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鴻池運輸 Research Memo(6):主力事業好調で内部効率化も寄与して増収増益

注目トピックス 日本株

■業績動向

(1)2015年3月期の第2四半期累計実績

○損益状況

鴻池運輸<9025>の2015年3月期の第2四半期決算は、売上高121,175百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益5,120百万円(同21.3%増)、経常利益5,182百万円(同18.6%増)、四半期純利益2,966百万円(同15.5%増)となった。内需の回復により、主要顧客の生産が回復し、主力である複合ソリューション業務が増加したことに加えて、内部でのコスト削減策やM&Aによる新規連結子会社の寄与などから増収増益となった。

セグメント別売上高は複合ソリューション事業78,942百万円(前年同期比6.2%増)、国内物流事業26,070百万円(同2.8%増)、国際物流事業16,162百万円(同7.4%増)となった。またセグメント利益は、複合ソリューション事業6,365百万円(同11.1%増)、国内物流事業634百万円(同60.1%増)、国際物流事業736百万円(同6.8%増)、その他17百万円(同39.3%増)となった。

複合ソリューション事業では、鉄鋼関連分野で主要顧客の生産増などで生産工程請負業務が増加したことや連結子会社の増加により医療関連分野が伸長したことなどから増収増益となった。

国内物流事業では、夏場の天候不順による冷菓の取扱量減少があったが、オフィス用品や食品用包装資材の取扱業務が好調に推移したことから増収となり、昨年度に発生した新センター立ち上げによるコスト増がなくなったことから増益率が高くなった。

国際物流事業では、輸入業務や三国間設備輸送業務の増加などにより増収増益となった。

また分野別売上高の概況は表のとおりで、鉄鋼関連では、主要顧客である大手鉄鋼メーカーの合理化策への対応が一巡し粗鋼生産が上向いたことに加え、新規に進出した拠点からの受注も獲得できたことなどから、売上高は27,108百万円(同8.2%増)となり、利益面でも増益となった。食品関連では清涼飲料水やアルコール飲料の製造請負業務は堅調に推移したが、消費税増税後の反動や夏場の天候不順によって総合スーパー向け食料品取扱業務が減少した。さらに一部の不採算取引を中止したことなどもあり、売上高は31,630百万円(同0.7%減)となった。減収に伴いわずかではあるが減益となった。

生活関連の売上高は36,796百万円(同10.0%増)となった。内訳としては、生活業務が8,292百万円(同6.3%増)、空港業務が5,286百万円(同12.1%増)、メディカル業務が6,623百万円(同35.8%増)、流通・アパレル業務が16,594百万円(同3.4%増)となった。生活業務では、主要顧客の関東圏での業務を獲得して取扱量が増加したことに伴い増収となったが、それに伴うコスト増もあり減益となった。空港業務では、一時期停滞していた中国便の回復やその他地域の便数増に加え、機体の大型化に伴い業務単価が上がったことなどから増収となったうえ、業務量の増加による単位当りのコスト減効果により増益となった。メディカル業務では、2014年7月から新規連結子会社となった九州産交運輸(株)の約1,400百万円の収益寄与に加えて、既存取引先の医療物流センターでの構内物流業務の拡充や院内物流業務の新規獲得などにより大幅な増収増益となった。流通・アパレル業務では、大手スーパー向け農産物取扱量の減少、携帯電話基地局設置用の機材配送取扱減などのマイナス要因があったものの、大手卸業顧客が好調であったことなどからトータルでは増収・増益を確保した。

定温関連の売上高は9,476百万円(同1.8%増)となった。今年度は利益優先の目標を掲げていることから安易な顧客獲得に走らなかったが、大手コンビニエンスストア向け商品や食品用包装資材の取扱量増加により増収となった。さらに昨年度に発生した新センターの立ち上げ費用がなくなったため大幅な増益となった。海外関連は上記の国際物流事業と同様の理由で、売上高は16,162百万円(同7.4%増)となり、円安効果もあって増益となった。

○財務状況

2015年3月期の第2四半期末の財務状況は表のとおり。流動資産は65,617百万円(前期末比921百万円増)となったが、主に現預金の減少2,788百万円(主に子会社取得費用の支出による減少)、売掛債権の増加3,279百万円による。固定資産は112,382百万円(同2,710百万円増)となったが、有形固定資産の増加1,933百万円(この内、九州産交運輸の新規連結による土地の増加が993百万円)、無形固定資産の増加1,320百万円(主に連結子会社の「のれん代」)などによる。その結果、総資産は177,999百万円(同3,631百万円増)となった。

流動負債は49,807百万円(同5,165百万円増)となったが、1年内返済予定の長期借入金の増加3,448百万円などによる。固定負債は48,376百万円(同6,351百万円減)となったが、退職給付に係る負債の減少2,755百万円、長期借入金の減少3,732百万円などによる。この結果、負債合計は98,184百万円(同1,185百万円減)となった。

純資産合計は前期末比4,817百万円増の79,814百万円となったが、主に四半期純利益の計上及び退職給付債務の計算方法の変更に伴い利益剰余金が増加したことによる。

2015年3月期の第2四半期の設備投資総額は3,110百万円、減価償却費は3,036百万円となった。投資額が減価償却費の範囲内となり、通期での設備投資計画(後述)に沿った内容であった。

○キャッシュフローの状況

2015年3月期第2四半期のキャッシュフローの状況は表のとおり。営業活動によるキャッシュフローは4,807百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整四半期純利益の計上5,096百万円、減価償却費3,036百万円、主な支出は売上債権の増加2,444百万円であった。

投資活動によるキャッシュフローは6,561百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得2,927百万円、連結子会社の株式取得3,366百万円であった。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済、社債の償還及び配当金の支払いなどで875百万円の支出となった。

この結果、同期間の現金及び現金同等物は2,746百万円の減少となり、同期末の現金及び現金同等物の残高は15,887百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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