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アールテック・ウエノ Research Memo(2):希少疾病医薬品、生活改善薬の分野をターゲットに開発を行う

注目トピックス 日本株

■事業概要

アールテック・ウエノ<4573>は眼科・皮膚科向けに特化した創薬ベンチャー企業で、既に収益化している医薬品を持っており、創薬にかかる開発費だけでなく、安定配当を継続できるだけの収益力、財務体質を確立していることが特徴となっている。

現在の主力製品である「レスキュラ」は緑内障・高眼圧症治療薬として、国内では提携先の参天製薬<4536>向けに販売している。海外向けでは2009年4月に米Sucampo Pharmaceuticals, Inc. (以下、スキャンポ社)と北米地域における事業化に関するライセンス契約を結び、2013年3月期より米国での再参入を果たしている。同医薬品は国内で1994年に販売されてから20年が経つロングセラーとなっている。このため普及はほぼ一巡しており、販売数量は緩やかながら減少傾向となっている。また、薬価改定に伴う引き下げもあり、国内売上高に関しては今後も漸減傾向が続く見通しとなっている。さらに、北米向けに関しても、再参入を果たしたものの競合品が多くあるなかで販売が予想以上に苦戦しており、スキャンポ社の営業活動も事実上ストップした状況となっている。

また、受託製造サービスを行っている便秘症治療薬「アミティーザ」(スキャンポ社開発品)は、同社の三田工場で原薬まで製造し、カプセル詰め工程やボトル詰めの工程は外注先で行っている。米国市場では武田薬品工業<4502>の現地子会社向けに、国内市場ではスキャンポ社経由でアボットジャパン(株)向けにそれぞれ販売を行っている。なお、欧州市場ではスイスや英国でスキャンポ社が販売承認を取得、2014年10月に武田薬品工業とグローバルライセンス契約(日本、中国を除く)を締結したことで、今後は北米市場と同様、武田薬品工業が欧州市場で販売活動を行うことが決まった。同社はグローバルの独占的製造供給権を保有しているため、今後は欧州向けの売上高拡大が新たに期待されることになる。

なお、2015年3月期第2四半期累計(2014年4-9月期)の売上高構成比は、「レスキュラ」が22.2%、「アミティーザ」が75.5%となっている。残りの2.3%は医薬品研究開発支援サービスとなり、非臨床段階における研究開発協力(評価・検討・試験)から、承認申請用データの取得・作成に至るまでの様々なサービスが含まれている。粗利益率で見れば製造販売事業である「レスキュラ」が最も高く70%程度、次いで「アミティーザ」が60%程度となっている。受託製造サービスで60%という水準は業界の中でも高いが、これは「アミティーザ」が上市するまでの研究開発支援を同社で行ってきたことが要因の1つとなっている。

同社の開発の基本戦略は、医師目線で実際にニーズのある医薬品、いわゆる「アンメット・メディカル・ニーズ」(医療現場からニーズがあるにもかかわらず、満足のゆく治療法がない医療領域)や、「オーファンドラッグ」(難病などの治療で医療現場からのニーズは強いが患者数が少ないため、開発しても収益性が低い医薬品を指す、希少疾病医薬品)、「アンチエイジング」(生活改善薬)の分野をターゲットとしている。また、開発コストを比較的低く抑えることができる局所疾患型(眼科や皮膚科など)に特化した開発を行っていることも特徴だ。現在の開発パイプラインの中で収益化が期待されるものとして、網膜色素変性治療薬として開発中の「ウノプロストン点眼液(開発コードUF-021)」、世界初の生物製剤による重症ドライアイ治療薬として開発中の「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(同RU-101)」などがある。

創薬ベンチャーでは、自社で開発した新薬を大手製薬企業にライセンスアウトし、ライセンス収入やロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを構築している企業が多い。自社で第3相試験まで手掛けるには資金的な負担が大きくなるためだ。ライセンスアウト収入としては、契約時点で得られる契約一時金のほか、臨床試験の進行状況や製造販売承認取得時、製品発売後、売上高が一定目標に達成した時点など、ビジネススケジュールの進捗があった時点で得られるマイルストーン収入がある。また、ロイヤリティ収入は、製品発売後に販売額の一定額をライセンスアウト契約先から得る収入となる。

現在開発中のパイプラインも、こうしたライセンスアウトを行うことで、マイルストーン収入やロイヤリティ収入を獲得していくことになる。もちろん、開発する新薬が市場性の見込める魅力的なものでなければ契約先が現れることも無いわけで、そういった面からも同社の開発方針は、「オーファンドラッグ」や「アンチエイジング」など市場ニーズがある分野に絞って進められている。また、同社の特徴としては、自社で製造工場を持っており、製造権を保有しながらライセンスアウトする戦略を取っている点にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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