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EMシステムズ Research Memo(5):調剤薬局は増加基調、電子カルテ市場は今後の拡大に期待

注目トピックス 日本株

■会社概要

(b)業界環境

EMシステムズ<4820>のユーザーである調剤薬局は、医薬分業率(調剤薬局の処方箋受取率)の上昇とともに年々増加している。そもそも「医薬分業」とは、診察(医師)と投薬(薬剤師)を分離して、相互にチェック機能を持たせると同時に、医師の潜在的収入源だった薬価差益に頼る経営体質からの脱却と、薬剤費圧縮による医療費抑制等が目的である。

厚生労働省によると、処方箋を扱う保険調剤薬局は国の方針のもと1990年度の3.1万件から2012年度には5.4万件に増加。このほか、調剤薬局業界内の再編や流通大手やドラッグストアなどの参入に加え、大病院門前の「点分業」から生活地域への「面分業」の進展など、調剤薬局業界はプレーヤーやロケーションの多様化で店舗数が増加している。

他方、同社のストック型ビジネスのベースとなる処方箋枚数も、高齢化による患者数の増加などを背景に増加を続けていることから、処方箋枚数に応じた従量課金型の同社の調剤システムには、調剤薬局数の増加と同様に追い風と言えよう。

一方、調剤薬局向けレセプトシステムにおける競合は、パナソニック(旧三洋電機)<6752>や三菱電機<6503>、日立メディコ(子会社日立メディカルコンピュータ)などが挙げられる。この中にあって、同社は業界トップクラスのシェアを誇り、唯一のASP活用モデルベンダーでもある。

開業医向け電子カルテ市場は、2000年代に誕生した新しい市場であるが故、普及率の低さから中長期的には伸びしろの大きい有望市場と考えられる。保健医療福祉情報システム工業会によると、国内の診療所(開業医)約10万件における電子カルテ普及率は、わずか12.8%(10年)に過ぎない。電子カルテの普及が進まない要因として、高い導入コストや過去分手書きカルテの入力労力、トレーニングに要する時間などが考えられる。

一方、地域医療における病院と開業医との連携(病診連携)や、重複検査・投薬防止など診療行為の効率化による医療費抑制には電子カルテが欠かせないことから、開業医向け電子カルテ市場は社会的ニーズの高まりとともに緩やかな拡大が予想される。

開業医向け電子カルテの競合としては、パナソニック、ビー・エム・エルなどが挙げられ、同社は売上高規模が小さいもののASP活用モデル投入では先行している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 馬目俊一郎)



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