アデランス Research Memo(9):女性かつらではパイオニア、シェア40%でトップ
[14/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業の詳細
女性用かつら市場ではシェア40%のパイオニア
(2)国内女性用かつら事業
アデランス<8170>は、創業間もない1970年に女性用かつら市場に参入した。鐘淵化学工業が「フォンテーヌ」ブランドで製造販売していた女性用レディメイドかつらの販売会社を設立したのが始まりで、1985年にはフォンテーヌ社を子会社化した。1990年には女性用サロンの展開を始め、女性用オーダーメイドかつらを本格的に販売開始した。このように、女性用市場において同社は、レディメイドとオーダーメイドの両分野でパイオニア的な存在であり、今日の市場シェア1位の地位へとつながっている。2014年2月期の女性用かつら(レディメイドとオーダーメイドを合わせた、かつら本体と育毛サービスなど周辺サービスの合計)の売上高は26,666百万円(前期比9.1%増)で、シェアは約40%と推定されている。シェア第2位はアートネイチャーで約20%と推定されている。女性用は、この両社で市場の60%を占めており、男性以上に寡占化が進んでいると言える。
○女性用にはレディメイドの市場も
女性用かつらは、オーダーメイドのほかにレディメイドがランナップされている点が男性用と異なっている。オーダーメイドかつらについては男性用と同様の販売方法であるが、レディメイドかつらについては、百貨店や大手総合スーパー(GMS)での対面販売が基本となっている。これは、百貨店の一角に販売コーナーを設け、販売員が顧客ニーズに合わせて商品を提案するというものである。
○オーダーメイドが45万円、レディメイドが10万円
価格については、オーダーメイドかつらの平均価格が45万円で、中心価格帯は40万円〜50万円、レディメイドかつらは平均価格が約10万円で、中心価格帯は3万円〜20万円、というイメージだ。オーダーメイドかつらの価格が高価なのは言うに及ばないが、レディメイドかつらの価格も比較的高価な領域にあると言える。ここから言えることは、同社にとって、レディメイドかつらは、オーダーメイドかつらと同様に、中高年者の髪の「悩み」を解決するための商品と位置づけていることだ。
○市場掘り起こしはシェアトップ企業としての使命
市場分析で前述したように、女性用かつら市場は、人口分布の変化の影響が比較的小さく、当面は成長が持続すると期待できる。しかし、それは男性と比較しての程度の差に過ぎず、長期的には市場が縮小していくことは避けられない。男性と女性とでは、薄毛に対する対応ニーズに大きな差があるだけでなく、心理的抵抗にも大きな差があると思われる。これを活かして、ファッション的な観点なども含めて、かつら(ウィッグ)のさらなる需要の喚起と、それに対応した商品ラインアップの充実は、同社にとっても不可欠だと考えている。
○市場活性化に向けて廉価製品の再投入などにも可能性があるとみる
同社は、過去に10代〜20代の若い女性向けのブランドを立ち上げ、低価格帯のファッション用ウィッグやつけ毛を直営店で販売していた時期があった。しかし現在では、直営店は閉鎖しており、それらの商品を自社のECサイトや一部の店舗で販売しているのみとなっており、規模は縮小している。そこには一定の理由や合理性があったと推測されるが、市場全体の活性化策の1つとしては、このように比較的安価な分野の販売強化についても検討の余地があろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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