3Dマトリックス Research Memo(1):止血材などパイプラインの事業化に向けた取り組みが海外で進行
[14/10/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
スリー・ディー・マトリックス<7777>は、2004年設立のバイオマテリアル(医療用材料)のベンチャー企業。米マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発された「自己組織化ペプチド技術」の「独占的・全世界的な事業化権」を保有。同技術を基盤として外科医療領域、再生医療領域、DDS(ドラッグデリバリーシステム)領域での医療機器及び医薬品の開発を進めている。
焦点となっている吸収性局所止血材(TDM-621)(以下、止血材)に関して、国内での進捗は見られなかったものの、海外では事業化に向けた取り組みが着実に進んでいる。2014年7月以降、欧州各国の医療機関で臨床使用が開始されたほか、シンガポール、インドネシアで医療機器製品の登録申請を行った。また、南米や中国において子会社を設立し、グローバルでの事業展開に向けた体制を整えた。欧州での臨床使用では前向きな評価が得られており、順調にいけば第3四半期(2014年11月-2015年1月期)にも販売契約が見込めそうだ。また、アジアでもシンガポールで製品登録承認を取得できたことから、販売パートナーとの契約交渉を早期に進めていく。
歯槽骨再建材(TDM-711)は米国で第2段階目の治験開始に向けた米国食品医薬品局(以下、FDA)との協議を行っており、2015年4月期中の治験継続と同時に提携候補先企業との契約締結を見込んでいる。また、米国での事業化を目指している創傷治癒材(TDM-511)に関しては、第3四半期(2014年11月-2015年1月期)中には510(k)での申請を予定しており、順調にいけば2015年4〜6月頃には製造販売の認可が得られ上市が見込まれる予定だ。粘膜隆起材(TDM-641)に関しては、2014年9月に国内で治験計画届を提出し、11月から治験を実施、2017年4月期の上市を目指している。粘膜隆起材に関しても、日本だけでなく欧州でのCEマーキング取得申請を行うと推察される。
2015年4月期第1四半期(2014年5月-7月期)の業績は、事業収益の計上がなく、営業損失が438百万円となった。通期業績は売上高が10,418百万円、営業利益が4,483百万円と期初計画を据え置いているが、業績計画達成のための前提として国内での止血材の製造販売承認取得と海外での販売契約締結があり、これらが計画どおり進まなければ計画を下回る可能性がある点には留意する必要がある。
■Check Point
・CEマーキング取得で欧州、アジア等で事業化に向けた具体的な動きが進む
・15/4期以降収益は急拡大の見込み、事業化の進捗に注目
・止血材市場は世界で30億ドル規模、シェア拡大余地は大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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