シュッピン Research Memo(4):新中期計画の業績目標は従来計画比で大幅に上方修正
[14/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■新中期計画について
シュッピン<3179>は2013年5月に策定した中期経営計画のローリングを行い、2015年3月期から2017年3月期の3か年計画を策定した。新たな中期経営計画では、業績目標が従来計画比で大幅に上方修正されている。前述したように、2014年3月期に大幅増収増益を達成したことに加え、Web会員数増加や中古品買取り量の増大、サイト内検索システムのリニューアル投資の手応えなど、将来につながる指標や諸施策が全般的に好調に推移していることがその要因であろう。
増収計画の中味も興味深い。2014年3月期から2017年3月期の増収額は9,016百万円であるが、そのうち68%にあたる6,126百万円がカメラ事業、26%にあたる2,315百万円が時計事業となっている。筆記具と自転車の増収額はそれぞれ、254百万円、322百万円とごく低い貢献度となっている。これは後述するように、同社の目指すEコマースモデルにカメラ・時計の商材はぴたりと当てはまる一方、筆記具と自転車は商慣行や市場特性などで、まだ改善の余地があるためであると弊社では考えている。
新たな中期経営計画の実現可能性の検討は後述するが、それが達成された場合、同社の財務指標がどのように変わるかを先にみてみよう。同社の業績予想値に加えて、弊社では下表のような前提に基づいて貸借対照表の主要項目を推計し、それらの値を用いて財務指標を試算した。
前提の大きな流れとして、同社は今後3年間で収益の高成長を実現すると予想している。2014年3月期を起点とし2017年3月期までの3年間の年平均成長率は、売上高が16.4%、営業利益が28.4%、当期純利益が34.5%だ。2012年3月期から2015年3月期までの3年間のそれに比べて成長率が鈍化しているのは事実であるが、収益の水準が高くなってきているため違和感はない。売上高で年16.4%成長、営業利益で年28.4%成長という値自体、十分に高い成長率と評価できる。
自己資本利益率(ROE)は2017年3月期末で29.5%と試算される。また、ROA(総資産経常利益率)は24.1%と試算される。ROEで約30%という値は日本企業として称賛される水準であり、世界標準でも文句なしに合格点を得られる水準だ。一般にROEと株価バリュエーションに正の相関がみられるため、同社のROEの高さへの認識が広まれば株価バリュエーションへのプレミアム付与も期待できよう。
同社の高ROEが高いROAからもたらされていることは明白だが、高ROAは高い資産回転率からもたらされている。同社の総資産回転率は約4回と極めて高くなっている。今回の試算では総資産回転率が2014年3月期実績(期首期末平均ベース)の値が横ばいで続くとしている。この値がどう変わるかで、財務指標はいかようにも変わり得る。したがって、重要なことは、売上高の成長(トップライン・グロース)こそが全てを決するという点だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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シュッピン<3179>は2013年5月に策定した中期経営計画のローリングを行い、2015年3月期から2017年3月期の3か年計画を策定した。新たな中期経営計画では、業績目標が従来計画比で大幅に上方修正されている。前述したように、2014年3月期に大幅増収増益を達成したことに加え、Web会員数増加や中古品買取り量の増大、サイト内検索システムのリニューアル投資の手応えなど、将来につながる指標や諸施策が全般的に好調に推移していることがその要因であろう。
増収計画の中味も興味深い。2014年3月期から2017年3月期の増収額は9,016百万円であるが、そのうち68%にあたる6,126百万円がカメラ事業、26%にあたる2,315百万円が時計事業となっている。筆記具と自転車の増収額はそれぞれ、254百万円、322百万円とごく低い貢献度となっている。これは後述するように、同社の目指すEコマースモデルにカメラ・時計の商材はぴたりと当てはまる一方、筆記具と自転車は商慣行や市場特性などで、まだ改善の余地があるためであると弊社では考えている。
新たな中期経営計画の実現可能性の検討は後述するが、それが達成された場合、同社の財務指標がどのように変わるかを先にみてみよう。同社の業績予想値に加えて、弊社では下表のような前提に基づいて貸借対照表の主要項目を推計し、それらの値を用いて財務指標を試算した。
前提の大きな流れとして、同社は今後3年間で収益の高成長を実現すると予想している。2014年3月期を起点とし2017年3月期までの3年間の年平均成長率は、売上高が16.4%、営業利益が28.4%、当期純利益が34.5%だ。2012年3月期から2015年3月期までの3年間のそれに比べて成長率が鈍化しているのは事実であるが、収益の水準が高くなってきているため違和感はない。売上高で年16.4%成長、営業利益で年28.4%成長という値自体、十分に高い成長率と評価できる。
自己資本利益率(ROE)は2017年3月期末で29.5%と試算される。また、ROA(総資産経常利益率)は24.1%と試算される。ROEで約30%という値は日本企業として称賛される水準であり、世界標準でも文句なしに合格点を得られる水準だ。一般にROEと株価バリュエーションに正の相関がみられるため、同社のROEの高さへの認識が広まれば株価バリュエーションへのプレミアム付与も期待できよう。
同社の高ROEが高いROAからもたらされていることは明白だが、高ROAは高い資産回転率からもたらされている。同社の総資産回転率は約4回と極めて高くなっている。今回の試算では総資産回転率が2014年3月期実績(期首期末平均ベース)の値が横ばいで続くとしている。この値がどう変わるかで、財務指標はいかようにも変わり得る。したがって、重要なことは、売上高の成長(トップライン・グロース)こそが全てを決するという点だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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