マネーパートナーズグループ<8732>体質改善により低水準の営業収益でも利益が出る体質に
[14/08/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』8月18日放送において、マネーパートナーズグループ<8732>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■事業概要
マネーパートナーズグループ<8732> の主力業務はFX (外国為替証拠金) 取引で、収益の源泉はスプレッドからの差益である。多くの投資家が売買を行い、取引高が増えると収益が増加する構造だ。業界での取引高シェアは4% 前後で、専業では5 位グループにランクされる。
同社の営業収益の源泉は、顧客向けの売りと買いの差から生じる差益(スプレッド)を取ること、簡単に言えば売買益だ。同社自身が瞬間的にポジションを取ることもあり、また顧客同士の注文の付け合わせ(いわゆる、食い合い)によって差益を取る場合もある。しかし、同社自身がポジションを取り続けることはリスクが高いため、最終的にすべてのポジションは外部のカウンターパーティ(主要な銀行、証券会社等15社) からレート提示を受けることでカバーしている。
■14年3月期の業績
顧客口座数は順調に拡大し、2014 年3 月期末に235,807 口座(前期末比10.3% 増)、期末の預り証拠金は44,348 百万円(同12.8% 増) となった。また、期中の外国為替取引高は16,168 億通貨単位(同14.2% 増)。顧客基盤の拡大による取引高増に加え、前期はボラティリティが極端に低かったことから前期比での伸び率が高くなった。ホワイトラベル(大口金融法人顧客に対する外国為替証拠金取引システム) 取引の終了によって減少した取引高をプロパーの取引高でカバーした格好だ。
一方、営業収益は5,257百万円(前期比10.7% 減)となった。取引高当たり収益率の低下が背景で、これは主に2つの要因による。1つ目は、取引高当たりの収益性が低い米ドル/円の取引高割合が前期の約2倍となったことで全体の収益性が低下したこと。2つ目は、相対的に取引高当たりの収益性が高いホワイトラベル取引がなくなったことが影響した。
ただ、コスト面では、ホワイトラベル取引の終了によってシステム関連の固定費が減少し、販管費は同25.1%減少した。ベースとなる収益力は向上しており、営業利益は1,098百万円(同239.3%増)、経常利益は1,115百万円(同257.3%増)、当期純利益は663百万円(同593.4%増)と大幅増益を達成した。
■15年3月期に関しては
同社の収益は相場動向や市場流動性などのマーケット環境などによって大きく変わってくるため、予想を行うことが困難であり、業績予想を発表していない(この点は証券会社と同様である)。
業績予想の代替として、業績に大きく影響を与える主要指標を月次で公表している。2014年6月(速報値) までの状況を見ると、顧客口座数は順調に増加しているが、外国為替取引高が減少しており、これに伴って月次の営業収益も低下傾向にある。ただ、同社では、後述するように昨年度から体質改善(コスト削減)を進めており、以前に比べれば低水準の営業収益でも利益が出る体質になってきている。
同社の中期展望を考える際、FX取引市場全体の見通しが重要な要素となるのは言うまでもない。前述のように、FX取引は利用の仕方によって魅力ある投資商品であるにもかかわらず、依然として多くの投資家が「リスクが高い」と考えている。このような誤解を解くような啓蒙を業界全体で続けることが必要だろう。
■今後のFX業界に関して
では、FX取引市場の口座数(現在約420万件)はどの程度まで伸長する可能性があるだろうか。外国為替の利用者の視点で考えると、海外旅行者数は年間1,747万人(2013年)、有効旅券数は3,080万冊に上る。この数値から推測すると、FX取引の潜在市場として2,000万口座(現在の約4倍)くらいは考えられそうだ。また投資商品としての視点から見ると、証券口座(法人含む)は2,207万口座(2014年3月現在)となっており、この点からも将来的には2,000万口座の可能性はあり得るだろう。
税制面についても、2012年1月決済分から「申告分離課税が適用(一律20%)」され、「繰越損失控除が3年間可能」になり、金融商品としてのメリットが増している。また、投資家保護の観点から、レバレッジ規制(最高25倍)、ロスカットガイドラインの制定(損失を限定)、顧客預り資産の信託義務規制等が制定された。これによってFX 取引の透明化、健全化がさらに進み、投資対象としての魅力が向上している。
■FXサービス以外の展開について
・外貨受け取りサービス
同社では、成田、羽田、関空、セントレアの各空港でFX取引ポジション(ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン)の一部を現金(紙幣)で受け取ることができるサービスを提供している。事前予約及び両替手続きが必要だが、両替手数料は銀行窓口に比べて格安だ。同サービスを提供しているのはFX業界では同社だけで、「現金化できない」というFX取引の欠点をカバーしている。
・「マネパカード」の発行
また、新しいサービスとして、マスターカードと提携して「マネパカード」発行の開始を発表した。これは円貨から両替した複数の外貨を事前にマネパカードにチャージしておき、海外で利用するもので、後払いのクレジットカードではなく事前払いのデビットカードの1種である。海外では、マスターカード加盟店でショッピングができるほか、マスターカードのATMで現金の引き出しも可能である(ただし残高の範囲内に限る)。
顧客にとってのメリットは、海外渡航の際に現金を持ち歩く必要がなく、カードでの利用ができるうえ、必要に応じて現金の引き出しも可能な点だ。また1枚のカードで複数通貨をチャージできるため、欧州など複数国へ渡航する場合には、その都度両替する必要もなく大変便利である。このカード事業が即座に同社の本業(FX取引)にプラスに影響するわけではないが、将来的にはこのカードの保有者がFX 取引の顧客となる可能性は高い。また単独事業としても、同社では2年後までに黒字化を目指すとしている。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■事業概要
マネーパートナーズグループ<8732> の主力業務はFX (外国為替証拠金) 取引で、収益の源泉はスプレッドからの差益である。多くの投資家が売買を行い、取引高が増えると収益が増加する構造だ。業界での取引高シェアは4% 前後で、専業では5 位グループにランクされる。
同社の営業収益の源泉は、顧客向けの売りと買いの差から生じる差益(スプレッド)を取ること、簡単に言えば売買益だ。同社自身が瞬間的にポジションを取ることもあり、また顧客同士の注文の付け合わせ(いわゆる、食い合い)によって差益を取る場合もある。しかし、同社自身がポジションを取り続けることはリスクが高いため、最終的にすべてのポジションは外部のカウンターパーティ(主要な銀行、証券会社等15社) からレート提示を受けることでカバーしている。
■14年3月期の業績
顧客口座数は順調に拡大し、2014 年3 月期末に235,807 口座(前期末比10.3% 増)、期末の預り証拠金は44,348 百万円(同12.8% 増) となった。また、期中の外国為替取引高は16,168 億通貨単位(同14.2% 増)。顧客基盤の拡大による取引高増に加え、前期はボラティリティが極端に低かったことから前期比での伸び率が高くなった。ホワイトラベル(大口金融法人顧客に対する外国為替証拠金取引システム) 取引の終了によって減少した取引高をプロパーの取引高でカバーした格好だ。
一方、営業収益は5,257百万円(前期比10.7% 減)となった。取引高当たり収益率の低下が背景で、これは主に2つの要因による。1つ目は、取引高当たりの収益性が低い米ドル/円の取引高割合が前期の約2倍となったことで全体の収益性が低下したこと。2つ目は、相対的に取引高当たりの収益性が高いホワイトラベル取引がなくなったことが影響した。
ただ、コスト面では、ホワイトラベル取引の終了によってシステム関連の固定費が減少し、販管費は同25.1%減少した。ベースとなる収益力は向上しており、営業利益は1,098百万円(同239.3%増)、経常利益は1,115百万円(同257.3%増)、当期純利益は663百万円(同593.4%増)と大幅増益を達成した。
■15年3月期に関しては
同社の収益は相場動向や市場流動性などのマーケット環境などによって大きく変わってくるため、予想を行うことが困難であり、業績予想を発表していない(この点は証券会社と同様である)。
業績予想の代替として、業績に大きく影響を与える主要指標を月次で公表している。2014年6月(速報値) までの状況を見ると、顧客口座数は順調に増加しているが、外国為替取引高が減少しており、これに伴って月次の営業収益も低下傾向にある。ただ、同社では、後述するように昨年度から体質改善(コスト削減)を進めており、以前に比べれば低水準の営業収益でも利益が出る体質になってきている。
同社の中期展望を考える際、FX取引市場全体の見通しが重要な要素となるのは言うまでもない。前述のように、FX取引は利用の仕方によって魅力ある投資商品であるにもかかわらず、依然として多くの投資家が「リスクが高い」と考えている。このような誤解を解くような啓蒙を業界全体で続けることが必要だろう。
■今後のFX業界に関して
では、FX取引市場の口座数(現在約420万件)はどの程度まで伸長する可能性があるだろうか。外国為替の利用者の視点で考えると、海外旅行者数は年間1,747万人(2013年)、有効旅券数は3,080万冊に上る。この数値から推測すると、FX取引の潜在市場として2,000万口座(現在の約4倍)くらいは考えられそうだ。また投資商品としての視点から見ると、証券口座(法人含む)は2,207万口座(2014年3月現在)となっており、この点からも将来的には2,000万口座の可能性はあり得るだろう。
税制面についても、2012年1月決済分から「申告分離課税が適用(一律20%)」され、「繰越損失控除が3年間可能」になり、金融商品としてのメリットが増している。また、投資家保護の観点から、レバレッジ規制(最高25倍)、ロスカットガイドラインの制定(損失を限定)、顧客預り資産の信託義務規制等が制定された。これによってFX 取引の透明化、健全化がさらに進み、投資対象としての魅力が向上している。
■FXサービス以外の展開について
・外貨受け取りサービス
同社では、成田、羽田、関空、セントレアの各空港でFX取引ポジション(ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン)の一部を現金(紙幣)で受け取ることができるサービスを提供している。事前予約及び両替手続きが必要だが、両替手数料は銀行窓口に比べて格安だ。同サービスを提供しているのはFX業界では同社だけで、「現金化できない」というFX取引の欠点をカバーしている。
・「マネパカード」の発行
また、新しいサービスとして、マスターカードと提携して「マネパカード」発行の開始を発表した。これは円貨から両替した複数の外貨を事前にマネパカードにチャージしておき、海外で利用するもので、後払いのクレジットカードではなく事前払いのデビットカードの1種である。海外では、マスターカード加盟店でショッピングができるほか、マスターカードのATMで現金の引き出しも可能である(ただし残高の範囲内に限る)。
顧客にとってのメリットは、海外渡航の際に現金を持ち歩く必要がなく、カードでの利用ができるうえ、必要に応じて現金の引き出しも可能な点だ。また1枚のカードで複数通貨をチャージできるため、欧州など複数国へ渡航する場合には、その都度両替する必要もなく大変便利である。このカード事業が即座に同社の本業(FX取引)にプラスに影響するわけではないが、将来的にはこのカードの保有者がFX 取引の顧客となる可能性は高い。また単独事業としても、同社では2年後までに黒字化を目指すとしている。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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