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ボルテージ<3639>男性ユーザーの取込と海外での成長期待

注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』10月20日放送において、ボルテージ<3639>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■事業概要
ボルテージ<3639> はモバイルコンテンツの企画・制作・配信を行う企業であるが、創業して以来、企業理念「アート&ビジネス」に基づき、モバイルコンテンツ市場を開拓して成長を遂げてきた。ドラマアプリとは、モバイル端末で気軽に楽しむことができる、ストーリー型のコンテンツのこと。恋愛やサスペンスといった様々なストーリーを、自分が主人公となって読み進めることができる、ゲームでもマンガでもない、新しいスタイルのエンターテインメントとなっている。

■同社の事業モデルは
同社の事業モデルは、モバイルコンテンツを企画・制作して配信し、利用者から情報料を得るというものだ。この点では他のモバイルゲームメーカーと異なるところはない。下記の事業系統図にあるように、同社グループは本体と米国子会社の2 社で構成されている。同社グループは、自社制作と外部のクリエイターへの外注を組み合わせて各種タイトルを制作し、複数のプラットフォームを通じて一般利用者に配信する。各プラットフォーム運営者が同社に代わって情報料を集金してくれるので、ボルテージは情報回収手数料を払うという流れである。

同社のコンテンツの現状は、100% 近くが恋愛ドラマアプリとなっている(100% でないのは、サスペンスアプリがローンチされているため、後述)。恋愛ドラマアプリとはモバイル端末で楽しむことができる女性向けストーリー型コンテンツだ。自分がヒロインとなり、好みの相手と理想の恋愛ストーリーを体験することができる。いわゆる恋愛小説との大きな違いは、恋愛ドラマアプリがマルチエンディングストーリーであるということだ。ストーリーを読み進める途中でいくつかの選択肢が設定されており、読者は自分の好みで選択することになるため、途中経過と結末が読者ごとに代わってくる。このRPG 的要素を持たせて、マルチエンディングストーリーとしたところに、同社が目指す「スマートフォン技術に最適なモバイルコンテンツの提供」が具現化されていると言える。


同社のコンテンツは国内外の市場において圧倒的な強みを有している。パーソナルアプリについて、主戦場であるApp Store、Google Play の「エンターテインメント」ジャンルにおけるランキングを見ると、App Store では上位20 タイトル中9 タイトルを、Google Play では上位20 タイトル中15 タイトルを同社コンテンツが占めている。


■中長期成長戦略
同社は中期経営計画を策定していないものの、2013 年6 月期決算説明会において『第20 期(2019 年6 月期) に、売上高20,000 百万円、営業利益2,000 百万円を目指す』という中期目標を公開している。

この中期目標達成のため、第16 期(2015 年6 月期) 以降は、同社の強みである「恋愛ドラマアプリ」自体を伸ばしつつ、このノウハウを大きく、「恋愛ドラマアプリ」の英語版、「サスペンスアプリ」、「サスペンスアプリの英語版」の3 つの方向に市場拡大をしていく考えだ。

同社の中期計画の中でユーザー層の拡大という視点で打ち出されたものが、「男女向けアプリ&米国を始めとする海外展開」戦略だ。同社はこれまで恋愛ドラマアプリのノウハウを蓄積してきており、この戦略が成功する可能性は高いと弊社では考えているが、これまでの実績を見る限りは成功への路線に乗りつつあるように見える。

■今後の展開は男性ユーザーの取込
女性ユーザーの取り込みは恋愛ドラマアプリによって一定の成功を収めているため、「男女向け」の真のねらいは男性ユーザーの取り込みということになろう。それに対し同社が打ち出したものが「サスペンスアプリ」だ。同社は2013 年5 月に「生存率0%! 地下鉄からの脱出」をローンチしたが、2014 年4 月にはリニューアルして「新・生存率0%! 地下鉄からの脱出」を投入した。同タイトルは後述するテレビCM の効果もあって、2014 年9 月には200 万ダウンロードを達成した。

サスペンスアプリが成功している要因には様々な理由を挙げることができようが、弊社では恋愛ドラマアプリで培ったマルチエンディングストーリーのノウハウをサスペンスアプリにも適用したことが大きいのではないかと考えている。サスペンスというと「犯人・解決」を考えがちであるが、そうなるとマルチエンディングストーリーにするのは難しい。しかしこのタイトルでは「脱出の成否」を目的においているため、同社が得意とするマルチエンディングストーリーが可能となる。謎解きの楽しみに加えて、この先行き不透明感が男性ユーザーに受け入れられているものと推測される。男性ユーザーの一段の獲得に向けて、2015 年6 月期中に新規2 タイトルのサスペンスアプリの投入を計画している。

■海外展開については
米国を始めとする海外展開については、同社本体のL10N グループ(Localization の省略表記) と、米サンフランシスコに拠点を置く連結子会社Voltage Entertainment USA, Inc. が担当している。本体では国内向けアプリの翻訳・配信を手掛けており、このアプリを社内的に「L10N アプリ」と呼称している。サンフランシスコスタジオでは現地ユーザーの嗜好や消費行動などを分析しながらオリジナルタイトルの開発・運用を手掛けている。

2013 年6 月期第1 四半期の海外売上高は約30 百万円だったが、2014 年6 月期第4 四半期には約270 百万円に急拡大したとみられる。また、「エンターテインメント」ジャンルにおける同社の恋愛ドラマアプリの強さは海外でも同様で、米国では上位20 タイトル中4 タイトルを、シンガポールでは同じく13 タイトルを同社コンテンツが占めている状況だ。詳細は後述するが、同社が成長戦略の中核に「海外」を位置付けているのは、こうした実績があるからだと弊社ではみている。

同社の海外向け売上が好調な理由もいくつか挙げられるが、弊社では同社が国内成功体験の蓄積している恋愛ドラマアプリに絞ってローンチしていることが要因であるとみている。いきなりサスペンスやアドベンチャーなどに走るのではなく、国内同様、女性を中心顧客に据えて恋愛ドラマアプリに絞ったからこそ、現地ユーザー層のニーズの把握や既存タイトルの購買メカニズム分析などの効果を最大限発揮でき、現在の好調な販売につながっていると考えられる。

米国子会社は現状の収益貢献度はマイナスであるが、米国オリジナルの新タイトルの制作実績を積み重ねており、早期の収益貢献が期待される。

■今期業績の見通し
2015 年6 月期について同社では、売上高11,500 百万円(前期比14.1% 増)、営業利益600 百万円(同2.6% 減)、経常利益600 百万円(同7.1% 減)、当期純利益300 百万円(同2.8% 増) と予想している。

売上高の2 ケタ成長の一方で、営業利益以下が前期比横ばい予想の理由の1 つは、同社が「先行投資」として広告宣伝費を積極投入する計画のためだ。広告費の積極投入対象は、好調なスタートを切ったサスペンスアプリや海外向けアプリだ。サスペンスアプリについては2014 年8 月からテレビCM を開始しており、その後の好調なダウンロード数増加につながっている。CM 費用の回収期間については、これまでは12 ヶ月を基本としてきたが、今期からは10 ヶ月に短期化する方針だ。逆に言えば、足元の主力タイトルの販売がそれだけ好調と見ることもできる。その他の費用増加の要因としては既存・新規の恋愛ドラマアプリのネイティブアプリ化への費用などが予定されている。

新タイトルは、サスペンスアプリが9 月に1 タイトルを追加投入されたほか、今期中にさらに1 タイトルの投入を計画している。恋愛ドラマについては2、3 ヶ月ごとに1 タイトルの新規投入ペースを維持する計画だ。注目される米国子会社の収益見通しについては、特に情報開示はなされていないため、OS 系プラットフォーム(App Store やGoogle Play) におけるランキングなどに注目しておく必要があろう。

同社の業態は、新タイトルが計画通りに投入されたとしても売れ行きを予測するのは難しい。テレビCM の積極投入策を打ち出しているため、リスクが高まる印象を受ける向きもあろう。ただ、同社は新タイトル投入と同時にCM を投入するのではなく、売上動向を見ながら売れているタイトルをさらに加速させるというスタンスでCM を投入するため、CM 費用だけが膨らんで利益を圧迫する状況に陥るリスクは低いと見ている。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送






<TM>

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