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アバント Research Memo(5):大型案件の成約に加えてIT投資回復が追い風、過去最高業績を更新

注目トピックス 日本株

■決算動向

(1)2014年6月期決算

8月8日付で発表されたアバント<3836>の2014年6月期連結業績は、売上高が前期比23.3%増の8,300百万円、営業利益が同68.2%増の1,088百万円、経常利益が同71.6%増の1,079百万円、当期純利益が同71.8%増の623百万円と3期連続で過去最高業績を更新した。また、第3四半期発表時点での会社計画も、売上高、利益ともに上回る格好となった。

業績好調の主因は、「DivaSystem」製品で大型案件の成約(丸紅の新連結会計システムとして採用)があったことに加えて、ジールやディーバ・ビジネス・イノベーションなどその他子会社においても、国内企業のIT投資回復を追い風に、いずれも順調に収益を拡大したことが挙げられる。

また、会社計画を上回った要因としては、大型案件の売上寄与に加えて、費用面では今期の採用人員が労働市場環境の変化によって予定を下回り、人件費や採用費が抑制されたこと、グループ共通の情報システム投資の一部が2015年6月期以降にずれ込んだことなどが挙げられる。

売上高営業利益率は2013年6月期の9.6%から13.1%へと大きく上昇した。人件費や外注費の増加はあったものの、増収効果で吸収した格好だ。特に、収益性の高いライセンス販売が先に述べた大型案件の成約もあり、売上構成比で10%台に乗せるなど、販売構成比の変化も利益率の上昇に寄与した。

事業形態別の売上状況を見ると、ライセンス販売は前期比45.7%増の897百万円となった。「DivaSystem」の新規大型案件の成約に加えて、ディーバ・ビジネス・イノベーションが開発し、2014年2月から発売したMicrosoft Dynamics AX用の会計テンプレートの引き合いも好調に推移した。「DivaSystem」の契約企業数は増加となったが、この主たる要因としては営業体制の強化が挙げられるであろう。同社は従来、能動的な営業活動はあまり行ってこなかったが、前期より営業方針を改め新規顧客開拓などを積極的に進めた効果が出たものと思われる。

コンサルティング・サービスは前期比24.9%増の4,808百万円となった。DivaSystem関連の導入支援や経営管理に関連する案件が好調に推移した。また、ディーバ・ビジネス・イノベーションが手掛ける個別会計分野におけるMicrosoft Dynamics AXの導入支援が好調だったほか、ジールが得意とするBI分野のシステムインテグレーションサービスも堅調に推移した。

サポート・サービスは、前期比16.3%増の2,351百万円となった。「DivaSystem」の契約企業数増加とともに、保守サービス売上が伸びているほか、継続的なバージョンアップによるサポート業務も拡大した。また、連結決算業務や連結納税業務等のアウトソーシングサービスも順調に推移した。

情報検索サービスは前期比0.7%減の243百万円と唯一、売上高が減少した。検索機能の強化を進めるなどで、通常サービスの売上高は安定して推移したが、スポット的に受注する特定顧客向けレポートサービスの需要が当期はなかったことが減収要因となった。

また、受注状況に関しても売上高と同様の傾向となっており、受注総額は前期比15.1%増の8,328百万円、受注残高は前期末比1.7%増の1,677百万円となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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