ユニリタ Research Memo(5):新中計がスタート、経常利益は3年後50%増へ
[15/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■第2次中期経営計画
ユニリタ<3800>は2016年3月期を初年度とする3ヶ年計画「第2次中期経営計画」を策定した。企業のIT部門に求められる役割が企業価値向上へ直接貢献するところへシフトしていくなかで、新たな成長分野への積極投資や人材シフト、古い技術から新しい技術への入れ替え、社内インキュベーションによる事業育成やM&Aの活用により、最終年度である2018年3月期には売上高100億円(平均成長率12.8%)、経常利益24億円(経常利益率24.0%)、ROE14.9%を目指す内容となっている。
メインフレーム事業が縮小傾向をたどる中で、オープン系の製品販売が同社の成長をけん引する計画となっている。また、「新規・成長事業」の売上高構成比を現在の20%から48%にまで拡大する想定である。
同社は中期経営計画の達成に向けて以下の成長戦略に取り組む。
a)メーカーとしての製品開発力の強化
事業ポートフォリオを、収益基盤として事業成長を支える「生産性向上製品群」と、事業構造変革のための成長ドライバーとなる「市場拡大製品群」及び「独自のSaaS製品群をはじめとする新規ビジネス」に分類するとともに、「新規」「成長」「維持」「縮小」の4つの領域に定義することでメリハリの効いた戦略投資を行う。具体的には、メインフレーム事業や他社プロダクト事業を「縮小(成長率目標-5%以内)」、自動化、帳票、ITSM等を「維持(同+0〜5%前後)」とする一方で、独自のSaaS製品群やビジネスアプリケーションを「新規(同+10〜50%超)」、クラウド、ビッグデータ、BPM、モバイル、ソーシャルサービスなどを「成長(同+10〜50%超)」と位置づけ、成長のための製品開発投資(売上高比5〜10%目標)を行う方針としている。
b) IT技術の入れ替え
古い技術と新しい技術の入れ替えにより、既存人材を活性化させ、提案能力の幅を広げる施策に取り組む。具体的には、毎年20〜25%の技術者を、ソーシャル、モバイル、ビッグデータアナリティクス、クラウド、ネットワーク、セキュリティ等の新技術に対応可能な人材に転換を図るとともに、新規・成長事業へ人材のシフトを進めていく。2018年3月期には「新規・成長事業」における技術者構成比を現在の18%から60%にまで高める方針である。
c)子会社戦略
同社は、環境変化や顧客のニーズに迅速に対応するためには、小さな組織により成長のスピードを加速させることが効果的と考えており、社内インキュベーションによる新規事業創出や子会社の立ち上げ、人材育成のほか、M&Aの活用にも積極的に取り組む方針である。
弊社では、同社は依然としてメインフレーム事業に依存した収益構造が続いているものの、将来(3〜5年先)を見据えた事業構造改革を進めていく方針には妥当性があると評価している。さらに言えば、現在の収益源が機能しているうちに、次の収益モデルを構築するスピードが要求されるとみている。もっとも、メインフレーム事業も市場は縮小しているものの、残存者利益の享受によりしばらくは収益源となり続ける可能性もあるが、そこは業績の上振れ要因としてみておくほうが安全であろう。今後の課題は、いかに市場平均を上回る成長率を実現していくかにある。そのためには、新規・成長領域の強化は欠かせないテーマである。組織融合や人材育成(シフト)を早期に進めることにより、新規・成長領域における製品開発と既存事業とのシナジー創出がポイントとなるとみている。また、潤沢な手元資金を今後の成長にどのように振り向けていくのかもカギを握ることになるであろう。効果的なM&Aを含め、子会社戦略等にみられる事業構造変革に向けたスピードや精度を高めるための仕組みづくり(権限委譲やインセンティブ、マインドセットなど)に対する経営手腕にも期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<FA>
ユニリタ<3800>は2016年3月期を初年度とする3ヶ年計画「第2次中期経営計画」を策定した。企業のIT部門に求められる役割が企業価値向上へ直接貢献するところへシフトしていくなかで、新たな成長分野への積極投資や人材シフト、古い技術から新しい技術への入れ替え、社内インキュベーションによる事業育成やM&Aの活用により、最終年度である2018年3月期には売上高100億円(平均成長率12.8%)、経常利益24億円(経常利益率24.0%)、ROE14.9%を目指す内容となっている。
メインフレーム事業が縮小傾向をたどる中で、オープン系の製品販売が同社の成長をけん引する計画となっている。また、「新規・成長事業」の売上高構成比を現在の20%から48%にまで拡大する想定である。
同社は中期経営計画の達成に向けて以下の成長戦略に取り組む。
a)メーカーとしての製品開発力の強化
事業ポートフォリオを、収益基盤として事業成長を支える「生産性向上製品群」と、事業構造変革のための成長ドライバーとなる「市場拡大製品群」及び「独自のSaaS製品群をはじめとする新規ビジネス」に分類するとともに、「新規」「成長」「維持」「縮小」の4つの領域に定義することでメリハリの効いた戦略投資を行う。具体的には、メインフレーム事業や他社プロダクト事業を「縮小(成長率目標-5%以内)」、自動化、帳票、ITSM等を「維持(同+0〜5%前後)」とする一方で、独自のSaaS製品群やビジネスアプリケーションを「新規(同+10〜50%超)」、クラウド、ビッグデータ、BPM、モバイル、ソーシャルサービスなどを「成長(同+10〜50%超)」と位置づけ、成長のための製品開発投資(売上高比5〜10%目標)を行う方針としている。
b) IT技術の入れ替え
古い技術と新しい技術の入れ替えにより、既存人材を活性化させ、提案能力の幅を広げる施策に取り組む。具体的には、毎年20〜25%の技術者を、ソーシャル、モバイル、ビッグデータアナリティクス、クラウド、ネットワーク、セキュリティ等の新技術に対応可能な人材に転換を図るとともに、新規・成長事業へ人材のシフトを進めていく。2018年3月期には「新規・成長事業」における技術者構成比を現在の18%から60%にまで高める方針である。
c)子会社戦略
同社は、環境変化や顧客のニーズに迅速に対応するためには、小さな組織により成長のスピードを加速させることが効果的と考えており、社内インキュベーションによる新規事業創出や子会社の立ち上げ、人材育成のほか、M&Aの活用にも積極的に取り組む方針である。
弊社では、同社は依然としてメインフレーム事業に依存した収益構造が続いているものの、将来(3〜5年先)を見据えた事業構造改革を進めていく方針には妥当性があると評価している。さらに言えば、現在の収益源が機能しているうちに、次の収益モデルを構築するスピードが要求されるとみている。もっとも、メインフレーム事業も市場は縮小しているものの、残存者利益の享受によりしばらくは収益源となり続ける可能性もあるが、そこは業績の上振れ要因としてみておくほうが安全であろう。今後の課題は、いかに市場平均を上回る成長率を実現していくかにある。そのためには、新規・成長領域の強化は欠かせないテーマである。組織融合や人材育成(シフト)を早期に進めることにより、新規・成長領域における製品開発と既存事業とのシナジー創出がポイントとなるとみている。また、潤沢な手元資金を今後の成長にどのように振り向けていくのかもカギを握ることになるであろう。効果的なM&Aを含め、子会社戦略等にみられる事業構造変革に向けたスピードや精度を高めるための仕組みづくり(権限委譲やインセンティブ、マインドセットなど)に対する経営手腕にも期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<FA>