伊藤忠エネクス Research Memo(9):今期から来期にかけて電力・ユーティリティ事業の一段の飛躍に期待
[14/10/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■財務分析と業績見通し
(2)2015年3月期業績見通し
伊藤忠エネクス<8133>は2015年3月期について、売上高1,600,000百万円、営業利益13,800百万円、税引前利益13,800百万円、親会社所有者に帰属する当期利益7,600百万円と予想している。2014年3月期有価証券報告書からIFRS基準を正式に適用し、それまでの日本基準に基づいた決算と比較して、経常利益の代わりに税引前利益が表示されるほか、営業利益、当期純利益とも連続性がなくなる。なお、売上高は日本の会計慣行に従い、従来同様に表示している。
事業部門別では、ホームライフ事業のLPガス販売量で前期比増を見込んでおり、これが増収を牽引すると期待されている。LPガスについては、新規顧客開拓による増販が主体となるため、昨年の(株)イングエナジー設立のような形で、地域の有力LPガス事業者との資本業務提携などを積極的に進めていくとみられる。また、太陽光発電や家庭用燃料電池(エネファーム)などスマートライフ機器の販売台数の堅調な増加も見込んでいる。
カーライフ事業では、ガソリンの販売量について前期比増を計画しているほか、レンタカーや物販、車両販売などの底上げでカーライフ事業全体の増収を目指している。同事業部門では5月に大阪カーライフグループを買収したが、ここからの収益貢献については、現在の業績計画には織り込まれていない。前述のように、大阪カーライフグループの事業規模は大まかに言って売上高100,000百万円、営業利益3,000百万円の規模であり、今期は約10ヶ月分が同社連結決算に反映される。現時点では同社のIFRS導入と大阪カーライフグループの収益計画を精査中とみられる。大阪カーライフグループは黒字計上している企業であり、今後の業績見通しの上方修正要因として期待が高まるが、のれん償却額の影響には注意が必要だ。
電力・ユーティリティ事業は、今期から来期にかけて一段の飛躍を遂げると期待されている。今年10月に胎内ウインドファーム20,000kw発電設備が稼働するうえ、2015年3月には防府第2石炭火力36,000kwが完成する計画だ。立ち上げ費用増加や減価償却負担増などもあって今期は売上高の伸びに比して利益の伸びは小さいが、防府の石炭火力は同社の発電設備群の中で最も高効率とされており、両設備が本格貢献してくる2016年3月期の収益成長が注目される。
エネルギートレード事業は全体としては横ばい圏での推移が予想される。原油や石油製品市況、需給調整などの影響を受けてトレード額が伸び縮みしやすいため、売上高は上下に大きく振れる可能性がある。しかし利益貢献という点ではアスファルト販売と産業向け重油販売が中心であり、それらは今期も安定した推移になると見込まれている。アスファルト販売量は2014年3月期に前期比26%増と高い伸びを示したため、今期は前期比横ばいで計画している。重油販売量はここ数年緩やかな右肩下がりで推移しており、今期もそのトレンドに沿って前期比4%減と想定されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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