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スター・マイカ Research Memo(4):差別化された事業モデルによる強い競争力で他社との差を拡大

注目トピックス 日本株

■会社概要

(3)特色・強み

スター・マイカ<3230>の中古マンション事業は、マンション賃貸業と再販事業を兼ね備えており、以下のような点で非常に特色のある(他社と差別化された)事業展開を行っている。

●安定した収益基盤

既に述べたように、同社の中古マンション事業の特色の1つは、「賃貸中のファミリー向け中古マンションを1戸単位で取得する」ことにある。これらのマンションの多くは、ワンルームマンションなどと異なり「投資資金」があまり流入しないため、価格推移が比較的安定している。また、購入対象物件は首都圏及び関西圏を中心とした流動性・利便性のある物件に絞り、販売時の売れ残りリスクを低減している。

購入後は賃料収入が発生するため、キャッシュフローは常時プラスとなり、大量の空室残戸リスクがない。また、同社ではインベストメント事業からも安定した賃料収入を得ている。同社によれば、今ではこれらの安定的な賃料収入で固定費の大部分を賄えるようになっているとのことである。

賃借人の退室後は、リノベーションを施した中古マンションを販売することで売上高及び売却益を得ている。この販売による売上高及び売却益は市場環境に左右されるが、同社は前述のように安定的な賃料収入を得ているため、無理して売り急ぐことはしない。この結果、販売事業においても比較的安定した利益を確保している。

中古マンション販売の同業他社の多くが「仕入れては売り、仕入れては売り」の事業モデルであるのに対して、同社は「家賃」と「売却」の“ハイブリッド型”であることが大きな特徴である。同社の事業モデルでは、賃借人が退室するまでは売却することはできないが、一方でこの間は賃貸収入を得ることが可能であり、これが収益基盤の安定化につながっている。

●「付加価値」を創造するリノベーション

同社では、企業理念として「“作る”から“活かす”社会を実現する」を掲げている。つまり、住宅市場にも「リサイクル」「エコ」の考え方を取り入れ、「今あるもの」を活用することを事業の基本方針としているのだ。リノベーションにおいても、同業他社が行っているような単に壁紙や床材の張り替え、什器類の交換などだけでなく、消費者にとっての価値が付加されるようなリノベーションを実施。「新たな住まい」として機能的・性能的にも一新することで資産価値を高めており、これによって同業他社との差別化を図っている。具体的には、以下のような取り組みを実施している。

・「女性」に優しい住まいづくり
社内に「しあわせリノベ研究所」という女性だけの組織を設置。この部署で女性目線から「暮らしやすさ」を徹底的に議論・研究し、その結果をリノベーションに反映させている。例えば、収納や動線、手入れのしやすさなどに徹底的にこだわった商品を企画している。これによって顧客は、「生活しやすい」という新たな価値を得ることができる。

・「子育て」に優しい住まいづくり
上記と同じ発想で、親の目線から「子育てしやすい住まい」を追求、子供の安全や育児に配慮した間取りと設備を備えた商品を企画している。その成果として、中古マンション業界では全国初となる「子育てにやさしい住まいと環境」認定を取得した(注:同認定はミキハウス子育て総研によって行われている)。

・「建物まるごと」リノベーション
同社では1戸単位での取得だけでなく、将来的な分譲を目的として、1棟の賃貸物件の購入も行っている。そのような物件においては、外観や設備等のハード面だけでなく、安全や環境といったソフト面にも配慮しつつ、住戸内に加え建物全体の大規模なリノベーションを実施する。同社では、これまでに9棟の賃貸マンションを分譲マンションに生まれ変わらせ、顧客に提供している。

●十分に分散された物件ポートフォリオ

同社は現在、1,500室以上のマンションを運営対象の在庫として保有しているが、地域別、築年数、購入価格帯ではかなり分散している。つまり、保有物件の事故、自然災害、価格変動、退去期間等から生じる「個別リスク」をポートフォリオとしてリスク分散しているのだ。ただ、分散されてはいるが、東京及びその周辺といった比較的人気の高い地域のウエイトが高く、販売時にはこれが優位に働く。

●独自の事業モデルに基づく競争力の高さ

同社の競争力を同業他社と比較する場合、3つの見方がある。1つ目は「不動産事業者」としての競争力だ。つまり、中古マンションをエンドユーザー(消費者)に販売するという点で多くの企業と競合する。しかし同社の場合、物件取得時に他社では買いにくい賃貸中物件を積極取得するという差別化を図ることで、価格競争力がある。また、購入した顧客に対しては一定期間の保証を付与しているほか、2014年4月には業界に先駆け、全販売物件に「既存住宅売買瑕疵保険」を付帯するサービスを開始した。この点も競争上での強みとなるだろう。

2つ目は独自の「ビジネスモデル」が持つ競争力だ。同社のビジネスモデルは非常にシンプルだが、同様の事業を展開している企業は見当たらない。同社のビジネスモデルでは、「賃貸中の物件」を購入するため、入居者が退去するまで「待つ」必要があるが、資金的な体力がこれを可能にしている。また、その間の賃料収入だけでなく、管理費用等の周辺業務も取り込んで収益化している点が強みと言えるだろう。

競合が参入しにくい3つ目の理由は「規模」である。「1室買い」の場合は小規模に行っても、退去までの長期化や自然災害、事故といった「個別リスク」が高くなり、事業を拡大する際に様々な問題に直面する。このため、すでに同社が市場を押さえた中で少戸数から事業化することは容易ではなく、同社の規模に追いつくまでにはかなりの時間と資本を要することになる。さらに、資金力のある大手企業にとっては、1棟単位での大きな案件が主戦場であり、1室買いを行うことは手間暇がかかり過ぎて敬遠する傾向にある。

したがって、当該モデルを既に大規模化している同社の競争力は現時点では非常に強いと言え、今後もさらに他社との差を広げることになると思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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