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電算システム Research Memo(3):Google関連、コンビニ決済などが計画未達ながら好調維持

注目トピックス 日本株

■2014年12月期決算と主要トピックス

(2)主要なトピックス

以上のように2014年12月期決算を総括すると、過去最高の売上高、利益を更新したものの、一部ではこれまでの計画の修正を迫れられているような部分も出てきており、電算システム<3630>自身は決して手放しでは喜んではおらず、むしろ今後の展開について気を引き締めているという状況だと弊社ではみている。以下では、2014年12月期決算で注目しておきたいトピックスについて言及する。

(A)Google事業
同社は米Google社と2006年に「Google検索アプライアンス(GSA)」リセラー契約を締結し、現在では国内に数社しか存在しない「Google Apps プレミアエンタープライズリセラー」に認定されている。この契約の元、同社はSI・ソフト開発のサブセグメントの中で、Google Appsを法人向けに販売している。この事業に関連して同社は、2013年にNTTドコモ<9437>とGoogleクラウドビジネスにおける業務提携を行い、2014年はそれが稼働した初年度であった。

2014年の実績は、Google導入企業数、Google事業売上高ともに、前期比では増加となったが計画対比では下回った。これは計画自体が努力目標的な意味合いを含んだ強気すぎるものであったためと弊社ではみており、深刻な懸念には当たらないと考えている。

むしろ考えるべきは、NTTドコモとの業務提携であろう。まず理解する必要があるのは、ドコモ自体がGoogleのリセラーであって、ある意味、同社とは競合関係にあるということだ。同社とドコモの業務提携の直接的な効果は、熟練した同社が、ドコモの営業担当者に研修・教育を行う役務提供が第1義的なものとなる。言わば第1ステージだが、この事業上の業績効果はさほど大きなものにはならないと弊社ではみている。

業務提携の真の狙いはこれに続く第2、第3のステージだ。第2はドコモの顧客企業に対して、同社が導入支援やサポートを行い、そこからサービスフィーを得るというものだ。第3は第2ステージでつながりのできたドコモの顧客に、同社の製品・サポートを販売するいわゆるクロスセルの段階だ。しかし、この第2・第3のステージに進む上ではドコモからの紹介といった側面支援が必要になるが、そこまでの進展はまだ具体化してきていない模様だ。2015年はここをどこまで掘り下げられるかがカギとなる。

(B)BPO事業
BPO事業は顧客企業のアウトソーシングの引受業務で、具体的には百貨店などから、お中元などギフト品の受注・出荷指示・請求書送付・入出金管理などのバックヤード作業を請け負うビジネスだ。サブセグメンである「情報処理サービス」の半分以上をBPO業務が占めている。

このBPO事業は地味ではあるが順調な成長を続けており、2014年度は売上高が前年比21%増となった。同社の強みは長年の経験の積み重ねで川上(顧客データ管理、受注など)から川下(出荷、資金回収など)までワンストップで正確なサービスを提供できる点にある。この事業は一部大口顧客だけで当該業務の大半を占めているため、効率性が高く、粗利益率も高い模様だ。同社は2013年に東濃データセンターを開設したため、データ処理能力のキャパシティにも余裕があり、顧客側のアウトソーシングニーズの高まりと相まって、今後も堅実な成長が期待される。

(C)コンビニ払込票決済サービス
このサービスは同社の「収納代行サービス」セグメントの中核事業であり、収益の大きな柱である。2014年度はここが計画比未達となったのは前述のとおりだ。この要因として一部大手通販業者が合理化した影響や消費税増税前の駆け込み需要の反動減が挙げられている。要は、一過性の要因による成長足踏みということだ。

払込票決済サービスについてはeコマースとの関係で成長性を懸念する向きもあろう。確かにインターネットを活用したeコマースの世界では、カタログ通販に比べて、クレジットカードや銀行振込、代引きといった決済手段の割合が高いイメージがある。しかしeコマースにおいてもコンビニ払い(払込票決済サービス)の選択肢があるケースも多く、eコマースの進展が払込票決済サービスの縮小を必ずしも直接的には意味しない。

新たな市場開拓の動きもある。同社が現在注力しているのは地方公共団体の公共料金の支払いだ。全国の地方公共団体の数は約1,800だが、1つの地方公共団体で複数の公共料金支払い案件があるため、それを1件とカウントすると、全国で延べ4,579種類の公共料金支払い案件が存在している(同社調べ)。同社は現在390案件について払込票決済サービスを契約しており全体の約8.5%、まだまだ成長余地は大きいと言える。

もう1つの市場拡大策として、払込票取扱窓口を、コンビニ以外に拡大する営業活動を行っている。ドラッグストアやスーパーなど、来店客の多いところでの払込票の取り扱いを可能にして利便性を高め、利用者を増やそうという狙いだ。2014年度は843店舗・処理数100万件に到達し、順調な増加を見せている。

(D)国際送金サービス
同社が将来の成長エンジンと期待する国際送金サービスは、2つの種類がある。1つは「コンビニ・ウエスタンユニオン国際送金サービス」である。これは、事前にパソコンで事前登録し、郵送による本人確認を行えば、手数料込みで10万円未満の金額について、コンビニのファミリーマート店舗に設置された端末を通じて低料金で送金するものだ。セブン銀行やSBIのグループ企業、ソフトバンクのグループ企業などで類似のサービスがあるが、手数料が銀行に比べて安価なこともあり、順調に推移している。

もう1つは「WILL CALL」と呼ぶ店頭対面型登録サービスだ。これは本人確認を端末設置店舗の店頭において対面式で行う代わりに、1回当たりの送金可能額が100万円に拡大されているサービスだ。2014年12月期の国際送金サービス(サブセグメント名は「決済イノベーション」)が計画を大きく下回った主因はWILL CALLにあった。理由は、店頭対面式本人確認プロセスに関し、提携業者であるウエスタンユニオン社がコンプライアンス強化を図ったため、店舗網の拡大が事実上止まってしまったためだ。

WILL CALLの有効な打開策はなかなか見つけるのが難しいと弊社では考えている。解決すべき課題は明白なのであるがそれを実行する主体はあくまで店舗側であり、同社が関与しにくい領域であるためだ。同社によれば、コンビニ送金サービスとWILL CALLとで、送金枠には10倍の開きがあるが、実際の送金額の平均値は2倍〜3倍程度の模様だ。そうであるならば、コンプライアンスリスクを抱えた事業を無理に拡大するよりは、順調なコンビニ送金サービスの成長加速策に取り組む方が建設的ではないかというのが弊社の考えだ。2015年度はこの事業の進捗は大いに注目されるところだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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