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木徳神糧 Research Memo(8):米穀の新流通ルート、JA改革、TPPが成長テーマに

注目トピックス 日本株
■中長期的展望

(3)農業政策の変化と同社の成長機会

国内の米穀消費は低下が続いており、その点では木徳神糧<2700>にとっての市場そのものの拡大は期待できない。しかし、米穀の流通においては、コンビニエンスストアなど新たなルートが広がっており、また外食チェーンのテイクアウトや惣菜、弁当などのいわゆる「中食」市場は拡大傾向にある。同社はこのような新流通ルート(量販店、コンビニエンスストア、外食チェーンなど)に対して太いパイプを有していることから、米穀市場全体は伸び悩んでも同社の米穀事業が成長する可能性は高い。

さらに、中長期の視点での同社にとっての追い風は、農業政策における自民党政権の変化だ。既に自民党はJA全中(全国農業協同組合中央会)に対して「自律的に新たな組織に移行すること」を提言、JA全農(全国農業協同組合連合会)に対しては「株式会社化」を提言している。実際に組織変更がなされるまでには数年はかかるであろうが、米穀市場が今までの全中・全農の集中体制から自由市場の方向に向かっていくことは確かであり、同社のように信用力、資金力、精米能力、全国レベルでの販売網を有している大手卸業者にとってプラスとなるのは間違いないだろう。米穀市場の自由度の高まりとともに、同社の存在意義も一段と高まっていくと予想される。

もう1つの重要な変化は、TPPで議論されている海外との米穀取引の自由化だ。既に政府は正式にTPPへの参加を表明し交渉が進んでいる。今後の詳細は不明であるが、いずれにしろ進展次第で米穀を含めた日本の農業市場は大きく変わる可能性が大きい。国内米穀市場及び同社にどのような影響が出てくるかはまだ不透明であるが、少なくとも現状より後退することは考え難い。輸出入だけでなく三国間貿易も含めて少しでも米穀市場の自由度が増せば、大手米卸としての同社には事業拡大のチャンスと思われる。今後のTTP交渉の進展に大いに注目する必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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