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極洋 Research Memo(4):各分野で異なる競合が存在、水産のプロとしての信頼関係や知識に強み

注目トピックス 日本株
■会社概要

(3)競合と特色

上記のように極洋<1301>は幅広く水産関連事業を行っているので、特定の競合会社ではなく、それぞれの分野で競合企業が存在する。

●水産商事

主に商社事業であるため、この分野での競合は多い。同業の水産会社であるマルハニチロ<1333>、日本水産<1332>は言うに及ばず、総合商社(丸紅<8002>、三菱商事<8058>等)の水産部門、水産物専門商社などと競合する。さらに海外における買い付けなどでは、外国の商社やバイヤーと競合になる場合も多い。激しい競争の中で、重要なことは、サプライヤーといかに信頼関係を築くかだが、その点については戦前から水産業を営んできた同社に強みがある。取引先との信頼関係や水産物に対する豊富な知識が同社の強みだろう。

●冷凍食品

この分野も競争は激しい。水産商事部門での競合企業に加え、冷凍食品メーカーとも競合する。ただし、同社の特色でもあり強みでもあるのは、既述のように「生食用冷凍食品」、特に回転寿司向けでは高シェアを誇っていることにある。この分野での競合は主にベニレイやニチレイフレッシュなどがある。

その一方で同社は、今までは一般家庭用の冷凍食品は扱っていなかった。言い換えれば同社が弱かった分野である。しかし2014年1月から自社ブランド「シーマルシェ」を付けて、家庭用冷凍食品市場に参入した。水産のプロの目で選んだ魚を、手軽に、おいしく食べられる家庭用の冷凍食品という点に強みがある。競争の激しい分野ではあるが、既に「シーマルシェ」ブランド商品は家庭用冷凍食品17品を含み、累計57品目となっており、ある程度のシェア獲得は十分可能であり、今後の動向に注目しておきたい。

また、2013年7月には「だんどり上手」シリーズも発表。毎日忙しい現場で“だんどりよく”調理してもらうための業務用商品であり、骨なし切身製品は独自製法で製造され、冷凍のまま調理可能である。老健食や事業所給食向けに今後もシリーズを拡大する予定だ。この「だんどり上手」シリーズは、2014年9月に日本食糧新聞社の「業務用加工食品ヒット賞」を受賞しており、今後の展開が楽しみな商品である。

●常温食品

主力製品が缶詰や珍味、健康食品であることから競合会社は無数にある。いかに消費者に受け入れられる商品を開発できるかが今後の成長を左右する。近年では大手コンビニチェーン向けにプライベートブランド商品が伸びており、順調に販路を拡大しているようだ。

●物流サービス

この分野も競争は激しいが、どれだけの庫腹規模を持っているかが鍵となる。その点で同社は、東京、大阪、福岡という大都市圏(消費地)に冷蔵倉庫を有し、主要顧客にとっては利便性が高い。さらに2014年8月には城南島事業所が開設され、売上増に寄与し始めている。このように大都市圏に冷蔵倉庫を所有している点も同社の強みと言えるだろう。

また冷蔵運搬船を有していることも同社の特色だが、この分野の収益性をさらに高めるため、2014年3月に子会社極洋海運(株)を吸収合併した。

●鰹・鮪

この分野も大手水産会社、総合商社から中小漁業者まで競合企業は無数にあるが、特にマグロにおいて競合するのが三菱商事系の東洋冷蔵。どれだけ質の良い商材を安定的に供給できるかがこの部門の鍵となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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