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アデランス Research Memo(11):米国植毛市場の規模は1,000億円、ボズレーは好調ながら改善余地も

注目トピックス 日本株

■事業の詳細

(3)海外事業

(ii)北米ヘアトランスプラント事業の状況
○米国の植毛市場は1,000億円で日本の約20倍
ヘアトランスプラント(植毛)は、頭皮に人工毛や人毛を埋め込むものであり、外科的医療行為とされている。この点は日米とも同じである。国内での市場規模は40億円〜50億円と推定されているが、米国の市場規模はおよそ1,000億円と推測されている。

○2001年にボズレー社を買収して米国植毛市場に参入
米国植毛市場で約10%のシェアを有するボズレー社は、全米で約11のサージカルオフィス(クリニック)と約33コンサルテーションオフィスを拠点として展開していた。アデランス<8170>は当時、米国でレディメイドかつらのディーラーやホールセラーを買収して、かつらを個人向けに販売していたが、レディメイドかつらの補完を狙って2001年にボズレー社を買収して、ヘアトランスプラント事業に参入した。ボズレー社買収の直後に9.11の米国同時多発テロ事件が起こって思わぬ逆風を受けたが、その後は順調に立ち直って比較的安定的に利益を計上した。

2007年には植毛事業のMHR社を買収したが、今度は2008年のリーマン・ショックの影響を受けて大きく計画が狂い、2007年から2009年までの3年連続で営業損失を計上した。こうした状況を受けて、MHR社は2010年にボズレーに統合された。

○ボズレーの業績は順調ながらも、改善の余地はある
2010年以降、ボズレー社は再び営業黒字を回復し、収益に貢献している。しかし、この状況は手放しで喜ぶ訳にはいかない。まず、売上高が伸びていない。2013年(決算期では2014年2月期に相当)の売上高は、円換算ベースで約900百万円の増収となったが、ドルベースでは104.8百万ドルから95.1百万ドルへと10%近い減収だった。次に、営業利益率が期待値を大きく下回った状態が続いている。2009年2月期〜2011年2月期までの3ヵ年の中期経営計画では、下記の表のような形でボズレー社の収益計画が公表された。ここで明らかなように、MHR社を除くボズレー社単体の営業利益率は10%〜15%近くになると想定されていた。

○日本からテコ入れに着手
ボズレー事業の収入低下及び低収益性について、同社はメディア・バイイング(広告枠の確保)とメディア・ファティーグ(宣伝の陳腐化)の2つの要因を挙げた。前者は資金的なこともあるので改善は難しいとしたが、後者については新しい宣伝材料を作成し、2013年12月に開始したことから、今後の効果に期待を寄せている。これらとは別に、過去にはコスト管理に力点を置いたマネジメントで営業力が低下したことも収益力低下の要因の1つのようだ。この点についても、日本からボズレー社の経営陣に人材を派遣してテコ入れを図っている状況にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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