率が37.8%と大きくなっているが、これは特別利益で退職給付制度の改定益529百万円を計上したことによるものである。
■中期経営計画は
同社は2015 年3 月期から始まる中期3 ヶ年計画を発表した。急激に変化する流通業界において次世代型卸商社として更なる成長を目指していく方針で、具体的な経営目標値としては2017年3月期に売上高6,700億円、経常利益67億円を掲げている。それが達成された際にはROEも2014年3月期の4.8%から6.0%程度まで上昇しよう。
同社を取り巻く市場環境としては、少子高齢化、女性の社会進出、地方経済の低迷などが続く見通しで、こうしたなかにおいて同社は人口構成変化に対応した取扱商品の拡充を進めるほか、高い物流機能の提供や、地方活性化を可能にする店舗づくりの提案などに取り組んでいく。収益を拡大するための施策としては、売上高の拡大を進めていくと同時に、収益性の向上を図っていく。
■株主還元策は
株主還元策について同社は、安定した配当を継続的に実施することを基本として、各事業年度の業績、財務状況、今後の事業展開等を総合的に勘案しながら配当額を決定する、としている。2014年3月期に関しては期初計画では前期比1円増配の9.0円としていたが、業績が計画を上回ったことで10.0円に上方修正。前期比2.0円増配の10.0円とした。現状では配当性向で35%を目途としており、今後も業績の拡大による増配が期待される。
■足元の株価動向は
足元では、300円レベルをボトムに反転基調が強まっている。中期的なトレンドはまだ弱いものの、上値抵抗ラインである26週線をクリアしてくるとトレンドの転換も期待できよう。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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