AOI Pro. Research Memo(7):TVCM制作や動画を利用したネット広告制作は成長分野
[14/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(4)業界環境
電通の調査によれば、日本の総広告費(2013年)は、5兆9,762億円(前年比1.4%増)と2年連続で増加した。アベノミクス効果による持続的な景気回復期待に加えて、年後半での消費税増税に伴う駆け込み需要の影響もあったとみられる。そのうち、テレビ広告費(媒体費+制作費)は1兆7,913億円(前年比0.9%増)と媒体の多様化(ネットなどのデジタルメディアの台頭)の影響もあり、緩やかな伸びにとどまったが、同社の領域であるTVCM制作費に限定すれば、2,147億円(前年比7.9%増)と高い伸び率となっている。そもそも、TVCM制作費は、媒体費と比べて市場規模が小さいものの、媒体価格が景気変動の影響を受けやすいのとは対照的に、景気に左右されない安定した市場であるところに特徴がある。TVCM制作費は、過去数年にわたって安定的かつ着実な伸びを見せており、今後も2020年の東京オリンピック開催に向けて、企業の宣伝広告活動が活発化することが予想されており、TVCM制作費の拡大も見込まれている。また、インターネット広告との相乗効果も期待されている。
一方、インターネット広告費(媒体費+制作費)は9,381億円(前年比8.1%増)で、そのうち、インターネット広告制作費は、同社が注力する動画を活用した運用型広告の急伸もあり、2,178億円(前年比6.2%増)と伸びている。なお、動画を活用した運用型広告は、TVCMの多くが15秒または30秒であるのに対して90〜120秒間のなかでしっかりと訴求できるところや、YouTubeなどを活用して拡散できるところに特徴があり、これからも進化を続けながら成長する市場と言える。
業界構造については、業界老舗の東北新社<2329>を筆頭に、AOI Pro.<9607>、ティー・ワイ・オー<4358>の大手3社によって市場全体の約30%を占めていると推定される。映像広告制作会社の連盟JAC(一般社団法人日本アド・コンテンツ制作社連盟)正会員数の推移を見ると、1992年の143社をピークとして2014年4月末には93社に減少する傾向が見られる一方、大手3社の市場シェアが拡大していることから、業界の寡占化が進展しているものと考えられる。その背景には、広告主側の情報管理を含めたコンプライアンス意識の高まりや、スケールメリットが働く事業構造であることから、小規模の事業者が案件を受け難くなってきたことが挙げられよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト柴田 郁夫)
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(4)業界環境
電通の調査によれば、日本の総広告費(2013年)は、5兆9,762億円(前年比1.4%増)と2年連続で増加した。アベノミクス効果による持続的な景気回復期待に加えて、年後半での消費税増税に伴う駆け込み需要の影響もあったとみられる。そのうち、テレビ広告費(媒体費+制作費)は1兆7,913億円(前年比0.9%増)と媒体の多様化(ネットなどのデジタルメディアの台頭)の影響もあり、緩やかな伸びにとどまったが、同社の領域であるTVCM制作費に限定すれば、2,147億円(前年比7.9%増)と高い伸び率となっている。そもそも、TVCM制作費は、媒体費と比べて市場規模が小さいものの、媒体価格が景気変動の影響を受けやすいのとは対照的に、景気に左右されない安定した市場であるところに特徴がある。TVCM制作費は、過去数年にわたって安定的かつ着実な伸びを見せており、今後も2020年の東京オリンピック開催に向けて、企業の宣伝広告活動が活発化することが予想されており、TVCM制作費の拡大も見込まれている。また、インターネット広告との相乗効果も期待されている。
一方、インターネット広告費(媒体費+制作費)は9,381億円(前年比8.1%増)で、そのうち、インターネット広告制作費は、同社が注力する動画を活用した運用型広告の急伸もあり、2,178億円(前年比6.2%増)と伸びている。なお、動画を活用した運用型広告は、TVCMの多くが15秒または30秒であるのに対して90〜120秒間のなかでしっかりと訴求できるところや、YouTubeなどを活用して拡散できるところに特徴があり、これからも進化を続けながら成長する市場と言える。
業界構造については、業界老舗の東北新社<2329>を筆頭に、AOI Pro.<9607>、ティー・ワイ・オー<4358>の大手3社によって市場全体の約30%を占めていると推定される。映像広告制作会社の連盟JAC(一般社団法人日本アド・コンテンツ制作社連盟)正会員数の推移を見ると、1992年の143社をピークとして2014年4月末には93社に減少する傾向が見られる一方、大手3社の市場シェアが拡大していることから、業界の寡占化が進展しているものと考えられる。その背景には、広告主側の情報管理を含めたコンプライアンス意識の高まりや、スケールメリットが働く事業構造であることから、小規模の事業者が案件を受け難くなってきたことが挙げられよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト柴田 郁夫)
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