あらた Research Memo(8):2015年3月期は営業戦略の確実な実行で売上高の拡大を目指す
[14/11/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(3)2015年3月期見通し
2015年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%減の625,000百万円、営業利益が同35.2%減の2,900百万円、経常利益が同38.5%減の2,700百万円、当期純利益が同50.7%減の1,200百万円となる見通し。8月時点の会社計画から売上高は15,000百万円、営業利益、経常利益が各600百万円、当期純利益が200百万円の下方修正となる。
売上高に関しては、円安の進展に伴う物価上昇により、個人の節約志向が高まっていること、夏から秋にかけての天候不順で季節商材の販売低迷の影響が、10月に入って出ていることなどが要因となっている。
市場環境が冴えないなかで、あらた<2733>では従来の営業戦略を着実に実行していきながら、売上高の拡大を目指していく方針だ。具体的には、メーカーの販促施策と店頭での販促活動を連動させる提案を行うことで、顧客店舗の売上増に貢献し、売り場におけるインストアシェアの拡大を目指していく。また、あらたグループの販売力、ネットワークを活かした自社ブランド「アドグッド」商品の開発を強化していくほか、成長が続いているシニア関連商品の拡充やネット販売への商品提案、物流体制の整備を推進していく。
自社ブランド商品の開発においては、4月に商品開発部を新設し、ナショナルブランドに匹敵するだけの商品力をもつ新製品の開発、販売を強化している。2015年3月期の計画として前期比400百万円増の2,100百万円を計画しているが、当第2四半期累計では1,000百万円の売上となっており、順調に成長を続けている。また、自社ブランド以外にも専売品の取り組みを積極的に進めている。その1つの取り組みとして、人気音楽グループGReeeeNがプロデュースした歯ブラシを中心とする歯科推奨オーラルケア製品を9月から全国で販売開始した。9月の1ヶ月間の商品売上高としては約40百万円と順調な滑り出しをみせている。
物流体制の整備に関しては、北東北の物流拠点として北上センターを建設し(投資額5,600百万円)、11月中旬に一部業務を200人で開始し、2015年3月に300人体制で本格稼働を予定している(年間売上高能力300億円)。新センターは敷地面積約3.7万きごう平方メートル、建物は3階建てで延べ床面積としては約4.25万平方メートルとなる。新江南センターと同様、最新の物流エンジニアリングを導入し、生産性の向上が期待される。東北エリアでは仙台をメインに、秋田、山形などに物流拠点を設けているが、将来的には仙台と北上に集約化することで、収益性の向上につなげていく戦略だ。
なお、受託物流事業においては、物流センターの効率化や料率改定などを進めることで当下半期は前年同期比で約300百万円の損益改善効果を見込んでいる。今後も配送頻度の見直しや食品物流に関しては他の専門物流業者に委託するなど、事業の効率化を図っていくことで、2016年3月期には数億円の損益改善を見込んでいる。
○株式給付信託(BBT)の導入について
同社は2014年5月に役員報酬に関して株式給付信託の導入を発表している。取締役及び執行役員等を退任した者のうち同社が定める役員株式給付規程の受益要件を満たした者を対象者として、株式で給付する制度となる。給付する株式に関しては自己株式221.8万株のうち109万株(発行済み株式数の1.37%)を368百万円で資産管理サービス信託銀行に一括処分しており、今後の給付に充てていく。業績面での直接的な影響はないものの、取締役及び執行役員等の中長期的な業績向上と企業価値増大に貢献する意識を高めていくという点において、間接的な効果が期待されよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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