ADワークス Research Memo(6):顧客の早期囲い込みで「クローズド・マーケット」を創り上げる
[15/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
エー・ディー・ワークス<3250>は2015年3月期からスタートした第4次中期計画の基本方針として、「事業規模の拡大と収益基盤の安定化」と「ADビジネスモデルによるクローズド・マーケットの創造」を掲げている。「クローズド・マーケットの創造」とは、前述したブルーオーシャン型のビジネスモデルにより、高付加価値で低コストのサービスを提供し、競合が少ない現段階において顧客となる個人富裕層を早期に取り込み、参入障壁の高い市場を創り上げていく戦略だ。「クローズド・マーケット」ができれば、そこはブルーオーシャン市場となり、同社の業績も安定した収益性を維持しつつ、持続的な成長が見込まれることになる。
(1)クローズド・マーケット創造に向けた取り組み
クローズド・マーケットの創造に向けた具体的な取り組みとして、2014年1月に同社が発足したA.D.W.グループオーナーズクラブ「Royaltorch」が挙げられる。同クラブは同社が販売した物件オーナーを対象にした会員制クラブで、サービス内容としては専属のプライベートコンサルタントが付くほか、不動産経営診断システム「IEドック」(Investment Efficiency)による無料診断サービスの提供、各種セミナーや交流会など、会員交流を目的としたイベントへの参加が可能となる。
また、新規顧客の開拓を進めるに当たっては、「Royaltorch」会員を通じた紹介に加えて、地方金融機関との提携を2015年3月期から進めている。地方においても不動産投資を行う富裕層は多く存在しているためだ。金融機関にとっても、投資運用商品が拡充することのメリットは大きい。現段階ではまだ成約実績はないものの、2016年3月期以降、新規顧客の開拓に結び付くものとして期待される。
同社が対象とする投資用不動産の国内市場規模は年間で約500億円以上と推定され、今後も年間100〜200億円規模で拡大すると想定されている。個人富裕層の不動産投資ニーズは、景気の影響を受けにくく安定した需要が見込まれるほか、今後は相続税対策のニーズも拡大していくことが予想されている。同社では早期にこうした顧客の囲い込みを進め、参入障壁の高い「クローズド・マーケット」を創り上げていく戦略だ。
(2)中期業績計画
同社は2017年3月期までの中期業績計画に関して、今回修正を行った。2015年3月期の売上高が計画を2,000百万円程度下回ったことに伴うもので、最終目標値は売上高を当初計画の15,120百万円から13,600百万円に引き上げたが、利益ベースでは当初計画を維持した。3年間の年平均成長率で見ると売上高は5.6%、EBITDA(営業利益+償却費)は12.9%、経常利益は21.1%の成長となる。2017年3月期の利益率が上昇するのは、2015年3月期から2016年3月期にかけて実施している人員増強や米国事業拡大に伴う経費増などが一段落するためだ。
また、収益構造も経常利益(共通費用控除前ベース)に占める賃貸収益の比率が、2014年3月期の4.0%から2017年3月期は6.7%弱に上昇することになり、経営の安定性も一段と増すことが予想される。
2016年3月期の経常利益は、2015年3月期実績が計画を上回ったこと、第1四半期の業績見通しが好調な滑り出しになりそうなことを勘案すると上振れする可能性が高い。今後も市場環境に大きな変化がなければ、2017年3月期も更なる収益の上積みが期待できそうだ。
なお、有利子負債の水準については、2017年3月期末時点で10,000百万円程度と想定しており、2015年3月期末(9,628百万円)から若干増加する見通し。金融費用としては2015年3月期の153百万円から200百万円程度に膨らむことになるが、保有不動産によって得られる賃料収益(700百万円)によって十分賄える範囲であり、問題のない水準と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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エー・ディー・ワークス<3250>は2015年3月期からスタートした第4次中期計画の基本方針として、「事業規模の拡大と収益基盤の安定化」と「ADビジネスモデルによるクローズド・マーケットの創造」を掲げている。「クローズド・マーケットの創造」とは、前述したブルーオーシャン型のビジネスモデルにより、高付加価値で低コストのサービスを提供し、競合が少ない現段階において顧客となる個人富裕層を早期に取り込み、参入障壁の高い市場を創り上げていく戦略だ。「クローズド・マーケット」ができれば、そこはブルーオーシャン市場となり、同社の業績も安定した収益性を維持しつつ、持続的な成長が見込まれることになる。
(1)クローズド・マーケット創造に向けた取り組み
クローズド・マーケットの創造に向けた具体的な取り組みとして、2014年1月に同社が発足したA.D.W.グループオーナーズクラブ「Royaltorch」が挙げられる。同クラブは同社が販売した物件オーナーを対象にした会員制クラブで、サービス内容としては専属のプライベートコンサルタントが付くほか、不動産経営診断システム「IEドック」(Investment Efficiency)による無料診断サービスの提供、各種セミナーや交流会など、会員交流を目的としたイベントへの参加が可能となる。
また、新規顧客の開拓を進めるに当たっては、「Royaltorch」会員を通じた紹介に加えて、地方金融機関との提携を2015年3月期から進めている。地方においても不動産投資を行う富裕層は多く存在しているためだ。金融機関にとっても、投資運用商品が拡充することのメリットは大きい。現段階ではまだ成約実績はないものの、2016年3月期以降、新規顧客の開拓に結び付くものとして期待される。
同社が対象とする投資用不動産の国内市場規模は年間で約500億円以上と推定され、今後も年間100〜200億円規模で拡大すると想定されている。個人富裕層の不動産投資ニーズは、景気の影響を受けにくく安定した需要が見込まれるほか、今後は相続税対策のニーズも拡大していくことが予想されている。同社では早期にこうした顧客の囲い込みを進め、参入障壁の高い「クローズド・マーケット」を創り上げていく戦略だ。
(2)中期業績計画
同社は2017年3月期までの中期業績計画に関して、今回修正を行った。2015年3月期の売上高が計画を2,000百万円程度下回ったことに伴うもので、最終目標値は売上高を当初計画の15,120百万円から13,600百万円に引き上げたが、利益ベースでは当初計画を維持した。3年間の年平均成長率で見ると売上高は5.6%、EBITDA(営業利益+償却費)は12.9%、経常利益は21.1%の成長となる。2017年3月期の利益率が上昇するのは、2015年3月期から2016年3月期にかけて実施している人員増強や米国事業拡大に伴う経費増などが一段落するためだ。
また、収益構造も経常利益(共通費用控除前ベース)に占める賃貸収益の比率が、2014年3月期の4.0%から2017年3月期は6.7%弱に上昇することになり、経営の安定性も一段と増すことが予想される。
2016年3月期の経常利益は、2015年3月期実績が計画を上回ったこと、第1四半期の業績見通しが好調な滑り出しになりそうなことを勘案すると上振れする可能性が高い。今後も市場環境に大きな変化がなければ、2017年3月期も更なる収益の上積みが期待できそうだ。
なお、有利子負債の水準については、2017年3月期末時点で10,000百万円程度と想定しており、2015年3月期末(9,628百万円)から若干増加する見通し。金融費用としては2015年3月期の153百万円から200百万円程度に膨らむことになるが、保有不動産によって得られる賃料収益(700百万円)によって十分賄える範囲であり、問題のない水準と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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