ワイヤレスG Research Memo(4):スマホ・タブレット端末の普及に伴い需要は引き続き拡大を見込む
[15/04/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2)2015年12月期見通し
ワイヤレスゲート<9419>の2015年12月期の業績は売上高が前期比37.0%増の12,472百万円、営業利益が同69.9%増の1,350百万円、経常利益が同70.8%増の1,348百万円、当期純利益が同71.6%増の856百万円と2ケタ増収増益となる見通し。スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、ワイヤレス・ブロードバンドサービスの需要が引き続き拡大するとみている。また、前期より本格的に事業を開始した法人向けサービスに関しては、受注が確定しているものだけを計画に織り込んでおり、今後新規受注を獲得できれば業績の上乗せ要因となる可能性がある。
○ワイヤレス・ブロードバンド事業
2015年12月期も業績のけん引役はワイヤレス・ブロードバンド事業となる。特に、WiMAX2+では2015年3月より、下りの最大通信速度を220Mbpsと従来の2倍に高速化したサービスを開始しており、高精細動画もストレスなく視聴できる環境が整ったことで、更なる契約件数の拡大が見込まれる。
UQコミュニケーションズが発表しているWiMAXの契約件数は2014年12月末で715万件に達しており(うち、約30万件は同社のユーザー)、2014年後半以降の伸びが加速していることがわかる。これは、動画コンテンツサービスをスマートフォンやタブレット端末でも視聴できる通信環境が整ったことが背景にあるとみられ、当面加入件数の増加傾向は続くと予想される。
同社では今期業績の前提として、ワイヤレス・ブロードバンド会員数を前期末比8万人増の約58万人としている。増加分の内訳としては公衆無線LANサービスで1万人、モバイルインターネットサービス(WiMAX2+)で7万人と前期とほぼ同様のペースになると想定される。会員数が前期末比で16%増と拡大することに加えて、月額料金の高いモバイルインターネットサービスの加入者数増による平均ARPUの上昇によって、売上高は30%を上回る増収となる計算だ。弊社で試算したところ、両サービス合計の平均ARPUは前期比で約16%上昇することになる。
一方、営業利益率も2015年12月期は前期比2.1ポイント上昇の10.8%と再び10%台に乗せることが予想される。モバイルインターネットサービス事業の利益率が仕入れコストの低減効果により前期比で2〜3ポイント改善するのが主因だ。また、計画には織り込んでいないものの、社内の取り組みによってさらに利益率を改善できる余地があるとしており、仮に契約数が想定に届かず売上高が計画を下回ったとしても、こうした施策に取り組むことで利益は計画を確保できる可能性が高い。
その他、2014年12月期より開始したSIMサービスに関しては、契約数など非開示となっているものの、順調に拡大している模様。利用者のボリュームゾーンとしては月額480円プランが大半を占めるため売上高の寄与は小さいが、2014年12月から開始した訪日外国人客向けをターゲットとしたプリペイドサービスプランや、ユーザーからの要望が強かった音声サービスプランを2015年春以降開始するなど、サービスメニューを拡充していくことで売上高を拡大し、早期の黒字化を目指していく考えだ。
なお、訪日外国人向けに関しては、従来のヨドバシカメラに加えて有力な販路先を開拓していく計画となっている。具体的には、ホテルや空港、免税店事業者などが想定される。また、同サービスに関しては2015年12月期の計画には織り込んでいないため、上乗せ要因となる可能性がある。
○Wi-Fiインフラ事業
Wi-Fiインフラ事業(Wi-Fi環境イネーブラー事業)については、2014年1月より(株)電通<4324>などと共同で東京・銀座エリアで「G Free(銀座エリアのフリーWi-Fiサービス)」を開始したほか、4月からJRの秋葉原駅前の屋外広告とWi-Fiインフラを連携させたO2Oマーケティングサービス「アキバWi-Fiシリンダー」を立ち上げたが、いずれも収益への影響は軽微となっている。
2015年12月期以降は営業体制を強化し、受注件数を積み上げていくことで事業を拡大していく戦略だ。顧客ターゲットとしては、Wi-Fiインフラを構築して自社のサービスの付加価値を高めたい、あるいはコスト削減を図りたい企業で、大型案件ではなく中小規模の案件を積み上げていく。大型案件となると、大手通信インフラ企業との競争が激しく収益性も見込めないためだ。一方、中小企業の顧客においては、費用対効果だけでなく、各企業が持つ様々なニーズに対応できるだけのフレキシビリティや、企画提案から稼働に至るまでのスピード感、技術面でのサポート力などがより重視されるが、これらはいずれも同社が強みを発揮できる部分でもある。
同社では受注拡大に向け、新規事業担当の営業人員を新たに5〜6名ほど採用する計画で、全体の従業員数も前期末の18名から25〜26名に増員する予定。人件費の増加が見込まれるが、新規事業担当部署には成果報酬型の給与体系を導入し、固定費の負担を軽減している。既に2015年に入って採用した営業マンが2件の受注案件を獲得しており、問い合わせも多いことから、今後も順調な拡大が見込まれる。同事業は人件費以外の投資負担もほとんど掛からないストック型のビジネスモデルとなるため、着実に収益に貢献してくるものと予想される。
また、3月18日にはWi-Fiインフラ事業の拡大に向けて、世界最大のコミュニティWi-Fiインフラを展開するFON Wireless(以下FON)、及びその日本法人と国内での協業を発表した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に、国内で20万スポットのWi-Fiインフラを構築するとともに、マーケティング事業を展開していく計画だ。
第1弾として、3月19日からFON用の小型ルーター「Fonera mini」をヨドバシカメラで販売開始した(販売価格は税込み4950円)。同ルーターを購入したワイヤレスゲートのユーザーが、世界中に構築されているFONのWi-Fiスポット(約1,300万スポット以上)を使えるような施策を検討中としており、これが実現すればワイヤレスゲート・ユーザーの利便性はグローバルに拡大することになる。
現在、国内にはFONのスポットが100万スポット構築されているが、今後も観光地や商業施設などパブリックエリアを中心に20万のスポットを構築していくことで、様々なマーケティングサービスを顧客企業と事業提携しながら展開していく計画だ。
企業との事業提携に関しては、2014年に、(株)N・フィールド<6077>と(株)ブイキューブ<3681>との提携を発表しているが、今回新たに(株)Andecoとの業務・資本提携、及び(株)バディネットとの業務協力を発表している。
Andecoは、移動販売用カートで、電気や水などの生活インフラに関わるサービスを提供するプラットフォーム「M-Store Platform」の開発を行うベンチャー企業となる。同社のWi-Fiスポットと組み合わせることで、場所を選ばないロケーションコマース事業を共同で展開していく計画となっている。今回、業務提携とともに上限を3,000万円とする資本出資も行う予定となっている。なお、出資比率に関しては今後の協議によって決定するとしているが、同社の関連会社とはならない範囲での出資となる見込み。
一方、バディネットはWi-Fi環境の構築・保守事業を展開している企業で、これまで国内約6万ヶ所のWi-Fiエリアを構築し、1.5万ヶ所の保守を行っている。今後は両社で構築するWi-Fiインフラにおいて、互いの持つノウハウを活用することで、より品質の高いWi-Fi通信環境と付加価値の提供を目指していく。まずは、「M-Store Platform」のWi-Fiインフラの設置場所の開拓やインフラの運用管理を共同で行っていく予定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2)2015年12月期見通し
ワイヤレスゲート<9419>の2015年12月期の業績は売上高が前期比37.0%増の12,472百万円、営業利益が同69.9%増の1,350百万円、経常利益が同70.8%増の1,348百万円、当期純利益が同71.6%増の856百万円と2ケタ増収増益となる見通し。スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、ワイヤレス・ブロードバンドサービスの需要が引き続き拡大するとみている。また、前期より本格的に事業を開始した法人向けサービスに関しては、受注が確定しているものだけを計画に織り込んでおり、今後新規受注を獲得できれば業績の上乗せ要因となる可能性がある。
○ワイヤレス・ブロードバンド事業
2015年12月期も業績のけん引役はワイヤレス・ブロードバンド事業となる。特に、WiMAX2+では2015年3月より、下りの最大通信速度を220Mbpsと従来の2倍に高速化したサービスを開始しており、高精細動画もストレスなく視聴できる環境が整ったことで、更なる契約件数の拡大が見込まれる。
UQコミュニケーションズが発表しているWiMAXの契約件数は2014年12月末で715万件に達しており(うち、約30万件は同社のユーザー)、2014年後半以降の伸びが加速していることがわかる。これは、動画コンテンツサービスをスマートフォンやタブレット端末でも視聴できる通信環境が整ったことが背景にあるとみられ、当面加入件数の増加傾向は続くと予想される。
同社では今期業績の前提として、ワイヤレス・ブロードバンド会員数を前期末比8万人増の約58万人としている。増加分の内訳としては公衆無線LANサービスで1万人、モバイルインターネットサービス(WiMAX2+)で7万人と前期とほぼ同様のペースになると想定される。会員数が前期末比で16%増と拡大することに加えて、月額料金の高いモバイルインターネットサービスの加入者数増による平均ARPUの上昇によって、売上高は30%を上回る増収となる計算だ。弊社で試算したところ、両サービス合計の平均ARPUは前期比で約16%上昇することになる。
一方、営業利益率も2015年12月期は前期比2.1ポイント上昇の10.8%と再び10%台に乗せることが予想される。モバイルインターネットサービス事業の利益率が仕入れコストの低減効果により前期比で2〜3ポイント改善するのが主因だ。また、計画には織り込んでいないものの、社内の取り組みによってさらに利益率を改善できる余地があるとしており、仮に契約数が想定に届かず売上高が計画を下回ったとしても、こうした施策に取り組むことで利益は計画を確保できる可能性が高い。
その他、2014年12月期より開始したSIMサービスに関しては、契約数など非開示となっているものの、順調に拡大している模様。利用者のボリュームゾーンとしては月額480円プランが大半を占めるため売上高の寄与は小さいが、2014年12月から開始した訪日外国人客向けをターゲットとしたプリペイドサービスプランや、ユーザーからの要望が強かった音声サービスプランを2015年春以降開始するなど、サービスメニューを拡充していくことで売上高を拡大し、早期の黒字化を目指していく考えだ。
なお、訪日外国人向けに関しては、従来のヨドバシカメラに加えて有力な販路先を開拓していく計画となっている。具体的には、ホテルや空港、免税店事業者などが想定される。また、同サービスに関しては2015年12月期の計画には織り込んでいないため、上乗せ要因となる可能性がある。
○Wi-Fiインフラ事業
Wi-Fiインフラ事業(Wi-Fi環境イネーブラー事業)については、2014年1月より(株)電通<4324>などと共同で東京・銀座エリアで「G Free(銀座エリアのフリーWi-Fiサービス)」を開始したほか、4月からJRの秋葉原駅前の屋外広告とWi-Fiインフラを連携させたO2Oマーケティングサービス「アキバWi-Fiシリンダー」を立ち上げたが、いずれも収益への影響は軽微となっている。
2015年12月期以降は営業体制を強化し、受注件数を積み上げていくことで事業を拡大していく戦略だ。顧客ターゲットとしては、Wi-Fiインフラを構築して自社のサービスの付加価値を高めたい、あるいはコスト削減を図りたい企業で、大型案件ではなく中小規模の案件を積み上げていく。大型案件となると、大手通信インフラ企業との競争が激しく収益性も見込めないためだ。一方、中小企業の顧客においては、費用対効果だけでなく、各企業が持つ様々なニーズに対応できるだけのフレキシビリティや、企画提案から稼働に至るまでのスピード感、技術面でのサポート力などがより重視されるが、これらはいずれも同社が強みを発揮できる部分でもある。
同社では受注拡大に向け、新規事業担当の営業人員を新たに5〜6名ほど採用する計画で、全体の従業員数も前期末の18名から25〜26名に増員する予定。人件費の増加が見込まれるが、新規事業担当部署には成果報酬型の給与体系を導入し、固定費の負担を軽減している。既に2015年に入って採用した営業マンが2件の受注案件を獲得しており、問い合わせも多いことから、今後も順調な拡大が見込まれる。同事業は人件費以外の投資負担もほとんど掛からないストック型のビジネスモデルとなるため、着実に収益に貢献してくるものと予想される。
また、3月18日にはWi-Fiインフラ事業の拡大に向けて、世界最大のコミュニティWi-Fiインフラを展開するFON Wireless(以下FON)、及びその日本法人と国内での協業を発表した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に、国内で20万スポットのWi-Fiインフラを構築するとともに、マーケティング事業を展開していく計画だ。
第1弾として、3月19日からFON用の小型ルーター「Fonera mini」をヨドバシカメラで販売開始した(販売価格は税込み4950円)。同ルーターを購入したワイヤレスゲートのユーザーが、世界中に構築されているFONのWi-Fiスポット(約1,300万スポット以上)を使えるような施策を検討中としており、これが実現すればワイヤレスゲート・ユーザーの利便性はグローバルに拡大することになる。
現在、国内にはFONのスポットが100万スポット構築されているが、今後も観光地や商業施設などパブリックエリアを中心に20万のスポットを構築していくことで、様々なマーケティングサービスを顧客企業と事業提携しながら展開していく計画だ。
企業との事業提携に関しては、2014年に、(株)N・フィールド<6077>と(株)ブイキューブ<3681>との提携を発表しているが、今回新たに(株)Andecoとの業務・資本提携、及び(株)バディネットとの業務協力を発表している。
Andecoは、移動販売用カートで、電気や水などの生活インフラに関わるサービスを提供するプラットフォーム「M-Store Platform」の開発を行うベンチャー企業となる。同社のWi-Fiスポットと組み合わせることで、場所を選ばないロケーションコマース事業を共同で展開していく計画となっている。今回、業務提携とともに上限を3,000万円とする資本出資も行う予定となっている。なお、出資比率に関しては今後の協議によって決定するとしているが、同社の関連会社とはならない範囲での出資となる見込み。
一方、バディネットはWi-Fi環境の構築・保守事業を展開している企業で、これまで国内約6万ヶ所のWi-Fiエリアを構築し、1.5万ヶ所の保守を行っている。今後は両社で構築するWi-Fiインフラにおいて、互いの持つノウハウを活用することで、より品質の高いWi-Fi通信環境と付加価値の提供を目指していく。まずは、「M-Store Platform」のWi-Fiインフラの設置場所の開拓やインフラの運用管理を共同で行っていく予定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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