ホットリンク Research Memo(10):来期もしくは再来期に売上高2,418百万円、営業利益544百万円が目標
[14/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
ホットリンク<3680>では当面の経営目標値として、2015年12月期、または2016年12月期において、売上高2,418百万円、営業利益544百万円の達成を掲げている。同目標値は2015年2月に発行する有償ストックオプションの行使条件でもある。
前述したように、2015年12月期はSocialgistの業績がそのまま上乗せされることや、のれん償却がなくなることで、既存事業が横ばいだったとしても、売上高で2,100百万円、営業利益で300百万円程度とそれぞれ2倍増の水準が見込めることになる。実際には、ホットリンク、Socialgistともに年率2ケタ成長で伸びる可能性があるため、2016年12月期までに経営目標値を達成する余地が十分あると考えられる。
Socialgistの買収によって、連結売上高の構成比は大きく変化することになる。2014年12月期はSaaS事業が売上高の75%、ソリューションサービス事業が24%となるが、2015年12月期はソリューションサービス事業が70%弱まで拡大し、同社の主力事業となる見込みだ。これは同社の中期経営戦略である、クラウド「ツール」ベンダーから、クラウド「プラットフォーム」ベンダーへの進化という戦略に沿ったものとなる。
同社がクラウド「プラットフォーム」ベンダーを指向している背景としては、ソーシャル・ビッグデータが従来のマーケティング領域だけでなく、金融や政治、報道機関、公共分野など様々な業界で利用されるようになってきたこと、また、一方で、エンタープライズ・ソフトウェアベンダーがソーシャル・ビッグデータを自社サービスに組み込んで、サービスの高付加価値化を図ろうとする動きが出ていることなど、同社を取り巻く市場環境が大きく変化してきていることが挙げられる。こうした環境変化をビジネスチャンスとして捉えるため、人的リソースの最適配分により、成長機会の最大化を実現することが狙いとなっている。実際、エンタープライズ・ソフトウェアベンダーや各種メディア企業との業務提携による協業も着実と進んでいる。
また、中期的な成長戦略として、M&A戦略も今後積極的に進めていく方向にある。Socialgistの買収によってグローバルネットワークが一気に拡大するなかで、ソーシャルメディアデータ流通企業として、優位なポジションを構築しつつある強みを活かしていく。M&Aの対象としては、東南アジア市場においてソーシャルメディアデータの分析サービスを行っている企業が挙げられる。東南アジア市場は経済の成長力が高く、今後、グローバル企業のなかでマーケティング分析ニーズが高まってくる市場の1つとして注目されているためだ。同社では、東南アジア市場におけるソーシャルメディアデータの分析サービス企業を買収することで、東南アジア市場でもクラウド「プラットフォーム」ベンダーとして確固たる地位を築きあげ、成長を加速化させていきたい考えだ。
また、日系企業の海外での事業活動を支援していくという点において、Socialgistの子会社化により、中国を含めた海外版「クチコミ@係長」のサービス拡大も期待される。同様に、海外工場のストライキや反日感情の高まりなど、不測の事態が起こった際のリスクマネジメント対策として、「e-mining」の海外版も期待される。
中長期的には、ソーシャル・ビッグデータのマーケティング分野におけるサービスの高度化を進めていくと同時に、国内での様々な業界へのデータプラットフォーム事業での展開、M&Aを活用した海外展開と3つの成長戦略を遂行することで、売上高10,000百万円の早期達成を目指していく考えだ。収益性に関しては、クラウドサービス事業を主力としているため、安定した収益性を確保できるほか、主な変動費がデータ購入費用のみであり、売上に占める比率は10%程度と低いこと、固定費では人件費(売上比率で30〜35%)が最も大きく、国内事業の人員増員ペースは今後、年間で10名程度となり、人件費の増加ペースが緩やかになる見通しであることなどから、売上高の成長に伴って収益性も向上していくことが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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