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テクマトリックス Research Memo(7):後発の利を活かしてクラウド関連へ加速度的に事業構造転換

注目トピックス 日本株

■中長期的な成長戦略

テクマトリックス<3762>の成長戦略の柱は、(1)クラウドサービスとセキュリティ&セイフティサービスの強化、(2)事業領域の絞り込み、(3)労働集約型ビジネスからの脱却、が挙げられる。これらを推進することによって、(4)フローからストック型のビジネス拡大、につなげる考えである。これらの戦略はいずれも、同社が業界の後発組であり(創業は1984年)、企業規模も社員1,000人を越えるような大手企業といえるレベルではなく(連結ベースで約952人)、大手企業の後追いでは生き残りが難しいという判断に基づいている。以下に各戦略について説明する。

(1)クラウドサービスとセキュリティ&セイフティサービスの強化

クラウドサービスは、今までの業界のビジネスモデルを大きく変える新分野である。世界レベルでも、SIer (システムインテグレーション企業) とは言えないAmazon.comやGoogleなども新規に参入して、“覇権争い”が行われており、勝者はまだまだ見えない。規模の大小や創業時期とは関係なく、あらゆる企業が横並びで競争できる市場であるといえる。

しかも、中堅企業の方が比較的容易にクラウドビジネスに事業構造を転換しやすいという側面もある。したがって、大手に先んじて市場を確保できる可能性が高いと言える。その理由は2点ある。第1に技術者の余剰問題が起こりにくい点が挙げられる。従来のSIerは、システム構築とその後の保守・運用で事業を拡大してきた。このビジネスモデルは、システム構築と保守のいずれにおいても受注件数に比例してシステムエンジニアなどの技術者を確保しなければならない。クラウドサービスはその点、従来よりもはるかに技術者の増加を抑えることができる。したがって、すでに多くの技術者を抱える大手は、クラウド化を進めれば進めるほど余剰人員を抱えることになってしまう。中堅規模ならば、技術者をそのままクラウドビジネスに振り分けることが比較的容易である。第2に事業構造の転換とともに起こる収益構造の転換への対応力である。決算の分析でも明らかなようにシステム構築と保守・運用からクラウドサービスに転換すると、一時的ではあるが、売上高も利益も落ち込む。ただ、中堅以下の企業ならば、落ち込みもさほど深刻なレベルにはならない。しかし、多くの人員を抱える大手になると、一時的とはいえ、落ち込みは経営に大きな打撃となりかねない。

同社はこの2点の理由から大手ほどクラウドサービスへの本格的な転換が遅れると見ており、いち早くクラウドサービスに事業モデルの軸足を転換することによって先行者利益を得られると考えている。

一方、セキュリティ&セイフティサービスの強化は、クラウドサービスと表裏一体である。クラウドは、クライアントにとっては、大切なデータを他人に預けるという不安もある。そこで、クライアントの情報の漏えいを防ぎ、適切に管理する「セキュリティ&セイフティ」が必要になる。クラウドサービスの受注が拡大すれば、セキュリティ&セイフティサービスも拡大するというビジネスモデルと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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