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サイオス Research Memo(8):世界初の機械学習技術を用いたITオペレーション分析ソフト

注目トピックス 日本株

■中期計画

(2)「SIOS iQTM」の概要

サイオステクノロジー<3744>が今2月に発表した新製品「SIOS iQTM」は、世界で初めて機械学習技術※を用いた画期的なITオペレーション分析ソフトウェアで、今後の同社の収益を大きくけん引する可能性のある大型製品として注目される。
※人間が行っている学習能力と同等の機能をコンピュータで実現しようとする技術、様々なデータから有益な情報を発掘するもの。

○開発の背景
従来、ITシステムの稼働状況は人的に監視・管理しており、システム障害発生時の対応を行ってきたが、ここ数年のクラウドコンピューティングの普及によって、サーバーの仮想化が進んだほか、最近ではネットワークの仮想化も進み始めるなどで、一旦、システム障害が発生した際の原因究明が極めて困難な状況になっており、IT管理者の作業負荷も増大しているのが課題となっていた。とりわけ、多くのサーバーを使用し、大量のデータ処理を行う金融業界や放送・通信業界、ECのマーケットプレイス企業などにおいては、その影響がより深刻となっている。こうした課題に応える格好で開発されたのが、今回発表された「SIOS iQTM」で、システム障害の発生リスクを未然に防ぐほか、IT管理者の作業負荷の大幅軽減にも寄与する製品となっている。

○「SIOS iQTM」の機能
「SIOS iQTM」の機能を簡単に説明すると、まずソフトウェアの導入段階で自動的にアプリケーション、コンピュータ、ストレージ、ネットワーク間の過去の稼働パターンをトラッキング(調査・追跡)し、正常稼働時におけるパラメータ(しきい値)を学習させる。こうして学習した情報を踏まえて、実際のシステム稼働時に様々なデータを収集・評価・分析するなかで、システム障害の発生につながる可能性のある異常なパラメータを自動検知した際には、障害の発生を未然に防ぐ指示を出す、といった流れになる。従来はIT管理者がシステムの稼働状況を監視し、障害が発生すればその原因究明や復旧などに膨大な時間とコストがかかっていたが、こうした問題が「SIOS iQTM」を導入することによって解決することになる。

その他にも、企業が使用しているサーバーの台数やストレージ容量などハードウェアの稼働率を計測し、オーバースペックになっていないかどうかの評価機能がついているほか、ストレージに関しては最適なパフォーマンスを得るためのシミュレーション機能(ストレージでHDDとSDDを比較した際のパフォーマンス比較)も付加されている。

○想定顧客と海外戦略
対象となる顧客企業としては、前述したように金融、通信・放送、マーケットプレイス業界などクリティカルな運用を求められる分野での大手企業が想定される。同社の「LifeKeeper」と顧客層はほぼ似通っており、その意味では従来までに蓄積した実績と信頼性が、今後の「SIOS iQTM」の展開においてもプラスになってくるものと思われる。

また、「SIOS iQTM」は世界初の機能を搭載していることから、海外での拡販も十分期待される。「LifeKeeper」については、米子会社が開発したものの、米国市場では競合企業も多く、低シェアに甘んじていたが、「SIOS iQTM」ではまだ同様の製品がないためだ。

ちなみに、同社の「SIOS iQTM」の開発期間は2年弱かかっており、また、いくつかの機能に関しては特許出願中で、特許戦略も進めている。

○業績へのインパクトについて
同社では2月24日より国内で試用版となる「SIOS iQTM Freeview Edition」のダウンロード提供を開始した。まずは、試用版で見込み客において検証作業を行い、改良点などがでてくれば対応していく格好となる。今後の予定としては2015年第3四半期に、正式版をグローバルにリリースする予定となっている。ただ、導入期間としては半年程度かかるため、売上高として本格的に寄与し始めるのは、2016年12月期以降となる見通しだ。

なお、ITオペレーション分析ソフトウェアの世界市場規模は、ここ2年間で急成長している分野であり、今後もITシステムの高度化、複雑化が進むなかにおいて、高成長が期待される市場とみられている。

このため、今後、製品に大きな不具合などが発生せず、スムーズに正式版の導入が国内外の企業に進んだとすれば、売上高として将来的に数十億円規模まで拡大する可能性は十分あるとみている。その際には、同製品の海外売上比率も8割程度になり、前期実績で451百万円だった海外売上高も今後飛躍的に伸びていくことが予想される。

機械学習技術を利用したソフトウェアとしては、既に金融業界にいてアルゴリズム売買システムが普及するなど、認知度は急速に高まってきており、ITオペレーション分析ソフトウェアへの同技術の組み込みも早晩、一般的になってくることが予想される。同社はその先駆的な企業として同市場を開拓していくことになろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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