3Dマトリックス Research Memo(1):上市時期のズレ込みにより通期及び中期計画を下方修正
[15/04/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
スリー・ディー・マトリックス<7777>は2004年設立のバイオマテリアル(医療用材料)のベンチャー企業。米マサチューセッツ工科大学で開発された「自己組織化ペプチド技術」の「独占的・全世界的な事業化権」を保有。同技術を基盤として外科医療領域、再生医療領域、DDS(ドラッグデリバリーシステム:体内の薬物分布を量的・空間的・時間的にコントロールする薬物伝達システム)領域での医療機器及び医薬品の開発を進めている。
3月13日付で同社は2015年4月期第3四半期累計(2014年5月-2015年1月)決算の発表と、通期業績及び中期計画の下方修正を発表した。中計最終年度となる2017年4月期の業績目標は、売上高が前回予想の18,473百万円から11,345百万円に、営業利益が8,213百万円から4,377百万円にそれぞれ下方修正された。吸収性局所止血材(TDM-621)(以下、止血材)に関する国内での製造販売承認申請を一旦取り下げ、再度治験を実施する決定を下したことで、上市時期が2017年4月期以降にズレ込むことになったことが、下方修正の主因となっている。ただ、止血材に関しては2月末より欧州の医療施設向けに直販が開始されるなど、海外では需要は着実に増加しているのも事実。2016年4月期には、欧州企業やアジア企業との販売契約も見込まれており、海外市場で2016年4月期以降、本格拡大が見込まれる。
その他の開発パイプラインでは、粘膜隆起材(TDM-641)の国内での治験を一時、中断すると発表したが、早晩、再開される見込みとなっている。また、米国では歯槽骨再建材(TDM-711)の第2段階目の治験が5月〜6月を目途にようやくされるなど、当初想定よりはやや遅れ気味ではあるものの、上市に向けて着実に進み始めている。
株価は2年連続で大幅下方修正を発表したことで、大きく下落した格好となったが、これは止血材に対する期待が大きかったことの裏返しとも言える。止血材そのものの評価については、医療施設への直販開始によって、裏付けられたものと弊社では考えている。当面のポイントは2016年4月期以降にズレ込むこととなった止血材の欧州企業との販売契約や、米国での治験計画の承認の有無にあるとみている。これらが進捗した場合には、再度、同社に対する評価が高まってくるものと思われる。
■Check Point
・止血材の臨床使用結果は良好、操作性や術野の広さなどに高評価
・2017年4月期に事業収益110億円を見込む
・止血材のシェア拡大に大きな余地
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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