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極洋 Research Memo(3):水産物の買い付けを中心に5部門で事業展開、本鮪の養殖も開始

注目トピックス 日本株
■会社概要

(2)事業内容

極洋<1301>の主力事業はすべて「水産」に関連したものだが、以下の5つに部門を分けている。2014年3月期の売上高及び営業利益の比率は下表のとおりだが、水産商事部門が売上高、営業利益ともに高い比率である。各部門の詳細は以下のようになっている。

●水産商事

水産商事部門では、各種の水産物(主に南北凍魚、鮭・鱒、えび等)の買い付け、販売、加工などを行っている。仕入れ先に対しては加工方法等について、技術指導を行うケースもある。仕入れ先は国内外の漁業会社や商社など。販売先は商社、食品加工会社、問屋、荷受会社など幅広い。また海外で仕入れた商品を海外へ転売する3国間取引も行っている。

売上高や利益は、魚価、需要動向に大きく影響される。そのため、需要動向を見極めたうえでの適切な仕入れ、及び在庫管理が利益に対しては重要なファクターとなる。

●冷凍食品

冷凍食品部門では、主に水産系の食材を、生食用、加熱用、衣付食材用(フライ等)に冷凍加工して販売する。上記の水産商事と同様のルートで販売されると同時に、エンドユーザー(消費者)に近いルートでも流れる。

この分野での同社の特色は、生食用冷凍食品で高いシェアを持っており、特に回転寿司チェーン向けに強いということになろう。また以前は、一般家庭用の販売は行っていなかったが、2014年1月から自社ブランド「シーマルシェ」で量販店向けに冷凍食品の出荷を開始、家庭用冷凍食品市場に参入した。競争の激しい分野ではあるが、既に「シーマルシェ」商品で累計57品目を上市しており立ち上がりは順調、今後の展開に注目しておきたい。

●常温食品

常温食品部門では、量販店やコンビニ向けの缶詰を中心として、その他健康食品や珍味類を扱っている。主原料は近海物の魚(さば、いわし等)が多いが、魚価が上がった場合の価格転嫁はすぐには難しいことから、利益率が変動することが多々ある部門である。

●物流サービス

物流サービス部門では、東京、大阪、福岡の3拠点で冷蔵倉庫事業を行ってきたが、2014年8月には京浜地区に城南島事業所を開設済みで、今後の拡大が期待できる。また、主に海外ユーザー向けに冷蔵運搬船事業(果物、野菜類)も行っている。

●鰹・鮪

鰹・鮪部門では、主に中西部太平洋及び東沖海域における良質のカツオ、マグロの漁獲から、買い付け、加工、販売まで一貫した事業を展開している。最新の設備を備えた海外まき網船5隻が、カツオを漁獲する一方で、世界各地からの買い付けも行っている。

これらのカツオやマグロを国内外の関連会社や協力工場で加工し、顧客である外食産業や量販店に販売している。「本鮪の極」ブランドは既に定着しつつある。またマグロの安定的な商材確保を図るべく、2007年にキョクヨーマリンファーム(株)を、2010年にはキョクヨーマリン愛媛(株)をそれぞれ設立して、本鮪の養殖事業を展開しており、これまでの冷凍品に加え、より安定した高品質な生鮮品の供給が可能となった。さらに完全養殖への取り組みも積極的に進めている。種苗生産分野の技術を有する日本配合飼料(株)との合弁企業である極洋日配マリン(株)は人工親魚から200万粒を採卵して種苗生産を実施、さらに陸上孵化場から海上の人口種苗生簀へ完全養殖魚約14,000尾の沖出しに成功した。これによって完全養殖のビジネスモデルが確立され、3年後には本格出荷が期待できそうであり、同社の新たな強みとなりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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