ボルテージ Research Memo(3):恋愛ドラマアプリを最大の収益源にサスペンスなどの領域を開拓
[14/10/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業概要
ボルテージ<3639>の事業モデルは、モバイルコンテンツを企画・制作して配信し、利用者から情報料を得るというものだ。この点では他のモバイルゲームメーカーと異なるところはない。下記の事業系統図にあるように、同社グループは本体と米国子会社の2社で構成されている。同社グループは、自社制作と外部のクリエイターへの外注を組み合わせて各種タイトルを制作し、複数のプラットフォームを通じて一般利用者に配信する。各プラットフォーム運営者が同社に代わって情報料を集金してくれるので、ボルテージは情報回収手数料を払うという流れである。
同社の事業部門は、「モバイルコンテンツ事業」の単独事業部門体制となっている。モバイルコンテンツの具体的な中身として、2010年6月に「恋人はキャプテン for GREE」のソーシャルアプリをローンチし、続いて同年8月に「恋愛上等★イケメン学園LITE」でAndroidスマートフォン向けアプリをローンチして、恋愛ドラマアプリが本格展開されることになった。恋愛ドラマアプリは現状同社にとって実質的に最大の収益源となっているが、サスペンスアプリなど、恋愛ドラマアプリ以外の領域を開拓中である。
同社が現在の事業内容に至った背景には、会社設立の理念の存在が大きい。企業理念は「アート&ビジネス」であり、コンテンツのテーマを「恋愛と戦いのドラマ」に絞り込み、同社は恋愛ドラマアプリの企画・開発・販売に注力してきた。
同社のドラマアプリはロールプレイングゲーム(RPG)的要素もあるため、ゲームと考えることもできるが、同社では、自身のコンテンツについて、本質的にはゲームではないとしている。かつては同社自身も自社のコンテンツを「ゲーム」と表現していた時期もあったが、現在では「ドラマアプリ」と表現している。
同社の企業理念は、戦略ドメインを決定するうえで絶対的な指針として十分に機能し、かつ同社が制作するコンテンツにおいて実現されていることで疑いない。しかし、同社がドラマアプリというスマートフォンコンテンツにこだわる理由を企業理念やコンテンツテーマのみに求めるのは難しいように思える。この点について横田晃洋(よこたあきひろ)代表取締役社長の説明は明快だ。すなわち、ストーリーエンターテインメントの歴史はメディア技術の進歩とともにあるが、スマートフォンというメディアにおいて最適なストーリーエンターテインメントは、スマートフォンの上で従来型のマンガや小説、映画等をただ流し込んだようなものではないはずだ。スマートフォンの特徴を最大限活かしたエンターテインメントが生まれるべきであり、それが同社の提供するドラマアプリである。当然そこには大きなビジネスチャンスがあり、企業理念であるアート&ビジネスに帰結する。という説明だ。
スマートフォンにはスマートフォンに最適なストーリーエンターテインメントがあるべきだという同社の考え方は、非常に的を射たものだと評価される。その最適なものが、同社が注力するドラマアプリなのか、それとも他の別なものが生まれてくる可能性があるのかはまだ断言はできない。しかし、同社の提供する恋愛ドラマアプリが「エンターテインメント」ジャンルのランキングにおいて圧倒的な地位を占めている現実(ランキングの詳細は後述)を踏まえれば、同社の事業戦略の持つ説得力は高いと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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