鴻池運輸 Research Memo(5):14年3月期は増収増益、食品や海外などが堅調
[14/07/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1)2014年3月期の実績
○損益状況
2014年3月期決算の結果は、下表のように売上高231,504百万円(前期比1.6%増)、営業利益7,938百万円(同3.3%増)、経常利益8,009百万円(同6.2%増)、当期純利益4,369百万円(同9.8%増)となった。営業利益に比べて経常利益の増益幅が大きいのは、投資有価証券評価損の戻入れや受取配当金の増加などによって営業外損益が改善したためであり、当期純利益の増益率が高いのは復興特別区域法の適用による法人税等の減少などによる。
セグメント別売上高は複合ソリューション事業148,299百万円(前期比0.5%増)、国内物流事業51,472百万円(同1.3%増)、国際物流事業31,731百万円(同8.0%増)となった。またセグメント利益は、複合ソリューション事業10,790百万円(同3.7%増)、国内物流事業1,038百万円(同25.2%減)、国際物流事業1,303百万円(同30.6%増)、その他27百万円(同4.9%増)となった。
複合ソリューション事業では、鉄鋼関連業務が主要顧客の合理化対応などで減少したものの、清涼飲料水等製造請負業務が顧客の好調な製造・販売を受け好調となり、さらにメディカル業務で顧客医療物流センターの構内物流業務などが堅調に推移したことなどから、増収・増益となった。鉄鋼関連の落ち込みは当初から予想されていたものであり、想定内であったと言える。
国内物流事業では、コンビニ向け冷蔵食品取扱業務やテーマパーク関連商品、オフィス用品の取扱業務が増加したことなどから増収となったが、新センター立ち上げによるコスト増により利益面では減益となった。この新センター稼動による経費増はある程度は予想されたものであったが、立ち上がり時期が想定以上に遅れたことから減益要因となった。
国際物流事業では、ベトナム、アメリカ在外子会社での工業製品製造設備輸送業務の獲得や、鴻池運輸<9025>が注力しているバングラデシュからのアパレル品輸入業務、冷凍・冷蔵食品取扱業務が好調に推移したことから増収増益となった。国内景気の回復による輸入品増加や円安も増収・増益に寄与している。
また分野別売上高の概況は表のとおりで、鉄鋼関連では、主要顧客である大手鉄鋼メーカーの合理化策への対応や機工分野での競争が激化したことから業務量が減少し、売上高は51,170百万円(前期比5.2%減)となった。食品関連では清涼飲料水やアルコール飲料の製造請負業務が順調に伸びたことに加え、配送センター業務が新規業務獲得や大型ショッピングセンターの配送先店舗数増などから業務増となり、売上高は61,428百万円(同4.0%増)となった。
生活関連の売上高は68,810百万円(前期比2.5%増)となった。内訳としては、生活業務が15,988百万円(同3.5%増)、空港業務が9,712百万円(同3.2%減)、メディカル業務が9,999百万円(同11.3%増)、流通・アパレル業務が33,109百万円(同1.4%増)となった。空港業務は中国便の便数回復の遅れの影響で減収となったが、メディカル業務では取引先の医療物流センター内での構内物流業務の拡充や院内物流業務の新規獲得などにより2ケタの増収となった。定温関連では、コンビニ向け冷蔵食品取扱いの増加により売上高は18,362百万円(同1.2%増)となった。また海外関連は上記の国際物流事業と同様の理由で、売上高は31,731百万円(同8.0%増)となった。
2014年3月期のセグメント別の設備投資額及び減価償却費は表のとおり。設備投資総額は8,464百万円(前期比67百万円増)、減価償却費は6,763百万円(同151百万円増)となった。主な設備投資案件は、厚木流通センター第2センター建替え843百万円(総額1,733百万円)、神奈川綾瀬営業所自動倉庫増設1,957百万円、新会計システムの導入(ソフトウェア)515百万円など。
○財務状況
2014年3月期末の財務状況は表のとおり。流動資産は64,695百万円(前期末比688百万円減)となったが、主に現預金の減少914百万円による。固定資産は109,672百万円(同4,247百万円増)となったが、有形固定資産の増加1,689百万円(主に神奈川綾瀬営業所の自動倉庫増設1,957百万円)、株価上昇による保有株式の増加などによって投資その他の資産が2,341百万円増加したことによる。その結果、総資産は174,367百万円(同3,559百万円増)となった。
流動負債は44,642百万円(前期末比3,051百万円減)となったが、1年内返済予定の長期借入金の減少3,126百万円などによる。固定負債は54,727百万円(同2,366百万円増)となったが、退職給付に関する会計基準等の適用による未認識退職給付債務計上による債務の増加2,947百万円などによる。この結果、負債合計は99,370百万円(同684百万円減)となった。
純資産合計は前期末比4,244百万円増の74,997百万円となったが、主に当期純利益の計上によって利益剰余金が3,673百万円増加したことによる。
○キャッシュフローの状況
2014年3月期のキャッシュフローの状況は表のとおり。営業活動によるキャッシュフローは14,582百万円であったが、主な要因は税金等調整当期純利益7,609百万円、減価償却費6,763百万円、売上債権の減少額405百万円、仕入債務の増加額721百万円、法人税等の支払い2,733百万円であった。
投資活動によるキャッシュフローは9,555百万円の支出となったが、主な要因は有形固定資産の取得による支出7,785百万円であった。財務活動によるキャッシュフローは、長短借入金の返済、社債の償還及び配当金の支払いなどで6,928百万円の支出となった。
この結果、同期間の現金及び現金同等物は1,278百万円の減少となり、2014年3月期末の現金及び現金同等物の残高は18,652百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(1)2014年3月期の実績
○損益状況
2014年3月期決算の結果は、下表のように売上高231,504百万円(前期比1.6%増)、営業利益7,938百万円(同3.3%増)、経常利益8,009百万円(同6.2%増)、当期純利益4,369百万円(同9.8%増)となった。営業利益に比べて経常利益の増益幅が大きいのは、投資有価証券評価損の戻入れや受取配当金の増加などによって営業外損益が改善したためであり、当期純利益の増益率が高いのは復興特別区域法の適用による法人税等の減少などによる。
セグメント別売上高は複合ソリューション事業148,299百万円(前期比0.5%増)、国内物流事業51,472百万円(同1.3%増)、国際物流事業31,731百万円(同8.0%増)となった。またセグメント利益は、複合ソリューション事業10,790百万円(同3.7%増)、国内物流事業1,038百万円(同25.2%減)、国際物流事業1,303百万円(同30.6%増)、その他27百万円(同4.9%増)となった。
複合ソリューション事業では、鉄鋼関連業務が主要顧客の合理化対応などで減少したものの、清涼飲料水等製造請負業務が顧客の好調な製造・販売を受け好調となり、さらにメディカル業務で顧客医療物流センターの構内物流業務などが堅調に推移したことなどから、増収・増益となった。鉄鋼関連の落ち込みは当初から予想されていたものであり、想定内であったと言える。
国内物流事業では、コンビニ向け冷蔵食品取扱業務やテーマパーク関連商品、オフィス用品の取扱業務が増加したことなどから増収となったが、新センター立ち上げによるコスト増により利益面では減益となった。この新センター稼動による経費増はある程度は予想されたものであったが、立ち上がり時期が想定以上に遅れたことから減益要因となった。
国際物流事業では、ベトナム、アメリカ在外子会社での工業製品製造設備輸送業務の獲得や、鴻池運輸<9025>が注力しているバングラデシュからのアパレル品輸入業務、冷凍・冷蔵食品取扱業務が好調に推移したことから増収増益となった。国内景気の回復による輸入品増加や円安も増収・増益に寄与している。
また分野別売上高の概況は表のとおりで、鉄鋼関連では、主要顧客である大手鉄鋼メーカーの合理化策への対応や機工分野での競争が激化したことから業務量が減少し、売上高は51,170百万円(前期比5.2%減)となった。食品関連では清涼飲料水やアルコール飲料の製造請負業務が順調に伸びたことに加え、配送センター業務が新規業務獲得や大型ショッピングセンターの配送先店舗数増などから業務増となり、売上高は61,428百万円(同4.0%増)となった。
生活関連の売上高は68,810百万円(前期比2.5%増)となった。内訳としては、生活業務が15,988百万円(同3.5%増)、空港業務が9,712百万円(同3.2%減)、メディカル業務が9,999百万円(同11.3%増)、流通・アパレル業務が33,109百万円(同1.4%増)となった。空港業務は中国便の便数回復の遅れの影響で減収となったが、メディカル業務では取引先の医療物流センター内での構内物流業務の拡充や院内物流業務の新規獲得などにより2ケタの増収となった。定温関連では、コンビニ向け冷蔵食品取扱いの増加により売上高は18,362百万円(同1.2%増)となった。また海外関連は上記の国際物流事業と同様の理由で、売上高は31,731百万円(同8.0%増)となった。
2014年3月期のセグメント別の設備投資額及び減価償却費は表のとおり。設備投資総額は8,464百万円(前期比67百万円増)、減価償却費は6,763百万円(同151百万円増)となった。主な設備投資案件は、厚木流通センター第2センター建替え843百万円(総額1,733百万円)、神奈川綾瀬営業所自動倉庫増設1,957百万円、新会計システムの導入(ソフトウェア)515百万円など。
○財務状況
2014年3月期末の財務状況は表のとおり。流動資産は64,695百万円(前期末比688百万円減)となったが、主に現預金の減少914百万円による。固定資産は109,672百万円(同4,247百万円増)となったが、有形固定資産の増加1,689百万円(主に神奈川綾瀬営業所の自動倉庫増設1,957百万円)、株価上昇による保有株式の増加などによって投資その他の資産が2,341百万円増加したことによる。その結果、総資産は174,367百万円(同3,559百万円増)となった。
流動負債は44,642百万円(前期末比3,051百万円減)となったが、1年内返済予定の長期借入金の減少3,126百万円などによる。固定負債は54,727百万円(同2,366百万円増)となったが、退職給付に関する会計基準等の適用による未認識退職給付債務計上による債務の増加2,947百万円などによる。この結果、負債合計は99,370百万円(同684百万円減)となった。
純資産合計は前期末比4,244百万円増の74,997百万円となったが、主に当期純利益の計上によって利益剰余金が3,673百万円増加したことによる。
○キャッシュフローの状況
2014年3月期のキャッシュフローの状況は表のとおり。営業活動によるキャッシュフローは14,582百万円であったが、主な要因は税金等調整当期純利益7,609百万円、減価償却費6,763百万円、売上債権の減少額405百万円、仕入債務の増加額721百万円、法人税等の支払い2,733百万円であった。
投資活動によるキャッシュフローは9,555百万円の支出となったが、主な要因は有形固定資産の取得による支出7,785百万円であった。財務活動によるキャッシュフローは、長短借入金の返済、社債の償還及び配当金の支払いなどで6,928百万円の支出となった。
この結果、同期間の現金及び現金同等物は1,278百万円の減少となり、2014年3月期末の現金及び現金同等物の残高は18,652百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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