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MDV Research Memo(6):個人の診療データを電子カルテを介して蓄積する第3フェーズへ

注目トピックス 日本株

■MDVの4つの成長フェーズ

・第1・第2フェーズ(創業〜2014年度):DPCシステムの販売とDPCデータの利活用

第1・第2フェーズに、医療機関にシステムを提供することで信頼関係を築き、ネットワークを構築した。DPC病院から蓄積したデータを利活用するサービスを開始した。

・第3フェーズ(2015〜2016年度):ビジネス領域拡大のための投資時期

第3フェーズの2015年度から2016年は、新たな診療データを取得するインフラ及びデータベース作りのための投資時期となる。当フェーズでは、個人から同意を得た診療データを、電子カルテソリューションを介して蓄積する。メディカル・データ・ビジョン<3902>が第1・第2フェーズで活用したのは急性期入院患者に限定されるDPCデータだが、電子カルテソリューションを介して収集する診療データは、リアルタイム性が高く、より広範囲な医療行為をカバーする。また、個人情報をカットした診療情報の2次利用に同意した個人は、自分の診療履歴を閲覧管理できるサービスを無料で利用することが可能となる。医療機関にとっては、患者が本システムを導入した病院を選択するインセンティブになることが期待できる。2015年12月期中に、3病院に試験導入されるほか、診療所向けの「カルテビジョン」は、アライアンスにより20診療所に導入したのち、広域の拡販を計画している。基幹システムである電子カルテソリューションは、規模も大きく、設置要員も必要となる。開発費や人員の増加が、利益を圧迫する。

・第4フェーズ(2017年度〜将来):投資回収フェーズ

第3フェーズで確立した仕組みをもとに、蓄積された多様なデータを活用し、利活用のビジネス領域を大きく広げていく。すでに同社が保有するDPCデータのほか、電子カルテソリューションを介して収集するリアルタイム性が高く、より広範囲な医療データが蓄積されることで、より価値の高い生活者の診療データを分析することが可能となる。これにより、医療機関や製薬会社はもちろんのこと、健康関連・美容関連・食品関連などへのビジネス展開が可能となることが予想される。

同社は、健康管理サービスの市場規模が2014年の150億円から2020年に1,000億円へ、クラウド型医療データ2次利用サービスの規模が44億円から300億円へ成長すると推定している。

同社は、売上高の年率成長率30%、売上高経常利益率10%以上を重要な経営目標とし、持続的な企業価値向上を目指す。

同社は、膨大に蓄積された医療・健康情報を有効活用することが、今以上の医療の質向上、ひいては生活者にとってのメリット創出につながると考え、医療や健康分野のICT化を推進している。現在、医療業界におけるICT化は、電子カルテシステムやオーダリングシステムの採用による「EMR」(Electronic Medical Record:医療機関内で共有される医療・健康記録)の段階にある。患者を巻き込んだ医療の質向上、ひいては生活者や予防をまで含んだ「EBM」社会の実現には、「EHR」(Electronic Health Record:異なる施設間や機能間にて共有される医療・健康記録)や「PHR」(Personal Health Record:個人が自ら管理する医療・健康記録)の実現が不可欠と考えている。同社は、「EMR」「EHR」「PHR」を実現することで、中長期的な成長を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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