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EMシステムズ Research Memo(9):医科システムは代理店調開拓やM&Aも有効な選択肢

注目トピックス 日本株

■成長戦略

(2)強みと長期展望

EMシステムズ<4820>は主力の調剤システムにおいて、5年間無償保証をセールスポイントに業界トップクラスの調剤薬局向けレセコンシェアを確保してきた。このユーザー数を基盤に2009年3月期からは処方箋枚数に応じた月額従量課金のストック型ビジネスモデルに転換している。

従前のビジネスモデルは、単年度の売上高に左右されるフロー型ビジネスモデルで、診療報酬改定によるユーザーの投資マインドに左右されやすい一面があったが、ストック型ビジネスモデルへの転換で同社の収益構造は外部環境リスクを低減させ、ユーザー数の積み上げが収益に反映されるシンプルなビジネスモデルを確立した。

調剤薬局業界は中長期的に医薬分業率の上昇や高齢化に伴い、ストック型ビジネスモデルの基盤となる調剤薬局数と処方箋枚数の増加が予想される。したがって、調剤システムの持続的成長には新規導入と他社リプレースによるユーザー数の積み上げが欠かせないほか、成長ステージをランクアップするには医科システムの強化が求められる。

業界シェアが低い医科システムは、自社営業強化や代理店網の整備に加え、ユニコン製品のASPモデル化が必要と考えられる。上期はユニコンとの営業統合に時間を費やし、EMシステムズ製ASPモデルのフロー件数が前年同期比で減少するなど、統合効果が確認できないうえ、ユニコンは従来型の売り切りモデルを販売するなどASPモデルへの統合も遅れている。

既存ユーザーの少ない医科システムは、新規獲得と他社リプレース、M&Aによるストックの積み上げが必須であり、この打開策として自社営業体制の強化は当然のこととして、代理店網開拓や新たなM&Aも有効な選択肢と考えられる。

他方、長期的にはEHRとPHRの事業化が注目される。これはカルテや処方箋の電子化を前提に、国民皆保険制度のもとで患者が国内どこでも均一な医療を合理的に受けられるフリーアクセスを具現化したもの。ネットワークを介して病院と診療所との病診連携を強め、患者の病歴や薬歴の共有を進めることで無駄な検査や投薬を排除したうえ、より高品質な医療の提供が期待される。

同社の調剤システムにおける業界シェアはトップクラスの30%超と推察されるなか、ASPモデルの投入によって同社のサーバには日々膨大な処方箋データが蓄積されている。このビックデータを活用するためにも、今後は医科システムのASPモデル拡販で、カルテデータの蓄積を進めながらEHRとPHRの実証事業等で、新たなビジネスチャンスを見い出すことが可能となろう。

この点では、国民健康保険を運営する自治体向けにサービスを提供しているデータホライゾンとの業務提携で、将来的に新たなビジネスを生み出す可能性が膨らんだと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 馬目 俊一郎)



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