ソルクシーズ Research Memo(3):金融業界向けを中心にソフトウェア開発事業は好調に推移
[14/11/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1)2014年12月期第3四半期累計決算の概要
10月31日付で発表された2014年12月期第3四半期累計(2014年1月-9月期)の連結業績は、売上高が前年同期比10.3%増の7,682百万円、営業利益が同70.7%増の393百万円、経常利益が同46.2%増の426百万円、四半期純利益が同29.7%増の223百万円となった。第3四半期に入ってからも、金融業界向けを中心にソフトウェア開発の需要が旺盛で、ソフトウェア開発事業は売上高・利益とも好調に推移した。一方、デジタルサイネージ事業は国内での営業戦略の転換を進めている途中であることから、売上高・利益ともやや低迷する形となった。
通期会社計画に対する進捗率で見ると、売上高が71.4%、営業利益が61.5%と若干遅れ気味ではあるものの、ソルクシーズ<4284>の場合、第4四半期に売上高が増加する傾向となっていることから、ほぼ計画の範囲内での進捗だったと言えよう。
営業利益の増益要因は、主力のソフトウェア開発事業での増収効果に加えて、収益性の良い金融業界向けの比率が高まったことが挙げられる。また、販管費も前年同期比で3.3%増と抑制したこともあって、営業利益率は5.1%と前年同期比で1.8ポイントの上昇となった。
営業外収支が前年同期比で28百万円悪化しているが、これは投資組合事業運用損益の悪化(▲29百万円)が主因となっている。また、経常増益率に対して純利益の増益率が小幅にとどまったのは、実効税率の上昇(前年同期の40.1%→47.2%)によるものだ。
事業セグメント別で見ると、主力のソフトウェア開発事業は、売上高が前年同期比12.0%増の7,381百万円、営業利益が同58.3%増の429百万円となった。本体において証券、クレジットを中心とした金融業界向けのSI/受託開発業務が、新規案件の受注も含めて好調に推移したほか、子会社でも(株)イー・アイ・ソルにおける製造業向けSI/受託開発業務、(株)エクスモーションで展開する大手自動車メーカー向けのコンサルティング業務などが特に好調に推移した。
大手自動車メーカー向けのコンサルティング業務では、開発現場における設計支援や品質改善などのコンサルティング業務を担っている。次世代型自動車では自動化運転システムなど、今まで以上に情報化が進む見通しで、開発現場における標準化作業も含めたコンサルティングニーズが拡大している。
デジタルサイネージ事業は、売上高が19.7%減の300百万円、営業損失が41百万円(前年同期並み)と低迷した。売上高の減少要因は、国内のデジタルサイネージ事業において、営業戦略の転換を進める過渡期となっていることが影響している。従来は、販売ターゲットとして不動産会社や美容サロン向けなど、店舗向けを中心に展開してきたが、需要が伸び悩んでいることから販売ターゲットをアミューズメント施設向けに開発した新型デジタルサイネージを販売していく方向に切り替えている。また、2013年より開始した太陽光発電工事に関しては、事業環境の変化に伴い、今後は低圧型の太陽光発電工事を対象としていく予定にしている。
一方、中国におけるデジタルサイネージ事業では、現地SIベンダーと協業し、医薬品卸会社経由で大連の病院に医薬品の在庫管理用として電子棚札を納入した。協業先のシステム開発もようやく終了し、第3四半期に入って本格的に稼働を開始している。システムの稼働状況も順調なことから、2014年内に他の病院への横展開を進めていく計画となっており、順調にいけば2015年12月期にも収益化が見込める状況であることから、今後の展開が注目される。中国では、すべての医薬品の監督管理の電子化を目標に法制度が整備されており、病院における電子棚札を使った在庫管理システムの導入、普及が期待されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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