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MDV Research Memo(1):DPC対象病院向けソフト分野で圧倒的No.1

注目トピックス 日本株

2003年に設立されたメディカル・データ・ビジョン<3902>は、医療や健康分野のICT化を推進し、情報の高度活用を図ることで、生活者のメリット創出に貢献することを目指している。事業内容は、各種システムの提供を通じて医療・健康データを蓄積する「データネットワークサービス」と、蓄積したデータを活用する「データ利活用サービス」に大きく分かれている。

同社を飛躍させたきっかけとなったのが、2003年に厚生労働省が導入した医療費の定額支払い制度であるDPC(Diagnosis Procedure Combination)制度だ。この制度ができる以前は、全ての診療行為ごとに出来高で報酬が支払われてきたが、DPC制度が導入されることで、部分的な出来高と定額払いを組み合わせた報酬が支払われる仕組みに変わった。DPC対象病院は、同制度下での経営インパクトや自院の診療内容を分析する必要があったため、これらを簡便に分析できる同社の「EVE(イブ)」の需要が高まった。2014年末時点で1,585のDPC対象病院の42.4%に導入されるまでとなり、同分野で圧倒的No.1の地位を築いている。また、その後に提供を開始した、原価計算をはじめとする病院全体の経営分析が可能な病院向け経営支援システム「Medical Code」は、2014年末時点で131病院への導入が完了している。同社がここまで導入数を増やせた理由は、顧客向けのセミナーや勉強会などを通じて医療機関の成功事例を共有するなど、アフターメンテナンスに力を入れたことが大きい。

「データネットワークサービス」を基盤に、同社が次に開始したのが「データ利活用サービス」だ。データ利活用サービスの大きな強みは、2015年3月期末時点で、186病院、974万人規模となっている大規模診療データベースを保有している点である。このデータベースができたことにより、製薬関連会社製薬メーカー及び卸売会社の出荷データだけではなく、実際の診療現場の薬剤処方実態が分析できるようになった。国は、医薬品の副作用が発生した時に備えて、2011年度から3年間で官民合わせて総額約20億円をかけ、1,000万人規模の医療データベースの作成に取り組んだが、いまだ実現に至っていない。それに対して一民間企業である同社のデータベースは、2015年度中に1,000万人規模に到達する見込みだ。

同社の2014年12月期の売上高構成比は、パッケージソフトとメンテナンスなどのデータネットワークサービスが62.2%、データ利活用サービスが37.8%であった。製薬会社等向けのデータ利活用サービスは、特定の要望に沿った詳細な分析を提供するアドホック調査サービスがプロジェクトベースで採用されるフェーズに入ってきた。2014年12月期の業績は、売上高が前期比27.5%増の1,950百万円、経常利益が同18.1%増の248百万円であった。

2015年12月期には売上高で前期比34.4%増の2,622百万円、経常利益で同5.5%増の262百万円が予想されている。リアルタイム性が高く、より広範囲の診療データを取得できるよう、電子カルテソリューション分野に参入する。2015年12月期中に3病院で試験導入したのち、広域の拡販を展開する。診療所向けのシステムである「カルテビジョン」は、アライアンスにより20診療所に導入したのち、広域展開する計画だ。2015年12月期及び2016年12月期は、これらの新規事業の投資フェーズに当たり、増益率が抑えられる。2017年12月期以降は、これら事業が軌道に乗り、投資回収フェーズに入ることから、同社の事業の規模と質は新たなステージに入ると予想される。

同社の株式は、2014年12月に東証マザーズ市場に新規上場した。

Check Point
・豊富な実証データに基づく医療の実現を目指して事業を展開
・個人の診療データを電子カルテを介して蓄積する第3フェーズへ
・15年12月期はデータネットワークサービスの伸びが高まる計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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