アデランス Research Memo(16):ライバルの攻勢で一時低迷するも、リストラを断行し黒字体質が定着
[14/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■財務分析
(2)過去の業績推移
○連結営業利益のピークは2002年2月期
アデランス<8170>は1968年の創業から2000年代初頭までの約40年間はひたすら右肩上がりの成長を実現したが、2000年代中盤以降は一転して、減収減益基調をたどった。2012年2月期に業績が底打ちして黒字化を達成し、増益に転じて現在に至っている。
○ライバルの攻勢、かつら代替品の登場で売上高減少
同社の業績トレンドが増益から減益へと大変換となった理由は、ヘアケア市場における代替品の登場やライバル企業の攻勢であった。そもそも、同社が90年代に大きく成長した理由は、かつら販売よりも「育毛サービス」の成長があった。同社はこの分野で「ヘアサポート」というブランド名でサービスを提供し、同社の収益源として成長を実現してきた。しかしこの分野において、まず、1999年に大正製薬ホールディングス<4581>が「リアップ」を発売した。また、2001年には毛髪クリニックリーブ21(非上場)が、育毛・発毛をうたう「リーブ21」の大量宣伝で攻勢をかけてきた。さらには2005年には男性型脱毛症(AGA)治療薬「プロペシア」が発売された。こうした非かつら勢力の攻勢で同社の収益源の1つであった「育毛サービス」が大きく減収となった。
主力の男性用かつらにおいても、2003年にプロピアが増毛商品「ヘアコンタクト」で攻勢をかけ、同社にとってはダメージとなった。同社とビジネスモデルがほぼ同じアートネイチャーもその間、減収となる時期もあったが、その傷は同社に比べて浅く、結果的に同社はシェアを失った。
○女性向け売上高減少の影響も大きかった
2000年代の同社の業績凋落の隠れた主因は女性用顧客の取りこぼしにあった。業績がピークであった2002年2月期においては、女性向け売上高合計は男性向け売上高合計に約2倍の規模を有していた。この女性用かつら売上が大きく落ち込んだことが、利益の減少につながった。
○リーマン・ショックの逆境をばねにリストラを断行。黒字体質が定着
2008年のリーマン・ショックで同社の業績はいよいよ悪化したが、それは同社の危機感を高め、コスト削減に本腰が入る契機ともなった。2010年2月期には1985年9月の株式店頭公開以降で初の営業損失を計上するに至った。同社は、従前から取り組んでいた資産圧縮や広告宣伝費、販売促進費等の見直し、人件費・労務費の削減などの、リストラ策を強化した。2011年2月期はコスト削減が売上高の減少に追いつかず再び営業損失となったが、2012年2月期には、売上高がさらに減少したにも関わらず、販管費削減が奏功して、黒字転換を果たした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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