白鳩<3192>直近IPO銘柄には大幅な需給改善を期待する動き
[15/01/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』12月25日放送において、白鳩<3192>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■注目ポイント
年内最終売買日に向けて、新興市場を中心とした中小型株には、節税対策での損失確定売り圧力も強まったが、こうした動きも本日で一巡することになる。とりわけ、IPOラッシュを迎えての換金売り対象となりやすい直近IPO銘柄には、より需給面での逆風は強かったと考えられる。今後は一転して、IPOの空白期間に入るため、直近IPO銘柄には大幅な需給改善を期待する動きが強まる公算。2014年4月にジャスダック市場に上場した同社にも、こうした流れは波及する余地がある。とりわけ、業績成長期待の高さは水準訂正に向けての期待感も高まりやすいであろう。
■事業モデル
同社の事業はインターネットを通じたインナーウェアの販売である。製造にはかかわらず、インナーウェアメーカーから商品を仕入れ、インターネット経由で入ってくる消費者の注文に応じて販売している。
事業構造の主要なポイントとしては、1.自社サイトの他に様々なインターネット・モールに積極的に出店し、顧客への露出度を高めると同時に、顧客の利便性を確保するという販売経路、2. 国内外の約180 社の10,000 超アイテムという、他に類のない豊富な品揃えで顧客の選択肢を広げ、さらに色・サイズのバリエーションの充実で満足度を高めるという商品戦略、自社で在庫を保有し、自社配送センターから配送することで、配送の品質とスピードを確保というロジスティクス、4. 仕入、販売(受注、発送)、顧客管理、在庫管理、資金管理、サイト制作同期など、業務のすべてを一元的に管理できる社内システム「楽らく通販システム」を自社開発していることなどが挙げられる。
顧客の属性や年齢構成だが、男女別では女性が約4 分の3 を占めており、女性客の年齢構成比では、F2 層(35 〜49 歳) の構成比が高いのが目立つ。サイト別では楽天市場が約半分、自社本店サイトが約4 分の1 となっている。
■強みと特長
これまでのところ「インナーウェアに特化したE コマース企業」としての有力な競合相手は現われていない。また、大手のE コマース企業がインナーウェアを取り扱っている事例は多いものの、同社を脅かすほどの事業規模には成長しきれないケースがほとんどだ。結局、同社の事業ドメインは「参入障壁が高い」という状況となっている。
この理由としては、インナーウェアは商材として決して特殊なものではなく成熟したものである一方、インナーウェアとアウターウェアとでは特性が大きく異なる。この特性の違いは、両方の商品を同時に扱う場合に、業務の効率性を著しく低下させてしまう可能性をはらんでいる。費用対効果などを考慮した場合、大手企業といえどもインナーウェアの販売に強くコミットできないことが現在の競合状況につながっている。
同社の強みは、インナーウェア販売のE コマースとの相性の良さを見抜いて、その事業モデルを着実にかつ丁寧に磨き上げてきた点にあると考えている。(1) 商品の仕入れと品揃えに関しては、同社は約180 社と取引し、10,000 超アイテムの品揃えを誇っている。これらの中には国内のほぼすべてのインナーウェアメーカーに加えて、インポート・ブランドも数多く含まれる。同社の10,000 超というアイテム数は、競合他社の中で最大のアイテム数を扱う企業との比較においても約2.5 倍という圧倒的な差がある。顧客からすればより多くの選択肢があり、商品を選ぶ楽しさがより増幅される。この点が同社のサイトを訪れる最大の動機付けとなっていると考えられる。
同社の扱う10,000 超アイテムという数は、サイズ別や色別に分けると合計約15 万点種類にも及ぶことになる。競合他社が同社並みの取扱アイテム数・商品種類に追いつけない大きな理由は、この膨大な種類数が大きな壁となっている。また、インナーウェア業界特有の商慣行として、商品のバーコード管理が浸透しておらず、商品の約4 割にはバーコードが付いていない。こうした状況にあっても大量の在庫をきちんと管理し、ミスなく発送するには、人手に頼らざるを得ないのは言うまでもないが、より少ない人数で確実に素早く処理するノウハウが不可欠だ。同社は、カタログ通販時代の経験に独自のアイデアを加えて改良を重ねた結果、現在では繁忙期を除き、15 時までの受注分は当日発送にまで短縮化することに成功している。
E コマースにおいては、サイトのデザインやコンテンツの充実度が消費者の購買を促すうえでは極めて重要だ。同社は社内にサイトの制作やメンテナンスを担当するWeb デザイナーやWeb 技術者、海外向けサイトのためのネイティブスピーカー(英語、中国語) を配置し、サイトの充実に取り組んでいる。最近の注目点は、3 次元(3D) 画像をサイトに載せることで、消費者が様々な角度から着用状態や商品の細部を確認できるようにしていることだ。現在までに約230 点の商品が3D 画像でアップされている。消費者からのフィードバックも好評で、同社は3D 画像コンテンツを差別化の重要なツールと位置付け、今後も掲載商品数を増やしていく方針だ。
同社は、同社の業務フローのすべてを一元的に管理できる業務システム「楽らく通販システム」を独自開発した。これは仕入・ロジスティクス・顧客対応・サイト制作・資金管理などの各業務をすべてカバーするものだ。同社では、市販の業務ソフトを利用しても効率性が実現できないと考え、E コマースに進出してから6 年後の2001 年に「楽らく通販システム」の開発に着手した。このシステムでは、例えばサイトの更新においても、ワンアクションで現在出店している20 近いサイトを一括で更新することが可能になっており、業務の効率的な運営が実現されている。
広告宣伝費に頼らない集客を実現できていることも強みの一つ。この背景として、同社では顧客による高い評価にあると自己分析している。これまでの実績を見ると、売上高の約半分を占める楽天市場において、2013 年まで7 年連続でショップ・オブ・ザ・イヤー(インナー・下着・ナイトウェアジャンル部門) を受賞している。また、2014 年10 月28 日現在の楽天市場での店舗総合評価は4.60 で、この評価レベルは、楽天市場へ出店する約42,000 店舗の内の受賞店舗の中でもわずかに26 店舗しか存在しない。同社の店舗が高評価を獲得できている理由は、豊富な品揃えもさることながら、配送時間のスピードや丁寧な梱包作業、誤配送の少なさなどが大きな要因であると弊社では考えている。
■中期成長性
大まかに中期的な収益拡大の方向性として、「20% 成長を継続して売上高10,000 百万円」を当面のターゲットとして掲げている。同社の2014 年8 月期までの過去5 年における売上高の年平均成長率は23.8% だった。同社が掲げる「売上高20% 成長の継続」というのは、この過去実績から来ている。2015 年8 月期の会社予想売上高4,355 百万円をスタートとして毎年20% 成長すると、2020 年8 月期の売上高が10,836 百万円となり10,000 百万円を突破することになる。
インナーウェアの市場も成熟している市場であるため、市場規模拡大というシナリオを描くことは難しい。しかし、同社が属するE コマース市場という観点から見れば、E コマース市場はまだまだ成長途上にある。経済産業省による電子商取引に関する調査によると、2013 年のE コマースの市場規模は11 兆1,660 億円で、過去5 年間の年平均成長率は12.9% と2 ケタ成長を続けているが、E コマース化率は3.67%にとどまっている。下着を含む衣料品のE コマース化率はさらに低く、2013 年で1.65% という水準にある。
■2015 年8 月期業績見通し
2015 年8 月期について同社は、売上高4,355 百万円(前期比21.1% 増)、営業利益262
百万円(同64.7% 増)を予想している。
2015 年8 月期も引き続き、取扱商品の拡充に注力し、競合他社との差別化を進める方針だ。また、自社オリジナルブランド品(OEM 品) の拡充を通じて利益率の確保も図っていく予定だ。ロジスティクスの面では、発送センターの稼働日を310 日体制としてキャパシティアップと顧客満足度向上につなげていく方針。
同社の掲げる「20% 増収」目標は2015 年8 月期も達成される可能性は高いとみられる。大きな理由は顧客数とリピート率が着実に上昇してきている点である。また、海外顧客からの注文が伸びている点も心強いポイントと言える。会社予想の売上高が達成されれば、営業利益以下の各利益項目も達成される公算が大きいとみている。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■注目ポイント
年内最終売買日に向けて、新興市場を中心とした中小型株には、節税対策での損失確定売り圧力も強まったが、こうした動きも本日で一巡することになる。とりわけ、IPOラッシュを迎えての換金売り対象となりやすい直近IPO銘柄には、より需給面での逆風は強かったと考えられる。今後は一転して、IPOの空白期間に入るため、直近IPO銘柄には大幅な需給改善を期待する動きが強まる公算。2014年4月にジャスダック市場に上場した同社にも、こうした流れは波及する余地がある。とりわけ、業績成長期待の高さは水準訂正に向けての期待感も高まりやすいであろう。
■事業モデル
同社の事業はインターネットを通じたインナーウェアの販売である。製造にはかかわらず、インナーウェアメーカーから商品を仕入れ、インターネット経由で入ってくる消費者の注文に応じて販売している。
事業構造の主要なポイントとしては、1.自社サイトの他に様々なインターネット・モールに積極的に出店し、顧客への露出度を高めると同時に、顧客の利便性を確保するという販売経路、2. 国内外の約180 社の10,000 超アイテムという、他に類のない豊富な品揃えで顧客の選択肢を広げ、さらに色・サイズのバリエーションの充実で満足度を高めるという商品戦略、自社で在庫を保有し、自社配送センターから配送することで、配送の品質とスピードを確保というロジスティクス、4. 仕入、販売(受注、発送)、顧客管理、在庫管理、資金管理、サイト制作同期など、業務のすべてを一元的に管理できる社内システム「楽らく通販システム」を自社開発していることなどが挙げられる。
顧客の属性や年齢構成だが、男女別では女性が約4 分の3 を占めており、女性客の年齢構成比では、F2 層(35 〜49 歳) の構成比が高いのが目立つ。サイト別では楽天市場が約半分、自社本店サイトが約4 分の1 となっている。
■強みと特長
これまでのところ「インナーウェアに特化したE コマース企業」としての有力な競合相手は現われていない。また、大手のE コマース企業がインナーウェアを取り扱っている事例は多いものの、同社を脅かすほどの事業規模には成長しきれないケースがほとんどだ。結局、同社の事業ドメインは「参入障壁が高い」という状況となっている。
この理由としては、インナーウェアは商材として決して特殊なものではなく成熟したものである一方、インナーウェアとアウターウェアとでは特性が大きく異なる。この特性の違いは、両方の商品を同時に扱う場合に、業務の効率性を著しく低下させてしまう可能性をはらんでいる。費用対効果などを考慮した場合、大手企業といえどもインナーウェアの販売に強くコミットできないことが現在の競合状況につながっている。
同社の強みは、インナーウェア販売のE コマースとの相性の良さを見抜いて、その事業モデルを着実にかつ丁寧に磨き上げてきた点にあると考えている。(1) 商品の仕入れと品揃えに関しては、同社は約180 社と取引し、10,000 超アイテムの品揃えを誇っている。これらの中には国内のほぼすべてのインナーウェアメーカーに加えて、インポート・ブランドも数多く含まれる。同社の10,000 超というアイテム数は、競合他社の中で最大のアイテム数を扱う企業との比較においても約2.5 倍という圧倒的な差がある。顧客からすればより多くの選択肢があり、商品を選ぶ楽しさがより増幅される。この点が同社のサイトを訪れる最大の動機付けとなっていると考えられる。
同社の扱う10,000 超アイテムという数は、サイズ別や色別に分けると合計約15 万点種類にも及ぶことになる。競合他社が同社並みの取扱アイテム数・商品種類に追いつけない大きな理由は、この膨大な種類数が大きな壁となっている。また、インナーウェア業界特有の商慣行として、商品のバーコード管理が浸透しておらず、商品の約4 割にはバーコードが付いていない。こうした状況にあっても大量の在庫をきちんと管理し、ミスなく発送するには、人手に頼らざるを得ないのは言うまでもないが、より少ない人数で確実に素早く処理するノウハウが不可欠だ。同社は、カタログ通販時代の経験に独自のアイデアを加えて改良を重ねた結果、現在では繁忙期を除き、15 時までの受注分は当日発送にまで短縮化することに成功している。
E コマースにおいては、サイトのデザインやコンテンツの充実度が消費者の購買を促すうえでは極めて重要だ。同社は社内にサイトの制作やメンテナンスを担当するWeb デザイナーやWeb 技術者、海外向けサイトのためのネイティブスピーカー(英語、中国語) を配置し、サイトの充実に取り組んでいる。最近の注目点は、3 次元(3D) 画像をサイトに載せることで、消費者が様々な角度から着用状態や商品の細部を確認できるようにしていることだ。現在までに約230 点の商品が3D 画像でアップされている。消費者からのフィードバックも好評で、同社は3D 画像コンテンツを差別化の重要なツールと位置付け、今後も掲載商品数を増やしていく方針だ。
同社は、同社の業務フローのすべてを一元的に管理できる業務システム「楽らく通販システム」を独自開発した。これは仕入・ロジスティクス・顧客対応・サイト制作・資金管理などの各業務をすべてカバーするものだ。同社では、市販の業務ソフトを利用しても効率性が実現できないと考え、E コマースに進出してから6 年後の2001 年に「楽らく通販システム」の開発に着手した。このシステムでは、例えばサイトの更新においても、ワンアクションで現在出店している20 近いサイトを一括で更新することが可能になっており、業務の効率的な運営が実現されている。
広告宣伝費に頼らない集客を実現できていることも強みの一つ。この背景として、同社では顧客による高い評価にあると自己分析している。これまでの実績を見ると、売上高の約半分を占める楽天市場において、2013 年まで7 年連続でショップ・オブ・ザ・イヤー(インナー・下着・ナイトウェアジャンル部門) を受賞している。また、2014 年10 月28 日現在の楽天市場での店舗総合評価は4.60 で、この評価レベルは、楽天市場へ出店する約42,000 店舗の内の受賞店舗の中でもわずかに26 店舗しか存在しない。同社の店舗が高評価を獲得できている理由は、豊富な品揃えもさることながら、配送時間のスピードや丁寧な梱包作業、誤配送の少なさなどが大きな要因であると弊社では考えている。
■中期成長性
大まかに中期的な収益拡大の方向性として、「20% 成長を継続して売上高10,000 百万円」を当面のターゲットとして掲げている。同社の2014 年8 月期までの過去5 年における売上高の年平均成長率は23.8% だった。同社が掲げる「売上高20% 成長の継続」というのは、この過去実績から来ている。2015 年8 月期の会社予想売上高4,355 百万円をスタートとして毎年20% 成長すると、2020 年8 月期の売上高が10,836 百万円となり10,000 百万円を突破することになる。
インナーウェアの市場も成熟している市場であるため、市場規模拡大というシナリオを描くことは難しい。しかし、同社が属するE コマース市場という観点から見れば、E コマース市場はまだまだ成長途上にある。経済産業省による電子商取引に関する調査によると、2013 年のE コマースの市場規模は11 兆1,660 億円で、過去5 年間の年平均成長率は12.9% と2 ケタ成長を続けているが、E コマース化率は3.67%にとどまっている。下着を含む衣料品のE コマース化率はさらに低く、2013 年で1.65% という水準にある。
■2015 年8 月期業績見通し
2015 年8 月期について同社は、売上高4,355 百万円(前期比21.1% 増)、営業利益262
百万円(同64.7% 増)を予想している。
2015 年8 月期も引き続き、取扱商品の拡充に注力し、競合他社との差別化を進める方針だ。また、自社オリジナルブランド品(OEM 品) の拡充を通じて利益率の確保も図っていく予定だ。ロジスティクスの面では、発送センターの稼働日を310 日体制としてキャパシティアップと顧客満足度向上につなげていく方針。
同社の掲げる「20% 増収」目標は2015 年8 月期も達成される可能性は高いとみられる。大きな理由は顧客数とリピート率が着実に上昇してきている点である。また、海外顧客からの注文が伸びている点も心強いポイントと言える。会社予想の売上高が達成されれば、営業利益以下の各利益項目も達成される公算が大きいとみている。
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