アールテック・ウエノ Research Memo(4):開発資金援助金で長期借入金が増加するも実質無借金を継続
[14/12/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2)財務状況
アールテック・ウエノ<4573>の2014年9月末の財務状況については表のとおりで、総資産は前期末と比べ108百万円減少の11,290百万円となった。主な変動要因をみると、流動資産で現預金が416百万円減少した一方で、たな卸資産が267百万円増加している。在庫の増加については、「アミティーザ」の米国向け納品の期ずれによる影響が大きい。また、固定資産では投資有価証券が60百万円減少している。
一方、負債は前期末と比べ30百万円増加の2,237百万円となった。流動負債は未払法人税等が208百万円減少したが、固定負債は長期借入金が226百万円増加した。長期借入金の増加は、網膜色素変性治療薬として開発中の「ウノプロストン点眼液(UF-021)」が2013年2月に科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採用されたことに伴うもので、同プログラムの開発資金援助金※となっている。
※無利子で最長7年間、最大2,000百万円までの開発資金援助を行う制度で、開発プロジェクトが成功(商品化)した際には、売上高に応じて支援額の全額を返済していくことになる。不成功時には、支援額の10%を返済するスキームとなっている。貸借対照表上では長期借入金として計上している。
純資産に関しては、純利益を356百万円計上した一方で、剰余金の配当支出を482百万円行ったことなどにより、前期末比で139百万円減少の9,053百万円となった。
経営指標でみると、長期借入金が増加した一方で純資産が減少したことから、自己資本比率が前期末と比較してやや悪化した格好となっている。ただし、長期借入金は利払いの発生しない開発資金援助金であり、実質無借金で良好な財務状況が続いていると言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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