セプテーニHD Research Memo(5):スマホ向けとソーシャルメディア向けの広告が急成長中
[14/06/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ネットマーケティング事業の概況
(2)各論
前述のように、インターネット広告の種類や形式は多岐にわたっており、同業他社といえども、それぞれに強みや注力分野が異なる。セプテーニ・ホールディングス<4293>の場合は、広告事業を見るうえでは、「スマホ向け」と「ソーシャルメディア向け」に注目すると、強みをより明確に理解できよう。また、中期的な成長を考えるうえでは、グローバル展開の状況が1つのカギとなってこよう。
(a)スマホ向け広告の状況
2014年9月期の第2四半期における同社のスマホ向け売上高は、ネットマーケティング事業の売上高の45.7%、5,779百万円に達し、前年同期の2,486百万円から一気に約2.3倍に増えた。また、第1四半期との比較でも29.7%の大幅増収となった。今第2四半期はアドネットワークやソーシャルメディアでのシェア上昇が増収につながったと会社側はコメントしている。
スマホ向け広告の急増の背景として、大きく2つの要因が考えられる。1つは、インターネット利用のデバイスがPCからスマホに急速に移行しつつあるということだ。広告は人に見られて初めて意味があるので、広告主も当然の流れとしてスマホ向けに出稿することになる。もう1つは、後述のソーシャルとも重なるが、同社のソーシャル事業の中心をなすFacebook向け広告はスマホ向け比率が高く、かつ競争力のあるテクノロジーを有していることである。同社はFacebook広告の販売においては国内トップシェアを占めているとみられ、これが同社のスマホ向け広告売上高増加にも寄与しているものと思われる。
スマホ向け広告市場の成長はスマホの普及台数の拡大とともに今後も続くと予想されるが、その広告のあり方はPC向けとは若干異なる。画面の大きさや活用の仕方がPCとは異なるためだ。たとえば、スマホはソーシャルメディアやゲームの利用割合がPCに比べて大きいと推測される。また、最近ではスマホ独自のサービスも増えてきている。したがって、そうした利用実態に合わせた広告手法が重要になってくる。その意味で、スマホ向け広告市場はまだまだ発展途上とも言え、ここにもう1つの成長余地を見出すことができよう。
(b)ソーシャル事業の状況
同社のソーシャル事業の売上高は、2014年9月期の第2四半期において、1,287百万円に達し、前年同期比で約3.5倍に増加した。第1四半期との比較でも31.2%の大幅増収となった。この急成長の背景には、Facebook関連サービスにおいて国内では顧客単価が上昇しているほか、海外ではアジア市場の開拓が進みつつあることが大きい。また、第2四半期に入ってTwitter広告の取扱高が大幅に拡大しているようで、この点も増収に寄与したもようだ。
ソーシャル事業において主戦場となるメディアには、Facebook、Twitter、及びLINEがある。しかし現時点で十分な市場性があるのはFacebookとTwitterであり、LINEは広告媒体としてのスキームの開発はこれからという状況だ。こうした状況にあって、同社は、Facebook向け広告で業界トップシェアを獲得しているとみられる。
その原動力が「PYXIS」と呼ばれる同社独自のツールだ。これは、Facebookへの広告出稿に際しての運用最適化が図れるものだ。同社は広告枠についての通常の販売マージンに加えて、PYXIS利用料という形でさらに収入を得ることができる。一方、広告主は、より効果的な出稿が可能になる。こうしたFacebook専用のツールを有している国内企業は現状では同社のみとなっており、これが同社のトップシェア獲得に大きく貢献していると言える。さらに、この取り組みが評価されて、同社はFacebook社から、広告カテゴリーにおいて日本で唯一の「認定マーケティングデベロッパー(PMD)」に選ばれた実績を有する。
「PYXIS」はFacebook専用ツールであるが、これを通じて培ったノウハウは、Twitterにおいても転用することは十分可能であろう。現状はまだTwitter向け売上高の規模は小さいと思われるが、成長性は非常に高いものが期待される。
同社はソーシャル事業の利益率を非公表としているが、ネットマーケティング事業の平均に比べて高いというところまでは認めている。したがって、ソーシャルの売上高の拡大は同社の業績には純粋にプラスと考えて良いであろう。
(c)グローバル展開の状況
同社の海外展開は2013年9月期から本格的に開始したばかりで、売上高の絶対値はまだそれほど大きくないようだ。売上高の実数については公表されておらず、指数での発表にとどまっているが、成長性は非常に高く、2013年9月期の第2四半期と1年後の2014年9月期の第2四半期とを比較すると、売上高は12倍に拡大した。地域的には北米拠点が好調で、これが業容の大幅拡大に寄与しているとみられる。アジア太平洋地域においてもFacebook向けを中心に好調に推移しているもようだ。こうした傾向は第1四半期からすでにみられていたが、第2四半期に入っても継続していることが確認できた。
同社は、シンガポール、サンフランシスコ、ロンドン、ソウルの4か所に海外営業拠点を有し、海外市場でのネット広告代理事業を展開している。このうち、ロンドンは2014年2月、ソウルは2014年3月の開設である。したがって、両拠点とも第2四半期業績への寄与は限定的だと見られるものの、現状の海外事業の成長スピードから見て、第3四半期からは実質的に収益に貢献してくるものと期待される。ビジネスモデルは、クロスボーダー取引といわれるもので、(A)海外企業の日本向けマーケティングサポート、(B)日本企業の海外向けマーケティングサポート、(C)海外企業の海外(別のエリア)向けマーケティングサポートの大きく3パターンがあり、現状最も多いのは(A)のパターンとのことである。
海外事業という意味では、ベトナムの「SEPTENI TECHNOLOGY」も注目される。これはアドテク関連のシステム開発会社で、現在は主にソーシャルメディア向け広告関連ツールの開発を手がけている。広告営業の前線に位置する会社ではないが、海外に広く目を向けて事業遂行の最適地を追求するという同社の考え方を垣間見ることができる一例と言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2)各論
前述のように、インターネット広告の種類や形式は多岐にわたっており、同業他社といえども、それぞれに強みや注力分野が異なる。セプテーニ・ホールディングス<4293>の場合は、広告事業を見るうえでは、「スマホ向け」と「ソーシャルメディア向け」に注目すると、強みをより明確に理解できよう。また、中期的な成長を考えるうえでは、グローバル展開の状況が1つのカギとなってこよう。
(a)スマホ向け広告の状況
2014年9月期の第2四半期における同社のスマホ向け売上高は、ネットマーケティング事業の売上高の45.7%、5,779百万円に達し、前年同期の2,486百万円から一気に約2.3倍に増えた。また、第1四半期との比較でも29.7%の大幅増収となった。今第2四半期はアドネットワークやソーシャルメディアでのシェア上昇が増収につながったと会社側はコメントしている。
スマホ向け広告の急増の背景として、大きく2つの要因が考えられる。1つは、インターネット利用のデバイスがPCからスマホに急速に移行しつつあるということだ。広告は人に見られて初めて意味があるので、広告主も当然の流れとしてスマホ向けに出稿することになる。もう1つは、後述のソーシャルとも重なるが、同社のソーシャル事業の中心をなすFacebook向け広告はスマホ向け比率が高く、かつ競争力のあるテクノロジーを有していることである。同社はFacebook広告の販売においては国内トップシェアを占めているとみられ、これが同社のスマホ向け広告売上高増加にも寄与しているものと思われる。
スマホ向け広告市場の成長はスマホの普及台数の拡大とともに今後も続くと予想されるが、その広告のあり方はPC向けとは若干異なる。画面の大きさや活用の仕方がPCとは異なるためだ。たとえば、スマホはソーシャルメディアやゲームの利用割合がPCに比べて大きいと推測される。また、最近ではスマホ独自のサービスも増えてきている。したがって、そうした利用実態に合わせた広告手法が重要になってくる。その意味で、スマホ向け広告市場はまだまだ発展途上とも言え、ここにもう1つの成長余地を見出すことができよう。
(b)ソーシャル事業の状況
同社のソーシャル事業の売上高は、2014年9月期の第2四半期において、1,287百万円に達し、前年同期比で約3.5倍に増加した。第1四半期との比較でも31.2%の大幅増収となった。この急成長の背景には、Facebook関連サービスにおいて国内では顧客単価が上昇しているほか、海外ではアジア市場の開拓が進みつつあることが大きい。また、第2四半期に入ってTwitter広告の取扱高が大幅に拡大しているようで、この点も増収に寄与したもようだ。
ソーシャル事業において主戦場となるメディアには、Facebook、Twitter、及びLINEがある。しかし現時点で十分な市場性があるのはFacebookとTwitterであり、LINEは広告媒体としてのスキームの開発はこれからという状況だ。こうした状況にあって、同社は、Facebook向け広告で業界トップシェアを獲得しているとみられる。
その原動力が「PYXIS」と呼ばれる同社独自のツールだ。これは、Facebookへの広告出稿に際しての運用最適化が図れるものだ。同社は広告枠についての通常の販売マージンに加えて、PYXIS利用料という形でさらに収入を得ることができる。一方、広告主は、より効果的な出稿が可能になる。こうしたFacebook専用のツールを有している国内企業は現状では同社のみとなっており、これが同社のトップシェア獲得に大きく貢献していると言える。さらに、この取り組みが評価されて、同社はFacebook社から、広告カテゴリーにおいて日本で唯一の「認定マーケティングデベロッパー(PMD)」に選ばれた実績を有する。
「PYXIS」はFacebook専用ツールであるが、これを通じて培ったノウハウは、Twitterにおいても転用することは十分可能であろう。現状はまだTwitter向け売上高の規模は小さいと思われるが、成長性は非常に高いものが期待される。
同社はソーシャル事業の利益率を非公表としているが、ネットマーケティング事業の平均に比べて高いというところまでは認めている。したがって、ソーシャルの売上高の拡大は同社の業績には純粋にプラスと考えて良いであろう。
(c)グローバル展開の状況
同社の海外展開は2013年9月期から本格的に開始したばかりで、売上高の絶対値はまだそれほど大きくないようだ。売上高の実数については公表されておらず、指数での発表にとどまっているが、成長性は非常に高く、2013年9月期の第2四半期と1年後の2014年9月期の第2四半期とを比較すると、売上高は12倍に拡大した。地域的には北米拠点が好調で、これが業容の大幅拡大に寄与しているとみられる。アジア太平洋地域においてもFacebook向けを中心に好調に推移しているもようだ。こうした傾向は第1四半期からすでにみられていたが、第2四半期に入っても継続していることが確認できた。
同社は、シンガポール、サンフランシスコ、ロンドン、ソウルの4か所に海外営業拠点を有し、海外市場でのネット広告代理事業を展開している。このうち、ロンドンは2014年2月、ソウルは2014年3月の開設である。したがって、両拠点とも第2四半期業績への寄与は限定的だと見られるものの、現状の海外事業の成長スピードから見て、第3四半期からは実質的に収益に貢献してくるものと期待される。ビジネスモデルは、クロスボーダー取引といわれるもので、(A)海外企業の日本向けマーケティングサポート、(B)日本企業の海外向けマーケティングサポート、(C)海外企業の海外(別のエリア)向けマーケティングサポートの大きく3パターンがあり、現状最も多いのは(A)のパターンとのことである。
海外事業という意味では、ベトナムの「SEPTENI TECHNOLOGY」も注目される。これはアドテク関連のシステム開発会社で、現在は主にソーシャルメディア向け広告関連ツールの開発を手がけている。広告営業の前線に位置する会社ではないが、海外に広く目を向けて事業遂行の最適地を追求するという同社の考え方を垣間見ることができる一例と言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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