スターティア Research Memo(5):新卒採用にも積極姿勢、新卒社員が戦力化し売上高販管費率が低下
[14/12/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■新中期3ヶ年利益計画と “ギアチェンジ”
(2)“ギアチェンジ”(=先行投資)の詳細
スターティア<3393>は2015年3月期を、次の成長のための先行投資の時期と位置付けて、様々な施策に取り組んでいる。下記にその主なものの一覧を挙げた。
大きなものはホスティングサービスにおけるセキュリティ向上策の費用で、今期は前期に比較して120百万円の費用増(通常年との比較では170百万円の費用増)となっている。この具体的な内容は、セキュリティ対策のための機器・ソフトウェアのグレードアップなどもあるが何より大きいのは、データ移管等にかかる人件費となっている。
今期の施策でもう1つ特徴的なことは、矢継ぎ早に発表された事業提携である。一部は資本提携にまで踏みこんだ提携となっている。これら一連の提携はいずれも、人的キャパシティアップの効果がある。同社は、今期の中途採用者が計画の半分程度にとどまっている模様であるが、これら一連の業務提携を通じて、人材不足・採用遅れのマイナスの影響を補完できるめどが立った模様だ。
営業力強化の点では神戸営業所設立がある。同社は営業戦略の1つのポイントとして、販売エリアを「1時間〜1.5時間で駆け付けられる範囲」に限定している。これは顧客満足度を高く維持し顧客を囲い込む上で重要なポイントとなっている。関西地区にはこれまで大阪支社しか拠点がなかったが、神戸営業所の設立で、兵庫県内の約22万社が実体的にターゲットになったと言える。
滝沢R&Dセンターは、100%子会社のスターティアラボが、岩手県滝沢市に設立したものだ。同市には岩手県立大学滝沢キャンパスがあり、ソフトウェア情報学部が設置されている。同社では同R&Dセンターを、アカデミアとの共同開発や新卒者採用・教育など、様々な方面に活用する方針だ。また、同拠点は営業拠点のない東北・北海道方面全般に対する出先機関の役割も果たしうると弊社ではみている。
同社はまた、新卒採用においても積極姿勢を見せている。前2014年3月期中は、2013年4月の新卒採用者が87名を数え、彼らの教育施設も兼ねて東東京支店を設置した。これに続き2014年4月も新卒者を84名採用した。2014年9月末現在の連結従業員541人の約15%が新卒社員、約30%が入社2年未満の社員ということになり、彼らが収益に本格寄与するまでは、人件費増加分だけ「先行投資」という形になる。
同社の積極新卒採用策は成功しているようだ。2014年3月期は4月に87名が入社したが、新卒が戦力とならない上半期の売上高販管費率は43.6%であった。しかし、新卒社員が戦力化し始めた下期は売上高販管費率が40.3%に低下した。事業の季節要因(下期偏重)で売上高の上下比が45対55であったことなども考慮しなければならないが、新卒大量採用をトップライングロースにつなげるという同社の戦略は、これまでのところは成功していると弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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