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テクマトリックス Research Memo(5):クラウド推進で業務範囲を横展開して拡大することも可能

注目トピックス 日本株

■「クラウド」「セキュリティ&セイフティ」への一大構造改革

(1)クラウド戦略の意味

テクマトリックス<3762>は現在、上記のような特徴を活かしながら、さらなる成長を目指して構造改革を進めている。具体的には、事業横断的に「クラウド関連事業の推進」と「セキュリティ&セイフティの追求」の2つの事業戦略である。

今までのシステム構築や構築後の各種サービスを中心とするビジネスモデルは、労働集約型な面があり、成長を持続させるためにはSEをはじめ、人を増やしていく必要がある。ただ、これには大きな問題がふたつある。ひとつは人を増やさなければ成長できないという点。これでは人件費の増加に伴い、利益率の上昇も抑えられてしまう。また、景気の悪化などの原因で受注が落ち込んだ場合には、増えた人はそのままコストにしかならないというリスクもある。ふたつめは、人員拡大をしていけば規模を維持するため、技術者だけでも1,000人を越える大手システム会社と真正面から対決しなければならなくなる点である。同社は1984年の創業で、従業員が連結ベースで約920人、業界で後発組になる。そうであるにも関わらず存続できたのは、総合商社独特のビジネススキルを持つ強みを活かし、アプリケーション・サービス事業で4つの分野に集約しているように事業領域を絞り込んで開拓してきた点にある。それを捨て、大手と同じことを後追いして勝つのは難しい。

そこで、人を極力増やさずに、さらに同社の今の特徴を活かしながら、着実な成長を続けていける方法として、「クラウド」に注目した。クラウドならば、人員の増加を抑えながら、サービスの質で勝負できる。現在のアプリケーション・サービス事業における特定市場・特定業界へのサービスという枠組みを保持しながら、顧客基盤を拡大することもできる。

さらに、クラウドならば大手システム会社の後追いにならないという市場環境面のメリットもある。大手システム会社にとっては、従来のビジネスモデルを捨てて、転換するのは、なかなか容易ではない。また、システム構築をしてきた人員が余剰になる恐れがあるため、大手システム会社はクラウドにあまり積極的でない面もある。やがては、大手もビジネスモデルの転換を完了させるだろうが、それまでにクラウドで先行すれば、逆に大手を迎え撃つ立場になれる可能性がある。

ただ、クラウドはクライアントにとって、大切なデータを他人に預けるという不安もある。そこで、クライアントの情報の漏えいを防ぎ、適切に管理する「セキュリティ&セイフティ」もクラウドに並ぶ戦略の柱になる必要がある。したがって、「セキュリティ&セイフティ」は、クラウドと表裏一体のものである


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤邦光)



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