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ワールドHD Research Memo(8):中国現地企業と合弁会社を設立し、製造請負事業を本格的に開始

注目トピックス 日本株

■成長戦略

(3)海外事業を拡大

2017年以降の成長戦略として、注目されるのが海外での事業展開となる。従来は、台湾での日系企業向け派遣事業、中国でのコンサルタント事業を小規模で行っていた程度にすぎないが、2014年10月に中国現地企業と合弁会社を設立し、製造請負事業を本格的に開始している。

ワールドホールディングス<2429>が中国市場での請負事業に参入した背景は3点挙げられる。第1に、中国での派遣社員の割合が「労務派遣暫定規定」の発行により、2016年3月までに10%以下に抑えなければならなくなり、今後、請負に対する需要が急拡大するとみられること、第2に、請負業務に関しては中国でまだ根付いておらず、請負基準を構築(標準化)したい行政府からのニーズおよび日系企業からの要請があったこと、第3に、中国で展開する日系企業に対するサポートを行いたいとの思いからだ。

同社では、監督官庁から日本国内で唯一認証された自社作成の「製造請負基準書」をベースに、中国国内でも「製造請負基準書」のノウハウを提供し請負事業を展開していくことになるが、労務管理などのリスクが大きいこともあり、現地で人材派遣、製造請負事業を展開するENGMA社と合弁でエングマインテックを設立し、事業展開することとした。出資比率はENGMA社が51%で、同社及び中国子会社で49%としている。このため、連結業績への影響としては、持分法投資損益として営業外収支に計上されることになる。

ENGMA社は現地で年間50,000人以上の採用能力と人材派遣の実績を有しており、売上高も年間約130億円規模の大手人材サービス会社の1社である。このため、人材の確保や管理面でのリスクも殆どなく事業を展開できる。合弁会社ではまず蘇州、無錫、常州、上海、寧波の5つのエリアに進出する約2,000社の日系企業を中心に営業展開していく計画となっている。

既に、複数の顧客から合計1,000名を超える受注を獲得するなど、事業は順調な滑り出しを見せており、今後も急速に拡大していく可能性がある。中国では人件費の高騰を受け、製造拠点を中国以外に移す動きが出ているのも事実だが、現在約5割以上となっている派遣需要を置き換えるだけでも成長ポテンシャルは大きいと言えよう。なお、事業が順調に拡大していけば、6年後を目途に中国株式市場への上場も目指している。

その他、海外市場では不動産事業の展開も進めていく。まずは、インドネシアで日系企業向けのサービスアパートメント事業及び開発事業を進めていく。不動産事業では現地の業界構造や法制度に精通した人材がいなければ事業化が難しいが、同社ではインドネシアに精通する人材を抱え、まずはインドネシアでの事業化を進めていき、軌道に乗れば他のアジア圏にも展開していきたい考えだ。

2017年からスタートする次期中期計画では、国内での既存事業の成長に加えて、海外市場の拡大がテーマの1つとなりそうで、次の目標となる売上高2,000億円の達成に向けた今後の成長戦略が注目されよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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