イー・ギャランティ Research Memo(3):信用リスク移転手法の多様化・高度化により利益を獲得
[15/04/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業概要
イー・ギャランティ<8771>の事業は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを主に手掛けている。以下に事業の流れを説明する。
まず、同社は企業間取引で発生した売上債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては売上債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで、最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、原則として保証料は全額前払いとなる。同社ではこれを12分割して毎月計上するため、月ごとの売上高変動は比較的小さい傾向となる。売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、ストック型のビジネスモデルとなり、信用保証残高をいかに積み上げるかが、売上高成長の鍵を握ることになる。
保証料率に関しては個々の契約ごとに異なっている。それぞれのケースで未回収リスクや保証額が違うためだ。実際には契約対象となる債権の調査・分析を行い、保証対象となる企業のリスク審査を行ったうえで保証料率を決めている。また、保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率など様々なデータを参考にし、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が減少傾向にあるときは、信用リスクも低減するため、保証料率も低下することになる。保証料率に関しては業界内での決まりがなく自由に設定できるものの、リスクヘッジに見合った保証料率でないと契約に結び付かないため、ユーザーニーズに見合う格好で設定している。
引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等のニーズに適応した金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。
このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスクの移転先に支払う再保証料率のギャップが売上総利益率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることによって原価率の低減を図っている。また、子会社でファンドを組成することにより、引受保証額が拡大したほか、支払保証料の社外流出を抑えることができるといったメリットも生じており、ここ数年の売上高営業利益率の上昇要因ともなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<FA>