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ワールドホールディングス Research Memo(6):2ケタ増収増益の通期予想を据え置き、上期までで高進捗

注目トピックス 日本株

■成長戦略

(1)2014年12月期の業績見通し

2014年12月期の連結業績見通しは、売上高が前期比25.1%増の70,620百万円、営業利益が同26.4%増の2,680百万円、経常利益が同18.8%増の2,571百万円、当期純利益が同44.0%増の1,201百万円と、期初計画を据え置いている。第2四半期までの進捗率は、売上高が48.2%とほぼ計画どおりとなっているが、営業利益ベースでは68.1%と上振れしている。第3四半期以降も主力のファクトリー事業や不動産事業などにおいては大きな事業環境の変化はなく、特段の費用増加も見込んでいないことから、通期では計画を上回る可能性が高い。事業別の見通しは以下のとおり。

○ファクトリー事業
ファクトリー事業の今期業績は、売上高が前期比15.0%増の24,163百万円、セグメント利益が同12.5%増の1,354百万円を見込んでいる。国内における人材派遣の需要動向はグラフにみられるとおり、2013年第3四半期以降はプラスに転じてきており、足元の市場環境についても、引き続き旺盛な需要が続いている。

ワールドホールディングス<2429>においてもスマートフォン関連やeコマース企業の物流拠点向け案件が下期以降も高水準で推移するとみられるほか、新規に獲得した機械メーカー向けの大型案件も下期に一段増が見込まれている。一方で人材確保が難しくなってきており、採用費のコスト上昇懸念があるのも事実だ。このため、通期の利益計画は保守的なものとなっているが、現状からすれば利益の増額余地は大きいとみられる。

今後の人材確保への取り組みについては、派遣応募者の登録受付サイト「Job Paper」の活用や地方での登録拠点の拡大を図ると同時に、採用の間口を高齢者や主婦層などに広げていくことで拡大を進めていく。また、同時に社員のスキルアップを図る教育体制に注力することで、退職率の抑制にも取り組んでいく戦略だ。

「Job Paper」の登録者数は8月24日時点で13,095名となっており、6月末時点の11,844名から見ると、月平均で約600名の増加ペースとなっている。半年前は約300名の増加ペースであったことから、「Job Paper」による人材獲得の効果は順調に上がっていると言えよう。

○テクノ事業
テクノ事業の今期業績は、売上高が前期比19.7%増の8,781百万円、セグメント利益が同22.4%増の781百万円を見込んでいる。引き続き設計開発分野における高単価の案件に注力していくほか、生産技術分野においてもファクトリー事業との連携による事業間の共同受注案件の獲得を進めていく。

人材の確保については、ファクトリー事業同様に経営課題となるが、同社では教育サービス事業を行う子会社(株)アドバンとの連携による技術者の育成を進めながら、拡充を進めていく計画だ。

○R&D事業
R&D事業の今期業績は、売上高が前期比20.4%増の4,447百万円、セグメント利益が同48.3%増の289百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は低くなっているが、医薬・バイオ系を中心に受注案件は第3四半期以降も豊富で、通期計画の達成を目指す。また、臨床試験受託事業については、需要の拡大が見込まれる再生医療分野を中心に受託体制の整備・強化を進めており、来期以降の成長拡大を進めていく。

なお、人材確保・育成への取り組みに関しては、地域限定正社員制度を今下期よりスタートし採用の間口を広げたほか、研修提携施設を2〜3ヶ所増やし、バイオ関連教育の研修をスタートしている。

○セールス&マーケティング事業
セールス&マーケティング事業の今期業績は、売上高が前期比60.8%増の3,200百万円、セグメント利益が同1.0%減の49百万円を見込んでいる。CB事業が順調に推移するほか、OCS事業も拠点数、並びに人材の拡大を進めることで売上高は大きく伸長するが、OCS事業の拠点拡大など事業基盤拡充に伴う費用が先行するため、利益面では前期並みの水準となる見通しだ。

下期以降の取り組みとしては、CB事業で新登録システムを9月より稼働し、採用を強化するほか、社員の管理体制、サポート体制の強化による退職率の抑制を進めていく。また、OCS事業においては拠点ごとに採用数を拡大していくほか、業界経験を持つ管理者の採用を強化し、業務効率の向上を進めていく。

○不動産事業
不動産事業の今期業績は、売上高が前期比73.0%増の15,017百万円、セグメント利益が同74.0%増の889百万円と、大幅な増収増益を見込んでいる。利益に関しては第2四半期までの進捗率が90%を超えており、下期に売上計上を計画している新築マンションのうち「レジデンシャル綱島(45戸)」(神奈川県横浜市)が完売したほか、「レジデンシャル開成山公園(72戸)」(福島県郡山市)もほぼ完売となっていることから、更なる増収の可能性が高いとみられる。

また、2015年12月期には、首都圏、東北に続いて新たに近畿圏でのマンション販売も開始し、供給戸数も拡大する計画となっている。セグメント利益率に関しては、販売時の市場環境にもよるが、大きな変化がなければ利益率は増収効果によって上昇する可能性が高い。

また、昨今の建築コスト上昇による収益への影響が懸念されるが、首都圏においては事業ポートフォリオの多様化(マンション、戸建、宅地分譲等)を進め、事業収益性を考慮した柔軟かつ機動的な販売戦略をとることで、採算重視の経営を行っていく方針だ。また、新たにリノベーション事業も今下期よりスタートする予定となっている。

東北圏においては宮城、福島、岩手の3県に加えて、新たに青森、秋田、山形にも営業エリアを拡大する。今後、土地の先行取得を行っていくほか、受託販売物件に関しても強化していく予定だ。また、近畿圏では現在進行中の2つのプロジェクト(新築分譲マンション)の販売体制の構築を進めていく計画となっている。

○情報通信事業
情報通信事業の今期業績は、売上高が前期比10.7%増の14,489百万円、セグメント利益が同10.8%増の489百万円を見込んでいる。市場の飽和でスマートフォンの販売台数の増加が期待しにくいなか、販売店の業界淘汰で体力のある大手資本の寡占化が進んでいく可能性が高い。同社は九州エリアでトップシェアを持っているが、今後も店舗のスクラップ&ビルドや人材育成などの先行投資を強化し、シェア拡大による安定成長を進めていく計画だ。

また、売上高の1割程度を占める法人向けビジネスに関しては、携帯電話販売店に営業機能を持たせることで営業エリアを全面的に拡大し、売上の拡大につなげていきたい考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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