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アデランス Research Memo(14):複数のブランド展開、顧客視点でのわかりやすさ向上が課題か

注目トピックス 日本株

■事業の詳細

(5)ブランド戦略

○サービス、商品で複数のブランドを展開

アデランス<8170>は、男性用かつら(オーダーメイド)は「アデランス」、女性用オーダーメイドかつらは「レディスアデランス」、女性用のレディメイドかつらは「フォンテーヌ」を中核にブランドを展開している。しかし、これらは「製品としてのかつらのブランド」であり、サービスに関しては、ブランド(サービスメニューと言ったほうが適切かもしれないが)が非常に多彩になっている。男性用を例にとると、コンサルテーションの「ヘアチェック」、男性用の育毛サービスの「ヘアリプロ」「ヘアシーダ」、部分増毛では「ピンポイントフィックス」「ピンポイントチャージ」、主力の新増毛やかつら着装では「ヘアパーフェクト」「ヘアリベラ」「アデランスヘアクラブ」など8種類、といった具合だ。

○多すぎるブランドやサービスメニューが顧客満足度を低下させている懸念

こうした多彩なサービスメニュー展開は、消費者の多様なニーズに応えているという反面、それらが併用可能であったり複層的に利用可能であったりするために、消費者が本当に自分に最適なメニューはどれなのかについて、混乱を招く状況も同時に創り出している懸念がある。ホームページを見ただけでは自分はどうしたらよいのかおおよその見当をつけることが難しい。同社側は、それゆえにコンサルテーション(ヘアチェック)をきちんと行います、ということなのだろうが、サービスメニューが多彩で複層的なため、消費者に「不必要なサービスも購入しすぎてはいないかという疑念が生まれて、結果的に満足度の低下を招く可能性は否定できないであろう。

○顧客満足度を何より重視する企業努力が空回りにならないよう配慮すべき

同社自身は、そうした指摘を受けるまでもなく、顧客満足度の向上に多大な企業努力を行っており、顧客との間で長期に渡る信頼関係が保持できるよう、販売についての厳しい自主規制のための社内ルールを設けている。この社内ルール遵守の代償として売上高減少も辞さないという姿勢を堅持した結果、実際に売上高が減少するという状況も起こったことがある。そうまでして大切にした顧客満足度が、サービスメニューの複雑化でかえって悪化しているとしたら、皮肉なことである。そういった意味から、ブランド展開あるいはサービスメニュー展開について、わかりやすさを高める余地は大いにあるように思われる。

○女性用でも過去、頻繁なブランド変更が見られた

また、女性用オーダーメイドかつらは、「レディスアデランス」(2009年12月まで)→「Fontaine」(2010年1月から2010年12月まで)→「Fontaine by レディスアデランス」(2011年1月以降)とブランド名を変えてきている。こうしたブランド名の頻繁な変更が、明確な戦略に基づくものであればよいが、短期間の変更は消費者にとっては混乱を招く懸念がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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