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アクセル Research Memo(1):新領域への事業展開と市場シェア拡大で成長余地

注目トピックス 日本株

アクセル<6730>は、遊技機器(パチンコ、パチスロ)向けグラフィックスLSIで市場シェア55%を握るファブレス半導体メーカー。無借金経営で自己資本比率は90%超と、強固な財務体質を誇る。

2015年3月期の第2四半期累計(2014年4-9月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の5,936百万円、営業利益が同22.0%増の1,096百万円となった。主力の遊技機器向けグラフィックスLSIの収益性が仕入れコスト低減により向上したほか、メモリモジュール等のその他製品の売上増、研究開発費の減少などが寄与した。

2015年3月期の通期業績は、売上高が前期比3.1%減の10,700百万円、営業利益が同30.3%減の1,350百万円と8月時点での上方修正値を据え置いた。リユース品の増加等によりグラフィックスLSIの減収を見込んでいるほか、新製品の試作開発費が増加することが要因だ。また、9月に実施されたパチスロ機の試験変更、自主規制の影響でパチスロ機メーカーの新機種投入計画がずれ込む可能性もあり、下期の市場動向には不透明さが残るが、上期までの業績の進捗を鑑みると、それでもなお、保守的な計画だと思われる。なお、下期から本格量産するグラフィックスLSIの新製品AG5は、従来品と比較して描画性能やデータ圧縮率が大幅に向上しているほか、CPUを新たに内蔵したことでトータルコスト低減を実現しており、顧客からも高い評価を受けている。

同社は、2019年3月期に売上高18,000百万円、ROE15%とする中期業績目標を掲げている。営業利益の水準は3,000百万円程度を見込んでいると思われる。遊技機器市場は、2014年3月期の343万台から2019年3月期は300万台に縮小する前提で、グラフィックスLSIの市場シェア拡大や、メモリモジュールなど周辺デバイスも含めた演出制御関連システムへの展開、新しい演出周辺製品の開発を進めていく。現在、同社が事業展開する既存領域の推定市場規模は500億円程度だが、今後同社が推進していく演出制御関連システムも含めれば約750億円に広がることから、市場シェアの拡大等により成長余地は十分あるとみられる。

株主還元策としては、原則として配当金で行っていく方針としており、単体配当性向は50%を基準に、減配となる場合には、剰余金の状況(販管費の3年分は内部留保とする)を勘案した上で決定することとしている。ただ、同社ではROEの向上を目指していることから、今後は株価水準にもよるが、自社株買いも株主還元策の選択肢となる可能性がある。

★Check Point
・研究開発型ファブレスメーカー、グラフィックスLSI市場でトップ
・通期業績の見通しは保守的、上期までに高い進捗率
・5年後の業績目標は売上高18,000百万円、ROE15%

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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