ネクスト Research Memo(9):不動産関連事業を基盤に、海外展開や新規事業で上乗せを図る
[14/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
ネクスト<2120>は、中長期事業展開イメージとして、DB+CCS(データベース+コミュニケーション&コンシェルジュサービス)でグローバルカンパニーを目指している。暮らしにまつわるあらゆる領域の情報(データベース)を活用して、各利用者に最適な情報を提供していくサービス(コミュニケーション&コンシェルジュサービス)を展開するものである。その実現に向けた成長戦略は、既存事業の強化を軸として、海外展開や新規事業の開拓による4つの事象(図表参照)をそれぞれ進めていく方針である。
特に、国内の「HOME’S」への再投資による圧倒的No.1の確立と、不動産会社向け業務支援サービスの拡充による不動産業界ビジネスプラットフォームの構築が当面における戦略の柱となっており、引き続き不動産関連事業を基盤としながら、海外展開や新規事業による上乗せを図っていく計画である。また、目標とする経営指標としては、営業利益率25%を掲げている。
既存事業の強化については、ユーザーシェア拡大と加盟店数拡大を目指す。ユーザーシェア拡大は、これまでやってきた集客力強化に加えて、前期より開始したリノベーションやトランクルームなど、新たな分野へのサービス拡充により集客の間口を広げることや、一度訪問した利用者を再度訪問に導くマーケティング手法の導入(最適なコンテンツ提供による誘引やメールマーケティングなど)や、住み替え後のコミュニケーションツールの提供などにより利用者が会員として残るサービスを構築することなどを進めている。同社は、人々が最適な生活を送るためにもっと気軽に(頻繁に)住み替えができる環境づくりや生活提案を目指しており、それによって同社の成長余地も拡大していくものと考えている。
また、加盟店数拡大にも取り組む。2015年3月期より、営業代行事業者の活用を図ることなどにより、新規開拓のペースを加速する方針である。
また、不動産業界ビジネスプラットフォームとは、不動産会社の業務に不可欠となるソリューションを提供するものである。具体的には、これまでのサイトを通じた集客機能に加えて、追客、内見・来場、成約に至るまでの顧客管理(CRM)のほか、業界初となる不動産オーナー向けのCRM支援を行うものである。同社の誇る圧倒的な集客力を中心として、その上流と下流の業務プロセスにソリューション領域を広げたところに一体となった価値創造が期待でき、他社との差別化が図れると考えられる。
集客から追客へのソリューション提供では、賃貸事業者向けのCRMサービス「レンターズネット」の導入店舗数が、既に2014年3月期末で1,213店舗(前期比37.4%増)と伸びている。
また、前期には、新規サービスとして、不動産会社向けの接客営業支援iPadアプリ「内見プロ」や、不動産事業者と不動産のオーナー間の業務を管理するCRMサービス、不動産事業者向けSNSサービス「HOME’S Pro」などの提供を開始した。今後、更なるサービス領域の拡充により客数及び客単価の向上を目指す。
新規事業に関しては、既存事業との親和性の高い家具・インテリアECサイト「HOME’S Style Market」を2014年4月より開始した。同社初のECサイトの運営となるが、在庫リスクを極力負わない仕組み(受注後、商品の手配を行う)により、住まい探しのアフターマーケットの拡充を図っていく。
海外展開については、いずれ国内市場が飽和状態に達し、さらに縮小へ向かうことを見据えて、5年〜10年の長期スパンで取り組んでいる。ネット普及率、不動産市場の状況などをふまえ、これまで培ってきたSEO技術をベースに、Google検索エンジンが強く、1言語当たりの人口が多い国などをターゲットとしている。もっとも、現地拠点を原則置かずにローコストで強みを活かせる地域でWebサイトを展開する戦略であるため、投資リスクを抑えつつ、試行錯誤を繰り返しながら育成していく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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