IBJ Research Memo(4):年率20%成長を継続するため3つの成長戦略を推進
[14/12/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略と株主還元策
(1)成長戦略
IBJ<6071>の業績は2015年以降も婚活会員数やイベント動員数の増加によって成長が続く見通しだが、年率20%成長を継続していくため、3つの成長戦略を推進していく方針を打ち出している。第1に、婚活からライフデザイン(式場紹介、引越、保険等)への事業領域拡大、第2に同社が保有する付加価値の高い会員データベースを活用したマーケティング支援サービスの強化、第3に海外市場での展開となる。
○婚活からライフデザインへの事業領域拡大
婚活サービスからライフデザインへの事業領域拡大とは、同社が提供する婚活サービスと関連性が高いイベント(結婚、旅行、妊活、引越、保険、転職等)を手がける企業と提携し、送客を行うビジネスとなる。また、将来的にはこれら関連ビジネスを手がけ、シナジーが見込める企業をM&Aでグループ内に取り込んでいくことも視野に入れている。
既に、ジュエリーショップへの送客などは行っていたが、2014年より新たにウェディングプロデュースを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>と業務提携を結び、IBJメンバーズで成婚するカップルの送客サービスを開始した。特に、結婚式場への送客サービスに関しては毎月10件以上の実績が積み上がってきている。送客サービスを開始するに当たって、同社ではウェディングプランナーの経験者を1名採用し、IBJメンバーズで成婚が決まった会員に対してカウンセリングを行い、要望に応じて送客を行っている。IBJメンバーズの成婚カップル数は月に約30組程度となっており、3分の1を送客していることになる。送客にかかる手数料はウェディング費用の5〜15%程度とみられることから、まだ収益への影響は軽微だが、2015年以降はホテルや他の結婚式場など数社と提携して横展開していくほか、「日本結婚相談所連盟」の約1,000を超える加盟店にも同システムを導入していくことで、送客件数を拡大していく戦略だ。売上高としては最大で4〜5倍程度まで拡大していくことが予想される。
同社ではこうしたビジネスモデルを、今後は不動産や引越、保険、転職など様々な事業領域で拡大していくことを計画している。約30万人の婚活会員が潜在顧客となるだけに、今後の成長ポテンシャルは大きいと言えよう。
○会員データベースを活用したマーケティング支援サービス
同社の会員情報は、婚活を目的としたものであることから、属性データも一般的な個人情報(年齢、職業、年収等)だけでなく、個人の価値観・嗜好や行動データも含めた情報が蓄積されており、内容としては極めて付加価値の高いデータベースが構築されていることになる。同社ではこうしたデータベースを今後、企業のマーケティング支援サービスとしてマネタイズしていく戦略であり、ターゲティング広告を始めとした様々なサービスを計画している。
○海外展開
海外展開としては台湾に既に進出している。2014年4月に現地のオンラインマッチングサービス会社で最大手となる尚凡資訊股フン有限公司(以下サンファンインフォ)と合弁会社を設立し、イベント事業を展開中だ。サンファンインフォが台湾のオンラインマッチングサービスの会員基盤を提供し、IBJが婚活オフラインサービスの運営ノウハウを提供することで、台湾でもオンラインとオフラインサービスを融合させた婚活サービスを展開する。7月末に専用のイベント会場をオープンして以降、毎月20本程度のイベントを開催し、動員数も着実に増加してきている。当面は、1号店舗を軌道に乗せることを優先しており、2015年前半に単月ベースでの黒字化を見込んでいる。なお、韓国や東南アジアなどその他の国への進出に関しては、具体的な計画はまだなく、当面は台湾での事業展開が中心となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)
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