テラ Research Memo(13):「バクセル」の薬事承認取得で創薬ベンチャーとしての評価余地
[15/03/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■同業他社比較
テラ<2191>とほぼ同規模の売上高と経営状況にあるバイオベンチャー3社と、株価指標の比較を行った。いずれも、今期予想利益は赤字の企業ではあるが、時価総額においてオンコセラピー<4564>とJ-TEC<7774>が500億円超の評価がなされているのに対して、同社及びメディネット<2370>は200億円強の水準と評価額に開きがある。バイオベンチャーの株価指標としてPERは使えないため、PSR(時価総額÷売上高)で比較してみると、その差はさらに明確となっている。
これはテラとメディネットが、がん免疫細胞療法を主軸とする事業展開で似通っており、細胞受託加工サービス企業としての評価にとどまっていることが一因と考えられる。一方、オンコセラピーはがん治療ワクチンの創薬ベンチャーとして、またJ-TECは再生医療の先進的企業で、富士フィルム<4901>が子会社化したことも、評価が高い要因になっているとみられる。
こうしたなかで、テラに関しては今後、「バクセル(R)」の薬事承認取得により医薬品事業の収益が拡大してくれば、創薬ベンチャーとして評価余地が出てくるものと思われる。現在、同社の「バクセル(R)」は170〜230万円程度の治療費となっており、また、膵臓がんの患者を対象に「バクセル(R)」と化学療法を併用した場合、約半年の延命効果があったとの論文発表※もなされていることなどから、薬事承認取得後も需要は一層、拡大していくものと予想される。
※2014年4月にがんの専門誌「Cancer Immunology, Immunotherapy」に信州大学医学部付属病院、長崎大学病院、セレンクリニックグループ共同研究による論文が発表された。症例数は255件。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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