USS Research Memo(7):オークション環境は堅調だが、中古車買取伸び悩む
[14/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
(3)事業セグメント別動向
○オートオークション事業
ユー・エス・エス<4732>の2015年3月期の第2四半期累計の売上高は前年同期比1.9%増の24,291百万円、営業利益は同4.1%増の15,057百万円となった。オートオークション出品台数が同4.1%増の1,126千台、成約台数が同0.1%増の726千台となった。期初計画対比では新車販売減の影響を受けて、出品台数が若干下回ったものの、成約台数は堅調に推移した。営業利益は販促費の減少に加えて、2013年8月に名古屋会場の新築移転を行った際に発生した消耗品費、租税公課などの減少が増益要因となった。
手数料単価の動向を見ると、1台当たり出品手数料は5,467円とほぼ前年並みの水準となった。手数料単価の低い大口会員の出品割合が増加したものの、一部の会場で手数料割引キャンペーンを抑制したことがプラス要因となった。また、成約手数料も7,858円とほぼ前年並みの水準となった。落札手数料に関しては11,110円と前年同期比で83円の下落となっているが、これは外部落札比率※が前年同期の50.5%から48.8%に低下したことによる。2014年3月期の下期辺りから主要な輸出代行業者がコスト削減のため直接会場に来場して落札するケースが増えたことが、外部落札率低下の要因となっている。ただし、今後の外部落札比率は現在の水準を維持するものとみられている。
※ネットワーク接続にてオークション会場外からセリに参加するインターネット会員や衛星テレビ会員による落札台数の全落札台数に対する比率
この結果、手数料売上高は、出品手数料が前年同期比4.2%増、成約手数料が横ばい、落札手数料が同0.7%減となった。
同社はオークション会場の競争力に関して引き続き強さをキープしている。これは同社グループのオークション会場と他社会場での成約率の差、あるいは1台当たり成約車両金額の差から見て取れる。同社が進める「オークション会場としての質を維持しながら、出品台数シェアの拡大を図る」戦略は順調に進んでいると言えよう。
○中古自動車等買取販売事業
2015年3月期の第2四半期累計の売上高は前年同期比15.5%減の4,815百万円、営業利益は同52.7%減の179百万円と減収減益となった。このうち中古自動車買取販売事業は、売上高が同16.8%減の3,190百万円、営業利益が同46.6%減の140百万円に、事故現状車買取販売事業は売上高が同13%減の1,624百万円、営業利益が同66.4%減の39百万円となった。いずれも、新車販売の減少による買取台数の減少が影響した。ただし、買取りの市場環境は8月以降、改善に向かいつつあり、下期に関しては前年同期並みの水準まで回復してくるものと予想される。
○その他事業
2015年3月期の第2四半期累計の売上高は前年同期比11.5%増の3,482百万円、営業利益は同79.1%増の416百万円と2桁増収増益となった。このうち、廃自動車等のリサイクル事業を手掛けるアビヅは、売上高が同11.2%増の2,536百万円、営業利益が同50.0%増の295百万円となった。廃自動車等の取扱量が増加したことに加え、鉄スクラップの相場が高値安定で推移したことが収益拡大要因となった。
廃ゴムのリサイクル事業を手掛けるカークエストの東洋事業部の売上高は前年同期比1.6%増の593百万円、営業利益は同311.6%増の41百万円となった。弾性舗装用ゴム製品のうち、収益性の高いカラー着色製品の売上高が好調に推移したことが利益増につながった。また、中古自動車の輸出手続代行サービス事業を手掛けるUSSロジスティクス・インターナショナル・サービスも売上高が同17.6%増の304百万円、営業利益が同136.6%増の61百万円と好調に推移した。輸出業者の取扱台数が増加していることに加えて、検査業務の内製化を進めたことが、収益性の向上に寄与した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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