シュッピン Research Memo(2):EC売上高の比率が向上、イメージ通りのモデルで成長
[14/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■2015年3月期第2四半期の注目点
シュッピン<3179>の2015年3月期の第2四半期決算では、大きな注目点として2つを挙げることができる。1つはEC売上高が着実に上昇し、創業以来の収益成長モデルのイメージを実践してきていることだ。実質EC売上高比率は9月単月で62.7%、10月単月で66.3%と、全売上高の3分の2近くまで上昇した。もう1つは、インバウンド観光客による免税売上高の急増だ。従来からある程度の免税品を買うインバウンド観光客は来店していたが、今第2四半期はその規模が急激に拡大し、約1,400百万円に達した。
(1)EC売上構成比が着実に上昇
2015年3月期の第2四半期の売上高は8,547百万円だったが、そのうちEC売上高は4,348百万円で、EC売上高比率は50.9%となった。しかし、今第2四半期は免税品を求める訪日外国人観光客(インバウンド観光客)が同社の店舗売上高を大きく押し上げた。このインバウンド観光客の免税売上高約1,400百万円を除いたEC売上高比率は60.9%となり、半期ベースで過去最高水準に達した。
月次売上高数値を見ると、EC売上高比率は月ごとにばらつきはあるものの、基本的には右肩上がりで推移しており、直近の2014年10月月次においては、インバウンド観光客の免税売上高を除いたベースで66.3%と、全体の売上高の3分の2に達した。
弊社がEC売上高の上昇を評価する理由は簡単だ。それが同社の事業モデルの根本であり収益力を測る最良のKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)だからである。
同社の事業モデルの特徴は、大きく2つある。1つはインターネットでの取引を中心に据えたローコストオペレーションの徹底である。リアル店舗で商品を確認し実取引はインターネットで行うショールーミング化という消費者行動の変化に合わせたものだ。同社の鈴木社長は過去のパソコンショップ経営の体験から、店舗による販売には、店舗拡大競争という際限のない競争が待ち受けており、店舗に頼った小売には勝者がいなくなると考えており、これがインターネット主体のビジネスモデル推進の大きな原動力となっている。
もう1つは、元来は異なる市場メカニズム(市場性や消費者ニーズなど)で動いている中古品と新品を組み合わせることで、両者を化学反応させてそれぞれの市場性・流通性を高めて自社の売上高拡大に結び付けていることである。これが最も良く機能している商材はカメラで、「中古品を触媒にして新品の流通(販売)を促進する」という流れをほぼ確立したと言える。同社の顧客は、新品購入動機が先に来て、その際に手持ちのものを売却して新品購入資金に充てるという流れが中心である。同社はその点をよく理解し、消費者が中古品を手放しやすい環境(すなわち、新品を買いやすい環境)を整えている。
同社が採用するこの事業モデルにおいては、売上高が増加しても、それに伴う人件費や店舗費など商品原価以外の費用の増加は極力抑えることができる。同社の損益計算書においてはそれらの費用は販管費という形で計上されるため、売上高販管費率の推移を見ることで、同社の事業モデルが狙いどおりの成果を出しているかどうかを判断することができる。下の図にあるように、EC売上高比率と売上高販管費率は逆相関の関係にあることが明白で、同社はeコマース企業として想定したとおりの収益成長シナリオを実践していると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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シュッピン<3179>の2015年3月期の第2四半期決算では、大きな注目点として2つを挙げることができる。1つはEC売上高が着実に上昇し、創業以来の収益成長モデルのイメージを実践してきていることだ。実質EC売上高比率は9月単月で62.7%、10月単月で66.3%と、全売上高の3分の2近くまで上昇した。もう1つは、インバウンド観光客による免税売上高の急増だ。従来からある程度の免税品を買うインバウンド観光客は来店していたが、今第2四半期はその規模が急激に拡大し、約1,400百万円に達した。
(1)EC売上構成比が着実に上昇
2015年3月期の第2四半期の売上高は8,547百万円だったが、そのうちEC売上高は4,348百万円で、EC売上高比率は50.9%となった。しかし、今第2四半期は免税品を求める訪日外国人観光客(インバウンド観光客)が同社の店舗売上高を大きく押し上げた。このインバウンド観光客の免税売上高約1,400百万円を除いたEC売上高比率は60.9%となり、半期ベースで過去最高水準に達した。
月次売上高数値を見ると、EC売上高比率は月ごとにばらつきはあるものの、基本的には右肩上がりで推移しており、直近の2014年10月月次においては、インバウンド観光客の免税売上高を除いたベースで66.3%と、全体の売上高の3分の2に達した。
弊社がEC売上高の上昇を評価する理由は簡単だ。それが同社の事業モデルの根本であり収益力を測る最良のKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)だからである。
同社の事業モデルの特徴は、大きく2つある。1つはインターネットでの取引を中心に据えたローコストオペレーションの徹底である。リアル店舗で商品を確認し実取引はインターネットで行うショールーミング化という消費者行動の変化に合わせたものだ。同社の鈴木社長は過去のパソコンショップ経営の体験から、店舗による販売には、店舗拡大競争という際限のない競争が待ち受けており、店舗に頼った小売には勝者がいなくなると考えており、これがインターネット主体のビジネスモデル推進の大きな原動力となっている。
もう1つは、元来は異なる市場メカニズム(市場性や消費者ニーズなど)で動いている中古品と新品を組み合わせることで、両者を化学反応させてそれぞれの市場性・流通性を高めて自社の売上高拡大に結び付けていることである。これが最も良く機能している商材はカメラで、「中古品を触媒にして新品の流通(販売)を促進する」という流れをほぼ確立したと言える。同社の顧客は、新品購入動機が先に来て、その際に手持ちのものを売却して新品購入資金に充てるという流れが中心である。同社はその点をよく理解し、消費者が中古品を手放しやすい環境(すなわち、新品を買いやすい環境)を整えている。
同社が採用するこの事業モデルにおいては、売上高が増加しても、それに伴う人件費や店舗費など商品原価以外の費用の増加は極力抑えることができる。同社の損益計算書においてはそれらの費用は販管費という形で計上されるため、売上高販管費率の推移を見ることで、同社の事業モデルが狙いどおりの成果を出しているかどうかを判断することができる。下の図にあるように、EC売上高比率と売上高販管費率は逆相関の関係にあることが明白で、同社はeコマース企業として想定したとおりの収益成長シナリオを実践していると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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