アデランス Research Memo(4):国内女性向けは対象人口増加を商機に結ぶべく販売促進に注力
[14/11/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
かつら事業は市場セグメントによって、成長性が大きく異なる。成長性の違いは、人口の増減以外にも、ヘアケアに対する意識・必要性の違いや、そこに起因する対象人口の変化など、様々な要因による。アデランス<8170>は、将来の市場動向を分析・予測したうえで、国内の女性向け市場と海外ウィッグ事業を成長市場と位置付け、それらの市場での収益拡大に特に注力している。弊社でも国内女性向け市場と海外市場には成長余地が大きいと分析しており、同社の成長戦略には合理性があり、成功可能性も高いと評価している。
(1)国内女性向け市場の取り組み状況
国内女性向け市場は成長が期待でき、かつら対象年齢を40歳〜89歳とした場合、該当する人口は今後10年間で3%程度増加すると予想される。同社は女性向けかつらでは国内シェア約40%とトップの地位にあるが、今後10年間程度続くと予想される対象人口増加の流れを確実に商機に結び付け、着実に収益の成長源として取り込むべく、販売促進に注力している。
同社の女性向けかつらの販路は、オーダーメイド品が自社のサロン店舗(2014年8月末現在、全国149店舗)、レディメイド品が百貨店・直営店及びGMS/スーパーへの出店(2014年8月末現在204店舗)と分かれている。同社は、オーダーメイド品とレディメイド品で価格差が大きいことを利用し、まずはお手軽なレディメイド品でかつら利用へのハードルを下げ、その後オーダーメイドかつらへステップアップしてもらうような戦略で、新規ユーザー開拓、販売促進を図っている。
その具体的な販促策として、同社は、百貨店でオーダーメイドかつらの展示会を開催している。同社は「フォンテーヌ」の出店を通じて全国の百貨店にルートを有しており、それを活用する形で、百貨店の催事場の一角で開催するものだ。展示会の会場費用などはかからず、什器類の運搬費用程度の安価な費用で開催可能なこともあり、足元では展示会の開催に注力している。2015年2月期上期は展示会を151回開催したが、これは前年同期の87回から74%増となっている。
また、レディメイドかつらの出店を加速させている。2015年2月期上期は13店舗を新規に出店したが、下期も10店舗前後を出店する計画だ。ポイントは、出店の主たる場所がスーパー/GMS、ショッピング・モールへの出店だということだ。この理由の1つには、百貨店に151店(2014年8月末)出店しているのに比べ、GMS向けは22店にとどまっており、出店余地が大きいということがある。
しかし、それ以上に重要な点は、同じレディメイドかつらでも、百貨店で展開する「フォンテーヌ」に比べて、スーパー/GMSで展開する「スワニーbyフォンテーヌ」やショッピング・モール内での小型店に展開する「ルネ オブ パリスbyフォンテーヌ」といったブランドは、価格も低めで、ターゲットとする年齢層が40代と若いという点だ。前述したように、まずはお手軽なレディメイドからアデランス製品に馴染んでもらい、将来的にオーダーメイドかつらへのステップアップを狙うという戦略だ。
上記のうち「ルネ オブ パリスbyフォンテーヌ」は、今下半期から三越伊勢丹ホールディングス<3099>の小型の新業態店「MI PLAZA」向けにローンチした新ブランドで、第1号店が9月26日に出店したばかりだ。「MI PLAZA」は50〜60代をターゲットとしているが、同社はシニア層にも低価格帯の商品を提供して、ユーザー層の拡大に努めている。
こうした営業努力は業績にも着実に反映され、2014年2月期第2四半期の女性向けかつらの売上高は、オーダーメイドかつらが9,374百万円(前年同期比5.1%増)、レディメイドかつらが5,229百万円(同7.6%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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